第50話 模擬戦だ模擬戦だっ!! ここはちょっとは見得張らないとね
「博士。ウォーカは大丈夫ですか? 結構魔獣との戦いでボコボコされましたけど」
「ああん? 大丈夫よ。ウォーカーは自己修復能力があるから」
「ってかアレはゲームの話でしょっ!! ダメージなんて受ける訳ないじゃないっ!!」
あ。そっか。そういう認識なんだった。大丈夫かなウォーカーくん。
不具合とか無いと良いなぁ。見た感じは大丈夫だけど……。ってか傷本当付いてないな。
再生したのかそれとも普通に頑丈なのか。
どっちにしろこのウォーカー。博士が言うだけあってかなり有用かも。
頑丈だし乗っても揺れないし。
普通に使えるよね。硬いし揺れないし、次世代兵器の威厳ってのを感じるぞぉ。
これが量産されれば……。
う――ん。もしかして今かなり頑張りどころだったり?
俺が将来もっと楽にニートを続ける為にも、ここは良いところを見せないとなっ!!
「助手、聞こえる?」
あら博士からの通信だ。なんでござんしょ。
「さっきは、ありがと……」
「うん? すいません聞こえませんでした」
「死ねっ!!」
ええ。聞いただけなのに……。
まぁ良いや。
さて。という訳で視察の為の模擬戦をする事になった。
場所は前にでっかいゴジュラ型ロボと戦ったあのひろーい空間。
博士曰くゴジュラ以外にも沢山の模擬戦用ロボが用意されているらしい。
予算いっぱいあったから作ったそうな。
お金周りが潤沢って良いねぇ。俺なんてすぐ金欠になっちゃって。
なんでだろ。まったくまったく。
「よし、それで準備は良いわね助手」
「は――い博士。でも模擬戦ってどんな事するんですか?」
「今から訓練用のロボを出すわ。それをアンノウンランスで切って倒しなさい」
「あら、良いんですかそんな楽して? ズルくないです?」
「良いのっ!! そっちのが映えるんだからっ!!」
そっか。敵をスパッと切って倒して終わらせた方がやってやった感があるのな。
まぁ元々簡単な操作で敵を倒せるってコンセプトだからそれが正しいのか。
でもなんか。
それはちょっと寂しいような。
派手な事したいよ――。派手な事……。
あ、そうだ。
「博士っ!! あの脳波コントロールってやつ使えないんですか? あれ使ってド派手に動けばっ!!」
そうだそうだ。あったあったそんなのっ!! 脳波で動かせるってやつっ!!
脳波コントロールなんてなんかロマンあるじゃんか――。
脳波で動かすよっ!! 脳波ロボだっ!! 「駄目よ」
あら?
「あら駄目なんですか? 脳波ロボ作戦」
脳波。脳波。昔ロボットアニメとかであったよなぁ。
なんかいっぱい変な板みたいなの沢山動かしてオールレンジ攻撃だっ!! いやアレは違うか。
「脳波コントロールは色々と不具合があるのよ」
「この仕様は特別な素養がある奴でないと脳が焼けて使い物にならなくなるわ」
ええ……。なにそれ。
「使いこなせば強いんだけど……。
「でも今のところその素養がある奴は居ないわ。みんな頭が爆発して病院送りになったわ」
ええ……。っていうかここの職員が全員辞めたってのもしかして……。
「それで職員連中を爆発させてたら、あいつ等辞める辞めるって」
「まったく爆発しても薬で治せるのにどいつもこいつもっ!!」
「根性無しよねっ!!」
あら――。直接の原因そちらでしたか。
そりゃあ。頭を爆発なんてされたら寄りついて来ないよ……。
ここ食堂もシャワールームもないし、おまけに責任者は頭爆発させてくるし……。
う――ん。もしかしてあんまり良い就職場所でない?
いや。でもあんまり人居ないのはアピールポイントよ。うんうん。
「そう言う訳で無し。本当はあっちのが本命だったんだけど……」
「脳への負担があんなに高いとはね――。だから急遽コントローラーを取り付けたのよ」
あのクソ仕様はそういう事だったのか。 もうっ!! しっかりテストプレイしてよねっ!!
「ともかく脳波は使わないわ。操作はいつも通りのコントローラーよ」
「アレは不具合マシマシですけども……」
「体裁さえ整えれば良いのっ!!」
「ともかくっ!!」
「さぁ、模擬戦の始まりよっ!!」
ああ。始まりの合図が来ちゃった。しかし体裁かぁ。本当にアレで大丈夫かな。
まだアッチは調整済んでないのに。ジャンプは棒立ちジャンプでダッシュは変に前に進む。
ろくに前に進めないの仕様で模擬戦なんて……。
せっかくの博士の晴れ舞台。それをあんなので。
う――ん。
う――ん。
ここはやっぱり……。
「げ、げへへっ!! いやぁ。そう言う訳で今から模擬戦を開始しますぅう。げへへ」
「ふむ、頼みましたよ。投資分の働き。見せてください」
「それはもうっ!! げへへへへ」
「で、ではそう言う訳で。おいっ!! じゃなかった。頼んだわよ助手っ!!」
「今から助手様のご雄姿が見れるんですの?」
「え、あ、はい」
「そうですか」
「それは、楽しみにしておりますわ」
「は、はぁ……」
なんだこのガキ。
いけ好かないガキ。顔にベールなんて付けて顔隠して。
あーあー。金持ちのガキの趣味って分からんね。ってかなんだこのガキは。
こんなガキが来るなんて私聞いてないんだけど。
模擬戦はお遊戯会なんかじゃねぇんだけど。くっそガキがっ!! 生意味なんだよっ!!
私は身を粉にして後の人類の為に尽くしてるってのに。
金持ちのガキはパパに連れられて仲良くお遊戯鑑賞ってか?
あーあー。良いね平和で。まったく現状をまったく理解してないガキはこれだから。
あーあー。つまんねっ!! 視察なんてつまんねっ!!
私はこんなに頑張ってるのに。私なんて体も洗わないで……。くそ昨日洗ったわっ!!
い、いや。そうだ飯も食わないで……。くそさっき食ったっ!!
歯も磨いて髪も整えて爪も切られたっ!! 畜生死ねっ!!
ああむかつく。そもそも職員の連中が全部辞めたのが悪いのよ。ちょっと頭が爆発したくらいで。
ああだこうだと。昔の人はねぇ。そんななっても頑張ってたんだから。
だからもっと気合を入れないといけないってのにもうまったくっ!!
そもそも、あの助手も助手よっ!! ちょ――っと顔が良いからって雇ってあげたらああだこうだと。
ふんっ!! ちょっと顔が良くて筋肉があって優しいからって。
ああむかつくっ!! あの助手はむかつくわっ!! あとで虐めてやらなきゃ。
そうだ。あいつを虐めて発散しないと。私は偉いっ!! 私は人類の今度を担う。
ええい。もうっ!! くそくそくそっ!! 何もかも気に入らないっ!!
どいつもこいつも脳波コントロールに適合しないし。
アレが使えればウォーカーはもっと輝くって言うのにっ!!
ほんとは私だってコントローラー操作なんてやりたくなかったっ!!
でもどいつもこいつも操れないから仕方なく……。くそうくそうっ!!
ああ、もう後で操作の調整しないとね。前ダッシュは不評だった。良いと思ったのに。
はぁ。しかし本当に大丈夫かしら。あいつしっかりやってくれると良いけど。
まぁ今まで乗せた奴で一番動かせるからまぁ大丈夫だとは思うけど。
ともかくなんでも良いわ。脳波コントローラーにしっかり適合するパイロットが見つかるまで。
あの顔だけの男を……。
あれ?
動き方がおかしい。あんな歩き方だっけ?
「パイロット、準備完了。今すぐイケます」
「さぁ」
「模擬戦を開始しましょう」
ふん。なによ。さっきまでふにゃっとした感じで喋ってた癖に威圧感あるように演技して。
アイツ。本当に生意気だわ。顔だけの優男。
本当、顔だけ。あいつは顔だけよ。変なゲームやらせるし私の体あちこち触ってくるし。
きっとロリコンよ。私に気があるんだわ。あーあーモテる女ってのは困るわまったく。
ふん。どんな演技をしたところで。あいつの元の姿、私は知ってるんだから。
まったくまったく。まぁ良いわ。ともかくやれるって言うなら。
やれるだけやってやりなさい。
「まずはの小手先っ!! 犬型ロボット放つわよっ!!」
精々、私に恥をかかせない事ね。
テストパイロットさん。




