第10話 パリィっ!! パリィっ!!
よ――しっ!! これでようやくボス戦だっ!!
ようやく。ああ本当に。本当にボス戦。最初のボスを倒すまでに一月……。
よし、クソゲーだなっ!!
だが人生はクソゲーとも言うし、このゲームも人生だと考えれば名作とも……。
いや、やっぱクソゲーか。
ボス戦前にモーションの確認をする。ブンブンブンと。ボタンを押して虚空に剣を振るう。
その挙動は前作とほぼ大差ないように思える。
そういえばブラックソウル5には武器スキルというものがあるらしい。
武器一つ一つに固有の武技が存在するのだとか。
ならこの武器の武技はっと。設定資料集からロングソードの項目を確認する。
そこで見つけたのが。
「いなし斬り?」
ロングソードの武技はいなし斬りと言うらしい。
「なるほど「パリィ」の代替って訳か」
ブラックソウルシリーズには敵の攻撃を受け流して反撃する「パリィ」という要素がある。
敵が攻撃する瞬間にパリィして受け流せば大きなダメージを与える事が出来る。
このいなし斬りはそのパリィと同様の働きをし、尚且つその攻撃力は通常の2倍。
だが武技を消費するポイントが高く、現状では実質1回しか使えない。そんな代物、らしい。
「つまり1回限りの必殺技」
一見、強いっ!!
っと感じたがポイントを大量消費して、かつ難易度の高いパリィを行い攻撃力2倍では。
強い……? 強い、かなぁ。
「対人戦では……。う――ん。どうだろうか」
今は無きネット環境。当時さんざん対人した中でそんな技があったら……。
まぁ玄人向けとして有用にはなるかな。でもすぐ対策取られて駄目になりそうだけど。
正直一時的に攻撃力を上げてくれるような。そんな技の方が好ましい。
だがまぁ。
「これでようやく土俵に立てる」
今まで武器1つなく素手と松明でやりくりしていた分、本格的な武器が手に入ったのは嬉しい。
さっそく武技を使ってみると一瞬敵の動作を避けるような動きをした。
なるほどつまりこれが「いなし斬り」敵の攻撃を避けて大きな一撃を敵に与える。
そんなコンセプトなのだろう。
資料集に書いていた通り。
武技を使用する為のポイントは一気に削れ、もう一度使用する事は叶わないようだ。
しかし目の前には休憩する為の焚火がある。ならそれを使えば。
「回復した……。良かったこういう所は普通にゲームだ」
焚火を使い休憩したらしっかりとポイントが回復した。
うんうん。ゲームだなっ!!
よし、これで全ての準備が完了した。
回復する為のアイテムが無いのは不便だが、この際そこは仕方ないだろう。
であれば。
「ボス戦だぁ」
白いモヤの前に立って一息付く。そして考える。
今の今までこのゲームで敵を倒せたことは一度も無かった。
素手攻撃は当てにくいし、当てたとしてもそれが致命傷にはならない。
だから戦闘はずっと避けていた。しかし今は剣がある。武技だって使える。
防具無し。回復アイテム無し。事前知識無し。地図だって無い。
そんな状況で剣1つでどこまで出来るかは未知数だが、しかしやれるだけやってみよう。
ここまで長かった。しかし今ようやくその苦労も報われる。
「ボス戦だ。どうせ長い事戦う事になるんだろうなぁ」
これだけの難易度。きっと一筋縄ではいかないだろう。
きっと何度も何度も挑戦する。
しかし、だ。それこそゲームの醍醐味ってやつじゃないか?
何度挫折しても立ち上がり、そして最後は勝利をつかみ取るっ!!
それでこそのブラックソウルだっ!!
ならば。
「しゃあっ!! 行っくぞ――――っ!!」
そういう訳でボス戦に挑戦だっ!! 白いモヤの中に敵ボスと対峙するっ!!
ボスが出てきて向かってきたっ!! よーし。よし。
あ、敵が剣を振ってきたぞっ!! よしなら反撃っ!! パリィしてぇ――。
出来たっ!! 次はいなし斬りを使ってぇ。当ったれ――っ!!
当たったっ!! 敵に攻撃が当たったぞっ!! よーし次の一撃をっ!!
一撃を……。アレ?
ボス。
死んじゃった?




