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魔王に囚われて異世界から英雄(ヒーロー)を召喚した王女様。間違えてゲームのキャラを召喚してしまった。  作者: 宮森 英二
悲哀っ!! 正社員激闘編っ!!

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第58話 ガールズバンド結成っ!! 平均年齢? あはは、気にしない気にしないっ!!


 「うんうん、良い感じに仕上がったじゃないっ!! 流石重治さん、良い腕だわ――」

 「おほほほほ。元が良いからねぇ。でもちょっと背が大きすぎるのがたまに傷だけど」

 「男の人だったら利点なんだけど、女子だと目立つねぇーー」

 「長身女子って事で良いじゃないっ!! パットも入れようよっ!! 長身巨乳女子っ!!」

 「良いねぇっ!!」


 そうして女子達にあれこれ弄られながら「京子ちゃん」は完成した。

 メイクも完璧にしてもらって、鏡を見る。

 そこにはかつての。


 「美人さんだねぇ。整えるとこんな感じになるんだぁ」

 

 「ちょっと顔立ちが大人びてたから若見えするメイクも入れたわぁ」


 「良いね流石重治さんっ!! よし、これでしっかり女子校生って感じっ!! しかし、本当」


 「綺麗ね。貴方……。お人形さんみたいよ」


 鏡の中には、かつての俺の妹。鷹司京子。

 その姿があった。


 双子という事もあって俺達はそっくりだった。

 まぁ男と女の違いはあったものの、おおむねこんな感じだったよなぁ。

 鏡の中の俺。可愛らしい女の子。小さい頃はかなりモテたらしい。

 俺は、どうだったかなぁ。ともかく美しい少女。しかしぃ……。


 ちょっと胸大きくない? 京子はもっと、こう。お乳が小さかったぞいっ!

 

 「パットを入れすぎではありません? 少しお胸が重いですわ」

 

 「良いの良いのっ!! こういうのは盛ってこそよねっ!!」

 「そうよぉ。メインボーカルって事で派手にいかなくちゃっ!!」

 「すっごく綺麗だねぇ。清純派美人って感じ」


 一応抗議を入れてみたが、通る気配は無さそうだ。

 っと言う訳で前よりちょっと巨乳になって、俺の双子の妹こと京子ちゃんが再来した。


 「ごきげんようみなさん。お会い出来て嬉しいですわ」


 って訳で京子らしく、うやうやしく皆にご挨拶だっ!!

 うんうん、こんな感じだったこんな感じだったっ!! いやー、なつかし――。


 「あはは、ごきげようだってっ!! ってかまさかここまでノリノリに付き合ってくれるなんて」

 「もしかして……。そっち系だった?」


 「あら、ご想像にお任せしますわ」


 京子らしく、お嬢様な感じで応じる。ともかく彼女達と縁が出来たようだ。

 ならば。


 「皆さんごきげんよう。わたしくは鷹司京子と申します」

 「皆さんのお名前、聞いてもよろしいでしょうか」


 ならば、って事で皆の名前を聞く事にした。

 まぁちょっとしたお遊びだし、短い付き合いにはなりそうだけど。

 それでも、名前くらいは憶えておきたいな。


 「私は大槻涼子。髪色は緑。このバンドの結成人よっ!! 私はギターやってるわっ!!」

 「私は東川美代子。髪色は青っ!! ベースをやってるのっ!!」

 「私は太田好美だよぉ。髪色は赤。赤い癖にのんびりしてるって言われてるの。担当はドラム」

 

 「私達、3人合わせてっ!!」


 「ああんんふぁのあふぁんずっ!!」


 え? なんだって? 恐ろしくまとまってない合唱で何を言っているか分からなかった。

 つまり? うん?


 「ちょっとちょっと伝わってないわよん。まったく統一感がないんだから~♪」

 「ちなみに私の名前は重治よ♪。ここで美容院を経営してるわ。見ての通り」


 「オ・カ・マ・よ♪ よろしくね」

 「はい重治さまどうぞよしなに」


 この腕の良い美容師さんはオカマの重治さんと言うらしい。

 俺は彼女に深々と頭を下げ、謝意を表した。京子らしい振る舞い。

 日本女性として。っと厳しく躾けられた女の子の行動。

 でもたまに京子が息抜きしたいって時は俺が変わってあげたから、俺も教育を知る。

 ふふふ。雅かな女性の立ち振る舞い。受けて見ろっ!! あははっ!!


 「随分としづしづとした立ち振る舞いねぇ。生まれはどちら?」

 「古都地区からですわ」

 「あら~んそうだったの。ならそういう教育を受けてきたのかしら~ん」


 そんな所かなっ!! ふふふ、教養溢れる京都女性の立ち振る舞い。

 せっかくだし見てって見てって。


 「重治さん、古都ってなに?」

 「古都。京都の事よ。日本の古い首都なの」


 「それって東京なんじゃなかったっけ?」

 「それより前は京都だったのよん♪ まぁ江戸時代って感じ?」


 「ふーん。そうなんだぁ。刀持って振り回してた時代、かぁ」

 「古都地区ねぇ。でも今はウチのノアの方が賑わってるよねっ!!」

 「そうだよぉ。ウチのノアこそがナンバー1。最強の都市だよねぇ」

 「他の都市が無いだけでしょっ!」


 「「あははははははははははははははっ!!」」


 ちょっと笑えない。でも今の子はそれで笑えるのかな。見た感じ16かそこら。

 智代ちゃんと同じ年代だ。ならば20年前の出来事などやはり「過去」なのだろう。

 でもまぁ、戦闘用として作られた彼女達が楽しそうに社会風刺する。

 それも今の世情というものを表しているだろう。俺達は確かに彼女達を作った。

 しかしだからとて。


 彼女達は「物」ではない。だからもう良いんだと思う。

 そう。


 色々楽しんでさ。遊ぼうよっ!! あははっ!!


 「もう、そんな事大っぴらに言わないでよ。怒られちゃうわよん♪」

 「分かってますよっ!! でもここでは良いでしょっ!! なんたってここは私達のホームなんだからっ!!」

 「そうだそうだぁ。青春を謳歌しよ――」

 

 「バンドバンドっ!! へへへ。重治さん私達今日ライブするのっ!!」

 「メンバー改造のお礼に、ライブ見に来てよっ!!」

 「うふふ。良いわよん……♪」


 「貴方達の熱きソウル。私に見せて頂戴♪」

 

 えーっと。これはつまり。

 

 「メンバー入りが許されたと思って良いのでしょうか」

 

 「うん良いよっ!! その恰好だとドキドキしないしっ!!」

 「女の子メンバー加入っ! これでしっかりガールズバンドだねっ!」

 「ギターメンバー加入だぁ。ボーカルとか出来るぅ?」


 「ええ、出来ますわ。それで、曲は? どんなのを弾きますの?」

 「曲って?」


 「いえ、曲を皆で弾いて」

 「何を言ってるのよ。こう、音楽ってのはさぁ」


 「そうっ!!」


 「気持ちよっ!! 気持ちが出ていればどんな音を鳴らしても良いのっ!!」

 「それがロックってやつなんだからっ!!」


 「そうでしょっ!?」


 そうか? そうかなぁ。うむむ。重治さん貴方の見解は?

 大人だし、もうちょっとこう。テクニカルな意見が欲しいところだけど。


 「うふふ。それで良いと思うわん……」


 あら……。


 「気持ちがこもっていれば、貴方達がそうして元気に歌ってくれるのを見るのが」

 「私達は楽しいわん♪ だからそれで良いのよん」


 あら。あら――。

 

 「そうだよねっ!! よ――しっ!!」

 「じゃあ出動だっ!!」


 「皆で良いバンドしようねっ!!」


 「じゃあアンノウンズっ!!」


 「「えいえいお――――っ!!」」


 最後の掛け声だけ揃っていた。たぶんこの掛け声だけは常日頃言わされていたのだろう。

 軍隊として掛け合うときの声だから。

 アンノウンズ、か……。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇


 


 「よし、って訳で位置はこのくらいで良いかしらっ!?」

 「うんうんっ!! 皆も盛り上がってるねっ!!」

 「私達も青春しないとねぇ。えいえいおーだよ」


 「うふふ。頑張ってねぇ~ん♪」


 様々な雑音が雑多に、無秩序に響く例の通りにまたやってきた。

 それぞれがギターやベースなどを弾き。そこにドラムが加わる。

 どうやってドラムを持ってきたのか。っと思ったが巨大なドラムケースを担いで持ってきたらしい。

 よく見れば通りの隅に大きなドラムケースが置いてある。

 やはり兵士として調整された子達。力は強いのだろう。そんな子達が繊細な音楽を奏で青春を。

 って訳ではないんだよなぁ。ここは。


 ああ、あっちの子、弦飛ばした。力の加減が出来てないのか?

 あっちの子は……。ドラムか? うわぁ、ドラムヘッドが破れてる。

 あっちの子はギターの弦が一本も無い。だからって本体叩いて音出そうとしちゃいかんよ。


 通りの子達が本当に思い思いの「音楽」を奏でている。

 それは確かに周囲からすれば雑音だけど。


 でも本人からすれば立派な青春なんだ。

 下手ながら一生懸命に音楽を鳴らして。なんてレベルじゃない。


 音を鳴らす事自体が青春。楽器を持って、それを鳴らすと言う行為そのものが。

 彼女達の解放の象徴なのかもしれない。


 「よ――し。じゃあ皆でライブするわよ――っ!!」

 「「えいえいお――――っ!!」」


 「お――――」


 この宴に加わり、共に無秩序な音楽を鳴らす事も出来る。

 そうすれば彼女達の青春の一部となり、楽しい日々を過ごせるだろう。

 彼女達の仲間になり、ちょっとした思い出を作る事が出来るかもしれない。

 でも。


 やっぱり音楽って言うのは。


 「え」

 「は」

 「お」


 「あ、ら……」


 シンと。


 止まる。


 それぞれの「音楽」を楽しんで子達が、手を止め、俺の方を見る。

 俺はそんな子達を横目にギターを手に「曲」を弾いて「歌」を歌う。


 女性ボーカルらしく。女性の声を出して。

 「歌」に関するあらゆるテクニックを総動員し、雑音なんかじゃない。

 しっかりとした「音楽」を奏でるのだ。


 気づけば何かを奏でているのは俺だけになる。もう誰も楽器を鳴らしていない。

 バンドメンバーもそのまま黙ってギターを弾きながら歌う俺を見ている。


 昔は、歌手になるのが夢だった。

 そうなりたいと願っていた。

 でもその夢は叶う事がなくて。

 結局、俺はそのまま年を取ってしまった。

 本当に、小さい頃の夢。それでも、俺は本気で音楽をやりたかった。

 しかしそんな夢は。


 あら。

 ちょっと暗い気持ちになっちゃった。


 ちょうど一曲歌い終わる。ああ、せっかくだ。次はバラードを弾こうか。

 そうして曲調を変え、新しい歌を唄う。


 曲調を変えた瞬間、皆が集まってくる。

 恐らくレパートリーがあると判断されたらしい。


 皆がそれぞれ持っていた楽器を置いて集まってくる。

 俺はそんな中、1人歌う。


 メンバーは。あら、黙って見てる。一緒には……無理かな。

 まぁ音合わせも、何もしてないしね。


 俺一人。俺だけが音を鳴らす空間。

 つまりはワンマンライブ。大観衆の前で、バンドしちゃんもんね。

 へへへ、小さい頃の夢が叶ったや。こんな事もあるんだねぇ。


 あら、通りの遠くで見てた人達も集まってきた。

 俺の歌ってそんなに需要ある?


 いやぁははは。なんか照れるなぁ。よ――し。

 今日は喉が枯れるまで歌を唄っちゃうぞっ!!


 いえ――いっ!!


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