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魔王に囚われて異世界から英雄(ヒーロー)を召喚した王女様。間違えてゲームのキャラを召喚してしまった。  作者: 宮森 英二
激闘、バイト生活っ!!

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第51話 ウォーカー。その真価とは。


 なんだ……。こいつ。


 「目標殲滅完了。次の目標。投入願います」

 「わ、分かった……。つ、次は4足大型獣ロボよっ!!」

 「了解しました」


 動かしてる。ウォーカーを。あんなに繊細な動き。あの動き、分かる……。

 アレは。


 「使ってる……」


 「1分もかからずあの素早い犬型を……。ウォーカー。かなり動けますね」

 「え? あ、げ、げへへ。で。でがしょでがしょ?


 本当はあんなには動けない。ゲームのコントローラーでの操作だし。

 あんなに繊細な動きは……。


 「凄い……」


 付いてきたベールを付けたガキも感心してる。

 私のウォーカーの実力を。

 いや。アレは。


 パイロットの……。


 ウォーカーの前に新手の敵が投入される。その見た目は。


 「ライオンのような見た目だ。大きいな。だが」

 「負ける気はないっ!!」


 ウォーカーの大きさは約5m。対して投入した大型獣ロボは20mを超す。

 身長差は明らかだ。しかし助手はそのまま怯む事なく向かっていく。


 武器は。

 素手だ。


 アンノウンランスは使っていない。

 使えと言ったのに使わない。つまりそれが無くても出来るんだという表れで……。

 ああ、もう接敵してる。あんなにスムーズに。なんと……。


 2体が接敵する。まずは牙を向け四足の足で飛び掛かってくるロボの下部をすり抜け、ウォーカーはその両足で胴部分に思いっきり蹴りをかます。するとロボは衝撃で床に転がり、仰向けになった。

 ロボはオートバランサーが発動し立ち上がろうとするが、その隙とばかりにウォーカーが片足を掴んで、その卵型の体型を利用してグルグルと回転しながら捻じり落とした。

 その様はワニがデスロールで獲物の部位を千切るような……。こんな動き出来るのか。

 三本足になったロボはなんとか立ち上がろうとするが、やはりバランスが悪そうだ。


 それでも再び向かって来ようとするロボに先行し、素早く足元にスライディングする。

 狙うべきは三本足の1つ。

 攻撃は当たり、バランスを欠いていたロボはその勢いで転倒しうつ伏せになる。


 伏したロボの体を駆け頭の位置に近づくと、ウォーカーはその上を大きくジャンプした。

 そのまま空中で身を翻し、楕円の先端のような頭部を下にして、ロボの頭部に思い切りぶつけた。


 ガシャンという大きな音と共に、ロボの頭部がひしゃげる。

 頭部センサーアイによる視覚索敵が困難になり、ロボはまだ機能する聴覚による索敵を開始した。

 キョロキョロと首を回し、敵の位置を確認しだす。

 ウォーカー側はそれに気づいたのだろう。捻じり落としたロボの足を掴むと、壁側に投げ音を出す。

 その音に気付き、ロボは投げられた方向へと向かっていく。

 そのまま己の体から外された足を獲物と勘違いして齧りつき、追撃を加えていく。


 そんなロボにウォーカーが全速力で走っていき、その卵型の先端を向けて思い切り突撃した。

 それを受け、ロボは壁側に大きくぶつかり。


 それから、動かなくなった。


 「撃破完了。次お願いします」

 

 「よく動くね……。これほど複雑な動きが出来るとは……」

 「こんなに動けるものなんですの……? 凄い……」


 まさか。本当はもっと動きは鈍重で。こんな動き。


 「脳波コントロール……」


 これほどの詳細の動き。やはりアレを使わなければ……。

 いやこれは普通に使ってるだろ。ゲームコントローラーでこんな動きは出来ない。

 でも本当に? 


 私は端末を取り出すと、ウォーカー操縦者のバイタルデータを映し出した。

 もし脳波コントロールを使っているのなら血圧や脈拍などで異常値が出る筈だ。


 大体300以上の異常な血圧上昇が確認され、それから頭が爆発する。

 それ故に脳波コントロールは諦め、操縦式にしたのだから……。


 「バイタル異常なし? 血圧100。正常値……」


 血圧正常っ!? なんで? この動き、明らかに使ってるのに……。


 「博士、目標撃破完了っ!! 次、お願いしますっ!!」

 「次、次って……」


 動かせる。こいつ脳波で動かせるんだ……。


 それなら。


 「助手っ!! 手を抜くんじゃないっ!! アレを使いなさいっ!!」

 「アレ? アレとはなんですの?」


 ベールのガキが食い付いた。

 金持ちのいけ好かないガキ。よし。よし。


 見せてやるっ!!


 「今から全ての模擬戦用「怪獣」を投入するわっ!! その敵を」

 「アンノウンランスを用いて根絶やしにしなさいっ!!」


 やってやれっ!! 出来るならっ!!


 「アンノウンランス。こちらが提供したアンノウンの欠片かね」

 「はい、今は「切り札」として実用化する為、武器に転用。研究しています」


 「なるほど。それでアンノウンランスか。安直ですね」


 ほっとけ。アンノウンは。

 「アンノウン」であるからこそカッコいい。

 この爺はそれが分かってないな。

 

 こちらの命令を受領したウォーカーがアンノウンランスを持って訓練場に立つ。

 卵に足が付いたようなその見た目。職員連中はカッコ悪い。

 なんて言っていたけど、でも戦う上でこれほど利便な姿はない。

 衝撃にも強く、設計によって揺れも少なく抑えられている。

 敵からの攻撃もその楕円の形で大きく吸収する事が出来るし、復帰からの立て直しも早い。

 

 それに卵って形が実に気持ち良い。

 そう。卵とは本来生命を守るために形作られているのだ。


 ならば操縦者を守るという意味でも。

 やはり、その形は正しいんだ。


 だから。


 私のウォーカは強いっ!!


 「こ、これは……」

 「10。20。いやもっと……。こんなに? あ、あのこの数、本当に大丈夫なんですのっ!?」


 黙れ小娘。私が作ったウォーカーは無敵なんだ。

 それにこいつは「使える」んだ。だったら。


 「やってみせろ助手っ!! 全部で97体っ!!」

 「貰った予算で作りまくった模擬戦用の雑魚共だっ!!」


 「1対複数がウォーカーの花形っ!! それが出来てこその次世代兵器だっ!!」

 「倒して倒して、倒しまくれっ!!」


 それが。それが。


 「アンノウン」を目指す上で。


 必要な事なんだからっ!!


「了解。これより敵戦力の殲滅に入ります」


 ふん、カッコつけた言い方しちゃって。顔色一つ、声色一つ変えないで……。

 なんかむかつくな。

 

 ああ、むかつくむかつく。私の作ったロボをあんな簡単に片づけて。

 あれ作るのに結構苦労したんだからね。

 ああむかつく。脳波コントロールも使いこなすし。

 なんでなんで? 今まで適合者なんて現れた事ないのに何でこんな都合よく。

 

 っていうかなんで適合すんのよ。おかしいでしょ。

 むかつくむかつく。なんかむかつく。ああ気に入らない気に入らない。

 このままじゃ本当にこいつを本採用しなきゃならなくなる。 顔だけの生意気なガキ。

 こんなのを。この、このガキを……。

 また歯を磨かれたり爪切られたりするんだ。くそくそくそ。


 ああむかつくむかつく。ああそうだ。だったら。


 「制限時間は5分っ!! それ以内に全ての敵を殲滅なさいっ!!」


 なんて事を言ってやったっ!! やった一矢報いたぞっ!!

 流石に5分でなんて出来る訳ないっ!! いっぱい叱ってやらなきゃならないっ!!


 そうだっ!! ここは誰が一番上か教えてあげなくちゃ。

 出来ないこいつを叱って。


 私が一番だって証明しなくちゃねっ!!

 わーーはっはっはっ!! どうだどうだっ!!


 ざまあみろ――――っ!! や――いや――いいひひひひひひっ!!


 「了解」


 いひ?


 「目標時間5分。それ以内に」


 「敵目標を全て殲滅しますっ!!」


 い。


 い、い……。ひ……?


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