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魔王に囚われて異世界から英雄(ヒーロー)を召喚した王女様。間違えてゲームのキャラを召喚してしまった。  作者: 宮森 英二
悲哀っ!! 正社員激闘編っ!!

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第65話 再び異世界へっ!! まぁゲームのキャラがね……。


 「よし、到着っ!! ほら電源入れなさい」


 研究所に戻ってきた俺達はさっそくとばかり会議場に急ぎ、テレビのスイッチを入れた。

 そこにはいつも通りテレビの画面に俺のキャラが居て。


 「うわぁ。なんか色々整えられてますね」

 「これって逆に考えて所有権の行使。とも捉えられるわね。まぁゲームだから良いけど」


 テレビを付け映し出された画面の光景を見る。

 なんというか、そこは煌びやかな「謁見の間」と呼ぶに相応しい空間に整備されていた。

 キラキラな黄金の椅子。複雑な刺繍が入れられた大きな絨毯。

 周囲の壁には大きなタペストリーが付けられ……。

 つまり彼らのセンスの中でもっとも「格好良い」とされる場がそこにあった。


 「中世趣味ってやつ? まぁ悪くはないわね」

 「俺はもっとこじんまりとした場が好きなんですが」


 「あ、いらっしゃったわんっ!! 京介陛下っ!!」

 

 うわ。その呼び方継続するんだ。なんかやだなぁ。

 画面の中にアデルバート伯が姿を現した。なんかこう、前よりもおめかしをして。

 そして陛下呼び。陛下かぁ……。


 「嫌なら嫌って言いなさい。わざわざあっちに合わせる事もない」

 「でもそうした方が彼らも気持ち良いんですよ。ならそれに合わせるのも優しさじゃありません?」


 「ふん、まぁなんでも良いわよ。なんでも良いけど声は戻しなさい。また女声になってるわよ」


 あら。うんうん。こほん……。あーあーあー。よし、戻した。

 じゃあ通信機のスイッチを入れて、っと。


 「どうもアデルバート伯。大変お美しい空間ですね」


 まずは、まぁ内装でも褒めるか。せっかく整えてくれたんだしね。

 

 「ありがとうございます京介陛下。陛下におきましてはご機嫌うるわしゅう」

 「うん、ありがとう伯」


 おぉう、堅苦しい。こっちの立場が上がったから随分話しにくくなった。

 もうっ!! なんだよ陛下ってっ!! RPしにくいでしょまったくっ!!

 まぁ良いや。えっと。

 えっとぉ――――。

 えっと……。


 この状況で、何を聞こうかな。

 俺、皇帝陛下扱いされていますけども。


 「博士――――」

 「うん? なによ」


 通信機の電源を再び落とし博士と話す。


 「博士、この場の会話主導してくださいよ」

 「はぁ? なんで私がっ!!」


 「博士が俺の事、皇帝の子孫だとか言ったからおかしい事になったんですよぉ」

 「事実でしょうがよ。あんたの母親は陛下の娘。父親は鷹司本家の人間じゃない」


 「つまりあんたは旧摂家と皇族の血を引くれっきとした皇位継承権がある男子じゃない」

 「摂家とかいつの話ですか? もう。変な事気にするなぁ」


 「旧家ってだけで有難がる人も居るのよ。他にウチのスポンサー様の結城家は武家だし」

 「あの日から20年。全てリセットされた状況の中で「古い」事はそれなりにステータスよ」

 

 「その中でもあんたは2000年続く皇家の血筋。飛びつく人は飛びつくでしょうね」

 「さっき新しい秩序は若者が作れ的な事言ってた気がしますけど? 博士も意外と権威主義ですよね」


 「うるさいわね。仕方ないでしょ」

 「私みたいなミクスレイはそういった権威を利用して成り上がってくしかないんだから」


 「あの日から20年。人口推移的に私達の方が数は多いけど」

 「でも生殖に問題がある私達はナチュラルと混血する事しか血を繋げない」


 「そういった中で「民族」として結束する為の統合存在を求める一派が出るのは自然な事よ」

 「なんでも新しいから良いって事もない。「古い物」を使って新しい秩序を打ち立てる」


 「そういった「新しい」考えがあったって良いでしょう」


 「感覚として分かりますが、だからってそれをゲームの中にまで持ち込まないで欲しかったです」

 「どうするんですか。下手に発言出来なくなっちゃいましたよ」

 「下手な事言ったら国際問題になりますよ? 国際問題っ!!」


 「国際問題?」

 「そう、国際問題です」

 

 「ゲームの中の連中と?」

 

 そう。だけど。


 「意識がある、人達ですよ?」

 「それなら」


 「しっかり、国家です」


 そうでしょう?

 

 「国家、か……」


 「ふふふ、国家か。そういう見方も出来るか。国際関係。外交……」

 「なるほどね」


 「ぜ――んぶ。もう今の私達には無いものだわ……」


 そう、ですね。


 「だから」


 「だからたとえゲームの中の人物達とはいえ」


 「誠実に対応する事は必要だと思います」


 「たとえそれが代替なのだとしても」


 「礼を尽くして行動する事は」

 「今後俺達が「日本人」でいる為にも必要なのだと思います」


 「日本人、ね……」


 「今はそんな事言っても、言える相手が居ないもんね……」


 「だからこの場でくらい」


 「日本人らしく、しっかり外交しましょ」

 「俺は皇帝陛下なんでしょ? そんな上の人物が軽々と下々の者と対話しちゃあ駄目でしょう?」


 「まぁ。そうね」

 「だから」


 「外交官になってください。博士が言い出したんですよ?」

 

 そうだぞう。博士が始めたんだから、博士がしっかり対応してよねっ!

 

 「…………………………」

 

 「分かったわよ。私が対応すれば良いんでしょう?」

 「うん、よしなに」


 「なにがよしなによっ!! ったく。ああ。それなら私の立場はどうしましょうかねぇ」

 「従者って事にするしかないでしょう。それか小姓?」


 「どっちにしろあんたの下って訳ね。屈辱ぅ」

 「その理屈を最初に持ち出したのは博士ですよ」


 「ちっ。まぁ良い。設定を固めないとね」

 「ともかく今は従者って事にしましょう。細かい設定は後で」


 「分かったわ。まったくなんでこんな事に……」

 「あ、そうだ家庭教師って事にすれば偉そうにしても違和感はないか」


 「って訳で従者は止めて家庭教師の先生って事にしましょう」

 「ころころ変えないでっ!! もうっ!!」


 「あ、あの……陛下。だわん?」

 「あ、ほら不審に思ってますよっ!! ほらスタートっ!!」

 「あ、こらっ!! もうっ!!」


 俺は通信機のスイッチを入れて、彼らとの会話を再開する。

 なんだか変な事になったけど、知らない他国との外交関係を築く。なんて。

 なんだか。


 なんだか、楽しそうじゃないか?


 「他国……。他国との外交関係、ね……」

 「ふ――――ん。ほ――――ん」


 「よし」


 「やってやろうじゃないっ!!」


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