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魔王に囚われて異世界から英雄(ヒーロー)を召喚した王女様。間違えてゲームのキャラを召喚してしまった。  作者: 宮森 英二
激闘、バイト生活っ!!

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第41話 次世代兵器のシミュ―レートは異世界でっ!! やっぱりダッシュに問題あるよなぁ。


 「うおおっ!! この甲冑凄い防御力ですけど走りにくいっ!! なんだこれっ!! でゴワスぅうううっ!!」

 「何よ文句があるって言うのっ!? ボタン押してすぐダッシュした方が走りやすいでしょっ!!」


 焚火から復活して開幕、ウォーカーに乗ったアニエスさんが怪獣の尻尾攻撃で吹っ飛ばされていた。

 アニエスさんは避けようとダッシュしたが、例の問題にぶち当たり敵の攻撃範囲に入ってしまった。


 結果、吹っ飛ばされてしまう。例の問題。そう……。

 このウォーカー。ダッシュボタンを押せば前に進んでしまうのだ。

 どんな状況であろうと前にダッシュする。

 結果後ろに素早く移動したいという時でも前に進んでしまう。だから敵の攻撃を受ける。

 その結果、アニエスさんが操作するウォーカーは木々に激闘し衝撃を受けた


 「これだけの攻撃を受けても中はこれといって揺れない……。使えるっ!! でもっ!!」

 「ああ、もうっ!! だからなんで前に進むんでゴワスかっ!?」


  立ち上がり、後ろに逃げようとしたのだろう。しかしやはりダッシュボタンを押した瞬間前に進む。

  結果敵の前に出てしまう。そうして敵の攻撃で蹴られ、ウォーカーが再び森の木に激突した。


 「うぅ――ん。もしかしてこの仕様あまり使いにくい?」

 「おねえちゃんっ!!」

 「大丈夫、意外と中は揺れない。防御力は。満点で、ゴワス」


 幸いウォーカーは無事だ。本当に頑丈な機体だ。しかし。

 ウォーカーがゆっくりと立ち上がっている最中に敵怪獣が近づいてくる。

 やはりこの立ち上がりの遅さには問題がある。

 せっかく高い防御力で敵の攻撃を防いでも、この復帰の遅さで敵の追撃を許してしまうのだ。


 「うぉおおおおおおおおおっ!! おおおおおおっ!!」

 「うるさいわね。もう、近くで大きな声出さないでよ」


 俺はなるべく敵の気を引く為に咆哮を上げながら敵に突撃を……。

 うん? いや待てよ。いま通信機はウォーカーに乗っているアニエスさんが持っている……。

 あっ。


 んもう意味ないじゃんっ!! でもこういう時大きな声出したくなるって事でっ!!

 持ち得る経験値全てを使って強化した持久力でローリングを繰り返しながら、俺は敵に近づいて一撃を加えた。


 「す、凄い変な動きですニャンっ!! でも早いっ!!」


 現実世界で見るローリングはやはり気持ち悪い。しかしおかげで敵に攻撃を当てる事が出来たっ!!

 だが問題なのはそれが効いているかどうかだ。敵の様子は、どうだっ!?


 「なによ。まったく駄目じゃない。攻撃力上げないからまったく」


 案の定効いている様子がないっ!! 

 敵の装甲。というか皮膚は厚く、こちらの攻撃を受けてもダメージを受けている様子は無かった。

 しかしその目標を変える事には成功したようで、じろりと目線を動かし敵怪獣がこちらを向く。

 

 そのまま足を大きく上げこちらを踏み潰そうと狙ってくる。

 だが動きが遅い。俺はローリングで敵の懐に入り、そのまま上げられていない方の足に攻撃する。

 しかしやはり効かないっ!! まるで硬い岩に弾かれたように剣が跳ね反発する。


 「硬いっ!! なんだこの怪獣っ!!」

 「生身で倒すような敵じゃないのよ。ライフルとか無いのライフルとか」


 残念ながらそんな物このキャラは使えない。あくまで近接攻撃で攻めるしかないのだっ!!

 俺は諦めずに剣で敵の足を攻撃し続ける。そんな俺の攻撃に怯みもせず、敵はその大きな口を開け。

 真っ赤な炎を俺に浴びせてきた。


 「うわぁっ!!」


 そのまま俺のキャラは火に巻かれ死亡した。


 「あら火吹いてきた。足元全部火炎まみれ。こんなのどうやって攻略させるつもりだったのかしら」


 そりゃあ攻略させる気ゼロで攻撃してるんだから無理だろう。

 死角を完全に奪うような広範囲の火炎ブレスが周囲を焼き尽くす。

 だが幸い焚火があった場所までは届かない。それ故復活する事が出来た。

 

 「うぉおおおおおおおおおおっ!! でゴワスぅうううううっ!!」

 

 俺が死んでいる間に敵の攻撃はウォーカー側に移り、吹かれた火炎が継続してウォーカーにぶつかる。

 火炎の直撃を受けウォーカーは焼き卵が如く火炎を浴びせられ続ける。


 「ちょ、これは大丈夫なんでゴワスかぁあああああっ!?」


 その猛攻にアニエスさんが慌てふためく。そりゃあそうだ機体が直接火に包まれてるんだから。

 しかし幸いにウォーカー側の装甲に溶けているような描写はない。


 「この程度の攻撃想定済みよ。でなきゃ次世代兵器の看板は担えないわ」


 それは凄い。けど操作性がやっぱり悪いですよ春美博士っ!!

 

 「うぉおおおおお後ろに避難……。だからなんで前に進むのぉおおおおおっ!! ゴワスすぅううっ!!」


 例の不具合でやはり前に進んでしまう。

 敵の攻撃は前から来ているのだから前に進んだそりゃあ攻撃を受ける。

 そうして火炎ブレスの直撃を受け続ける。


 しかし流石に継続して続けられなくなったのか。敵のブレス攻撃が止む。

 その隙に、っとばかりにウォーカーのパンチが敵の足に直撃する。


 5m級の機械巨人の攻撃を受け、さしもの巨大怪獣も無傷という訳には行かなかったのだろう。

 少しよろめいたようだ。だがやはり対格差があまりにもありすぎる。敵の体長は30m近く。

 巨大だ。こんな巨大な物、一体どこに隠れていたって言うんだ?


 「魔獣は魔素が少ない夜には地中に隠れているんですっ!! ニート様逃げましょうっ!! 昼間のこいつに敵う術はありませんニャンっ!!」


 どうやら夜に敵が出てこないのは「魔素」という要素があったかららしい。

 とすれば早朝に現れたこいつは精力十分という事なのだろうか。であれば。

 

 であれば余計に野放しにしておけない。なんとか。なんとか倒す術は無いのだろうか。

 

 「春美博士っ!! 何か武器は、武器はないんですかっ!?」

 「あるけど、あの娘には使いこなせないでしょ。動かすだけで精一杯って感じよ」


 確かに癖のある操作に難儀しているのが見て取れる。恐らくゲームなど触れた事がないのだろう。

 実にぎこちないその動き。これでは。


 「やっぱりあんたが操作なさい。やっぱり攻撃力が足りなきゃダメージは与えられないわよ」

 「それを与える武器をウォーカーは持っていると?」

 

 「それは乗ってのお楽しみって訳」

 「どうやって操作すれば良いでしょうか」


 「そんなの」

 「やってみなきゃ分からないわよ」


 ごもっともな意見だ。


 「ニート様、私では駄目ですっ!! 操作、変わってくださいでゴワスっ!!」

 「わ、私も乗せて――っ!! 生身で魔獣の近くに居るのは怖いですニャンっ!!」

 

 そうしたい所だが、それをするにしても敵の隙をなんとか作らないと。


 「サンダーアローっ!!」


 なんだ? 森の方から叫び声と共に雷の矢が敵に直撃する。

 これは……。


 「助太刀感謝するっ!! しかしS級魔獣を相手にこの人数では不利だっ!! 一旦逃げるぞっ!!」

 

 森の中から甲冑を着込んだ女性が現れた。馬に乗っている所を見れば先程追われていた女性だろう。


 「私は森を行くっ!! 森の木々が奴の進行を抑えてくれるっ!! そちらもゴーレムを使い敵を翻弄しつつ逃げろっ!! 二手に分かれるぞっ!!」

 

 彼女は森の中に逃げ始める。道中先ほど使った雷の矢を放ちつつ森の中を突っ切っていく。

 その攻撃を受け敵が嫌な顔をした。多少は効いているようだ。アレが、魔法か……。

 騎士の攻撃を受けイラついのか、敵はどうやらあちらを追う事を選択したようだ。つまり。

 チャンスだ。

 俺はアニエスさんにコクピットを開けさせ、コリーヌちゃんと共に中に入った。

 だが。


 「こっからどう動かすのかって事だよねぇ」


 こちらの操作権は俺のキャラしかない。ウォーカーはどうあっても動かせないのだ。


 「博士、どうにかなりませんかっ!?」


 こんな時の春美博士。博士エモンっ!! なんとかして――っ!!


 「ふむ。脳波コントロールを試してみたらどうかしら」


 脳波コントロールってなんだぁ?

 

 「より複雑な行動をする為の形態よ。まだ未完成な部分だけど」

 「まぁゲームキャラに乗せる分には良いでしょ。もしかしたら操作がウォーカ側に戻るかも」

 「ほら、ゲームでもあるでしょ。乗り物に乗り込んでそっちに操作が移るって」


 確かに、それはそうだが……。上手く行くか……?

 いや。


 なんでも、試してみないとっ!!

 



「くそっ!!」


 敵魔獣の動きが早いっ!! あれだけの巨体でなぜあれほどまで動けるのか。

 アルテナ王国を滅ぼした魔獣の強さ。やはり驚異的だ。あのゴーレム使い達は生き延びただろうか。

 いや、敵がこちらを追っているのならば生き延びているだろう。

 彼女を囮に、逃げる事も出来た。しかし。


 「そんな醜態、騎士道精神に反するっ!!」 

 

 だからこそ、あそこで逃げる訳には行かなかった。

 あちらも危険を承知でこちらに助太刀してくれたのだ。それもあんな小さな少女が。


 恐らくはゴーレム使い。使役しているのは二体。

 一体はデカい足が付いた卵。もう一体は人型のゴーレムだろう。

 それを使い私を助けてくれた。そんな人物を囮になど。そんな事するくらいなら死んだ方が良いっ!!


 だが、死にたいなんて事はない。なんとか、なんとか逃げ切る事が出来れば。

 焦る心。そんな時一匹のスライムが馬の脚に絡まり、そのまま馬が転倒してしまう。


 しまったっ!! なんとか転倒した馬を立たせようとするが馬の動きがおかしい。


「骨折したか……。くそ……」


 馬の脚を見れば明らかに折れているのが分かる。回復術のスクロールはもう無い。

 これは……。


 「詰みか……。しかし敵の攻撃にかかり死ぬつもりはない」

 「自らの始末は、自らで付ける……」


 「父上、母上……。どうかこの場で命終える事……」


 「お許しくださいっ!!」

 

 短刀を取り出す自らの首元に……。


 当てようとした瞬間。大きな爆発音と共に、敵魔獣に「何か」が当たった。

 一発だけではない。更に一撃。もう一撃と。


 なんだ?


 「対怪獣用大型バズーカよ。弾倉は弾薬庫から無限転送されるわ」

 

 「だから弾切れなんか気にしないっ!! 敵目標を」

 「撃って撃って撃ちまくりなさいっ!!」


 「了解っ!! こちらの戦術歩行兵器研究所所属のテストパイロットっ!!」


 「敵目標。大型巨大魔獣っ!!」

 「ただいまより」


 「シミュレートを開始するっ!!」

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