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魔王に囚われて異世界から英雄(ヒーロー)を召喚した王女様。間違えてゲームのキャラを召喚してしまった。  作者: 宮森 英二
激闘、バイト生活っ!!

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第32話 労働交渉だっ!! まぁバイト感覚って事でっ!! 駄目?


 「ああん? それで?」


 「いや、だから」


 「バイトなら、良いかなって戻ってきたんだけど」

 「バイトだぁあああああああ――っ!?」


 「舐めてんのかこのガキがぁああああああああ――っ!! うぁああああああああんっ!?」


 そう言う訳で、研究所に戻ってきて労使交渉を開始したっ!!

 フルタイムは無理だけど、バイトって事なら働けるかなーって思ってきたんだけど。


 「カスがっ!! フルタイムで一日中働けっ!! 貴様、舐めてんのかっ!?」


 しかし俺の雇い主(予定)の彼女はどうやらご不満のようだ。


 「いやぁ、流石にフルタイムはその、体力の限界と言いますか」

 「週3、5時間程度なら、まぁ大丈夫かなっとぉぉ…」


 「週3とかふざけてんのかっ!? 土日返上で働けっ!! お前みたいな下働きはそれくらい働くのが正当なんだよっ!! あと毎日20時間は働くんだよっ!! 寝る時間4時間っ!! 人間これくらいが丁度良いんだっ!!」


 「それじゃあ体壊しちゃいますよ。寝たい時に寝るのが一番ですよー」

 「クソ学生がっ!! んな贅沢する訳ないだろっ!! 私の手に人類の未来が掛かってるんだよっ!!」


 「でも倒れたら元も子もないですしぃ」

 「その時は薬を打てば良いんだっ!! 上等だろっ!!」


 「あら――――。薬は良くないですよ。適度に休憩しなきゃ。お昼寝とか」

 「赤ん坊か貴様っ!! 働けっ!! この世に生まれたからには死ぬまで働くんだよっ!!」


 「そんなに働いてるんですか? 働き者だなー。凄い」

 「舐めてんのかコラぁああああああああ――っ!! このクソガキぁああああああーっ!!」


 この通り。労使交渉が中々上手くいかない。

 しかし知らなかった。普通の人は毎日20時間も働いてるのか。そんなんで体持つのかな。


 「ともかくフルタイムでみっちり働けっ!! 休みなんて許さないわよっ!!」

 「でもここもう人居ないんでしょう? っていうか他の方々はどこかに?」


 「研究職の奴は違うとこで働いてるわ。今日は展覧会って事だからレイジだったり他からの奴等も来てたけど、普段は私一人で働いてるわ」

 「整備する人とかも居たんでは?」


 「居たけど、全員辞めてったわ」

 「それはなんで?」


 「ああんっ!? 知らないわよっ!! 私がうるさいだったり働かせすぎだとか言ったり」


 「ともかくどいつもこいつも根性無しよっ!! 私はこんなに必死に働いてるって言うのにっ!!」

 「人類の未来を担ってるのよっ!! 休日なんて贅沢よっ!! 土日祝日ですって?」

 「そんなの贅沢よっ!! 私のスタッフだったら一年365日一日も休まず働くべきだわっ!!」


 「そっかぁ――。体の方は大丈夫なんです?」

 「だから薬を打ってるって言ったでしょっ!! そんなの大丈夫よっ!!」


 体に薬を打ちながら一年中働いてるって事?

 あらー凄い。普通の社会人ってそんなに働いてるんだ。意外とみんな丈夫なんだな――。

 でもこの子は若いんだからもうちょっと遊べば良いのに。


 三日月春美ちゃん。小さな女の子だ。働け働け働け少女。ともかく働けとうるさいのだ。

 彼女もそんなに働いてるのかと思ったら、確かに見れば目にクマが。

 目も真っ赤に充血して、全体的に疲れを感じる印象。


 女の子の前だから言わなかったけど、なんかちょっと変な匂いもする。

 髪だってボサボサだし、色々と大丈夫かな? しっかり食べてる?


 あ、そうだ。


 「だから私達は1日も休まず永遠に働き続けるべきであってっ!!」

 「春美ちゃん、ご飯食べない? お弁当買ってきたよ」


 「はぁああああああああああああああああああっ!?」

 

 レイジさんから貰った3万円の軍資金。それには多少の余りもあった。

 それを使ってお弁当を2つ買ってきたのだ。


 この研究所には売店っぽいのなかったし、食べる物必要かと思って。

 っていうかこの子はいつご飯食べてるんだ?


 「春美ちゃんはいつご飯食べてるの? あ、出前とか?」

 「食事なんて必要ないわっ!! 栄養なんてサプリ飲めば良いじゃないっ!! だからここには売店も食堂も無いわっ!! 食事なんて甘えよ甘えっ!! 職員連中も売店出せだの食堂を寄こせだのっ!!」


 「そんな贅沢してるから休みばっかり欲しがるんだわっ!!」

 「将来を思うなら、今日精いっぱい死ぬ気で働くべきなのよっ!!」


 「分かってるのっ!? ああんこのゴミっ!!」

 「鮭弁当買ってきたから一緒に食べよう。いやー弁当なんて久しぶりに食べるな――」

 

 「ちょっとっ!! 私の話を聞いてるのっ!?」

 「はい箸。まぁ労使交渉は食べた後でって事で」


 ともかくお腹が空いた。そういえば昼も食べてないや。

 鮭弁当美味しそうだな。なんか最近贅沢してるな――。ふふふ。


 太らないと良いけど、まぁちょっとくらいなら良いか。

 いつも痩せすぎだってたかしくんに怒られてるし。欠食児童ニートだとか言われたっけ。あはは。


 「おい、私の話聞いてるのかっ!?」

 「ご飯食べたらお話聞くから」


 「今は一緒にご飯食べよう」


 「っ」


 「食べたら、話を聞くんだな」

 「うんうん、聞くよ。今はお腹空いてるから」


 「っち。なら」


 「仕方ないわね」



 ◇ ◇ ◇

 

 

 「うぐ……うううん。もう食べられないわぁああああ」


 寝ちゃった。

 弁当を食べ終えて、そのまま春美ちゃんが寝てしまった。

 俺が食べる分の弁当も平らげて、そのままなんか寝てしまった。


 よっぽどお腹が空いてたのかな。グーグーと寝息を立てながら眠ってる。

 こうしてみると普通の女の子だなぁ。ボサボサながら艶やかな青髪が彼女の若さを思わせる。

 青髪か。色付き髪の子、増えたよなぁ。まぁあれから20年だから。


 本当、色々あったよなぁ。

 おっと、年寄り特有の昔語りモードに入ってしまった。


 20年。きっと彼女は生まれてない。智代さんだってそうだろう。

 たかしくんなんて当然だ。みんな過ぎ去っていく。過ぎ去られ、忘れ去れる。

 でもきっとそれが正解なんだろう。


 俺は色々と引きずりすぎなのかもしれない。彼女みたいな子だっている訳だし。

 もうちょっと……。


 「うううううん……。お母さん」

 「わたし、は……」


 良い夢見てるかな? 見てると良いなぁ。ともかく彼女は寝かせておこう。俺は、どうしようかなぁ。

 部屋の中を少し観察した。なんてことのない普通の応接室。

 殺風景なその部屋には椅子とソファー以外の物は何1つ無かった。

 その部屋の様相だけで彼女の性格が分かる。もっと可愛い小物とかあっても良いのに。

 ともかくストイックに生きているんだろう。


 何もない部屋。だがふと扉1つ先の部屋にテレビがある事を確認した。

 テレビか。そういえば最近見てないな。

 そう思って部屋の中に入り、テレビを見ようと電源を付けた。


 「テレビかぁ小さい頃は番組とか見てたけど今はゲームくらいしかやらないから。なんか新鮮だなぁ」

 

 テレビの電源が付き、しばらく待つ。そうして番組を見ようと。


 「あっ」


 「あっ!!」

 「英雄様っ!! ご帰還なされたのですかっ!?」


 そこには。


 「エンデール……。え、家じゃないけど……」


 これは、アレだよね……。


 テレビを付けた先にはエンデールがあった。

 俺が出現した事を見て、2人がこちらに近づいてくる。


 「英雄様、おかえりなさいっ!!」

 「英雄様、お仕事は終わりですかっ!?」


 俺がゲームの中に入れた服を彼女達が着てる。

 ああ、やっぱりエンデールだ。自宅ではないテレビの中そこには最近プレイしてるゲーム……。


 いや。


 俺を英雄と呼ぶ謎の世界がそこにはあった。

 彼女達が俺を迎えてくれている。でもコントローラーが無い。


 「あ、そうだ……」


 俺は施設を走り、三日月春美。彼女が作った最新兵器。ウォーカーからコントローラーを外して。

 テレビの前で、それを操作した。


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