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魔王に囚われて異世界から英雄(ヒーロー)を召喚した王女様。間違えてゲームのキャラを召喚してしまった。  作者: 宮森 英二
異世界と現実

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第134話 知らない街。知らない朝。なんか良いよねっ!!


 「うわ……。うわぁ。え、こんなに。え?」

 

 あれから彼女を桶の中に入れてその体を洗ってやる。

 水は「魔法」という事にしてウィードから持ち出した。

 コリーヌちゃんの炎魔法で暖かくした後、彼女を桶に入れ洗う。


 洗うが、やはり水がすぐに濁っていく。

 エイミーちゃんはその様子を見てショックを受けているようだ。


 髪は後ろを向かせればなんとかなるが、流石に体全体は誤魔化せない。

 ちょっと可哀想だけど仕方ない。垢すりなども使い念入りに彼女の体を洗う。


 「え、え……。なに、これ。え」


 垢すりで彼女の体をこすると次々と彼女の垢が落ちていく。

 自分の体から出てくるその汚れの結晶を見て彼女は驚愕を示していた。


 「こんなに……。汚。え……」


 内心悪い事したなぁ。っと思いつつ止める訳にも行かず作業を続ける。

 全身くまなく垢をする。するとまぁ出る出る。


 首元なんかには特に垢が溜まっているのか。すってもすっても垢が出てくる。

 しかしこすっていく内に静まっていく。


 垢が出なくなったことを確認してボディーシャンプーを使いその体を洗っていく。

 泡立ちが良い物を買った為、彼女の体はすぐさま泡に包まれた。


 が、まだ汚れが残っていたのかすぐさま黒くなる。


 「うっ。なんで泡さんすぐ黒くなるの? 私が汚いから……?」


 あら。気付いちゃった?

 ま、まぁ続けていけば綺麗になるからっ!!


 全てが終わった後、博士の着替えを彼女に着せてあげた。

 着られるかなと思ったが、うんぴったりだっ!!


 うん、ぴったり。エイミーちゃんは結構大きいなぁ。あはは。

 服を着せた後は博士に使おうと買っておいた市販の歯石融解の薬を塗って歯石を落とす。

 それからホワイトニング効果のある歯ブラシで歯を磨き歯を白くする。


 これで。


 「ほらぁ、綺麗になったねっ!! ピッカピカだよぉっ!!」


 見違えたねっ!! っという言葉はなるべく使わないように。

 ピッカピカ。そういう事にして再び彼女に鏡を見せる。


 身綺麗な服に着替え体の汚れを落とし、髪のキューティクルも回復して。

 歯が真っ白。


 うんっ!!


 しっかり美少女じゃないかっ!! 可愛い可愛いっ!!

 う、うんうん。


 「わ、わぁ――っ!! とっても可愛いねエイミーちゃんっ!!」

 「可愛い可愛いっ!!」


 「かわ、いい」

 「………………………………………………」


 えっとぉ――。


 エイミーちゃんは無言で鏡を見ながらその場を動かない。

 確かに綺麗になった筈だが……。何か思う所があるようだ。


 「これが、私……」

 

 えっとぉ……。そのぉ。


 あ、これはじゃあ前の私は何だったの?ってなるタイプ?

 あら、あらら……。これは、マズイ事したかなぁ。


 「凄い……」


 うん?


 「す、凄いっ!! こんなに美人になるなんてっ!!」

 「こ、これはまさに絶世の美女だわっ!! ひゃほぉっ!!」


 あ、そっち系に考えられる子っ!? いやぁ助かったっ!!


 「見られる顔になったじゃない。そのぉ、か、可愛いわよ」


 柄になく博士が褒めている。流石に空気を読んだのか。

 でも見られる顔になったってのは余計じゃない? まったくまったく。


 「お、お母さんっ!! す、凄いよ凄いよっ!!」

 「え、ええ。本当、綺麗になったわねぇ」


 彼女の母親もその様子に仰天しているようだ。

 まぁだいぶ汚れてたしなぁ。そう考えれば他の家族の汚れも……


 う――ん。せっかくだし。


 「皆さんも綺麗になっていきますか? なぁに一宿のお礼です」

 「全部魔法ですから、お金はかかりませんよ」


 調子に乗っちゃえっ!! 1人だけ綺麗にってのは不平等だし。

 ここは全員をピカピカにしてあげようっ!!


 「ちょ、ちょっとっ!!」

 

 まぁまぁ博士。せっかくだし、良いじゃないですか。


 「まぁ……。シラミだらけの家に泊まらなくて良さそう、だけどさ」

 

 そこ気にするんだ。まぁ確かにそれは嫌ですもんねぇ。

 俺はそれから一家全員を綺麗にしてあげる事にした。


 流石に他女性陣には天幕を付けて自分で洗ってもらうが、男性陣と小さい子はこっちが担当して洗う。

 温かい湯はやはり気持ち良かったのか。みんな気持ち良さそうだった。

 深夜の空き地でちょっとした大浴場を繰り広げながら歓談に浸る。


 ウィードから俺が使ってたドラム缶も持ち出して湯舟が2つ。

 桶は女性陣で男性陣はドラム缶。皆で仲良くお風呂でぬくぬく。良いじゃないかっ!!


 もう洗い終えているエイミーちゃんは母親の垢すりなんかを手伝っていた。


 「うわぁお母さん凄いっ!! 沢山出るっ!!」

 

 自分と同じように大量の垢が出る母親の姿を見て彼女は喜んでいるようだ。

 まぁなんかこういうの、スッキリするよね。


 それから小一時間お風呂を楽しむ。

 と言っても自分は入っても意味はないから父親の背中とかを洗ってあげてる。


 「どうですか? ご気分は」

 「いやぁ、気持ち良いですよ。本当、娘が偉くなった暁にはこのお礼は必ずしますよぉっ!!」


 「ふふふ、期待してますよっ!! いっぱいお礼くださいなっ!!」

 「あはは、そりゃあ勿論っ!! あははははっ!!」


 結構豪快なお父さんなんだ。名前はなんて言うんだろうなぁ。

 まぁそういうのは後でいっかっ!!


 「ふがが、いやぁ、湯なんてしばらくぶりに入ったわい。旅人さんありがとう」

 「これほどの魔法を使うとは……。お前さんかなりのメイジなんじゃろうのぉう」


 「ふふふ、そうですよ。ご隠居様、お背中お流ししますよ」

 「ほほほ、ありがとのう。若い人」


 まぁ、実際はそんな若くないけど。でも今は若いって事で良いかっ!!

 ふふふ、昔こういうお風呂の世話をする三助って職業があったって聞く。


 今の俺は三助さんだっ!! あはは、こういうのも楽しくて良いじゃないっ!!

 異世界交流、いやはや中々楽しいものなのだっ!!


 あっはっはっ!!


 

 ◇ ◇ ◇




 「えっと、良いんですかニート様。こんな上等なシーツ」

 「いえいえ。良いんですよ。魔法で作った物ですからタダですし」


 「これも魔法で……? シーツまで魔法で?」


 ええ、魔法魔法。全部魔法って事でっ!!

 彼らに新しいシーツをあげて、寝床のカバーにした。


 トコジラミだらけの古いシーツはぁ。

 もう穴ぼこだらけで使い物にならないから流石に焼いた。

 野営テント生活は相変わらずだが、これで多少は生活が整っただろう。

 

 「ニート殿、なんか色々してくださって、申しわけないのです」


 アオイビアンさんが礼を言ってくれた。

 俺としては楽しい異世界交流が出来たから大変有意義で楽しかったっ!!

 こういうの、良いよねっ!! でもまぁ、一応謙遜くらいはしとくか。


 「いえいえ、竜騎士の竜に乗るなんて中々出来ないし、おかげで街にも早く着けました」

 「普通ならこんなに早く着けませんよっ!! 旅費の大幅削減ですっ!!」


 「そのお礼って事で、これくらいは」

 「そう、ですか。はぁ」


 そうですよっ!! あははっ!!


 「でも、確かに……」

 「それもそうですねぇっ!! あの位置から皇都に着くまで徒歩では1か月はかかるのですっ!!」

 「それをたった2日で。ふふん、感謝するですよっ!!」


 あら。良いじゃない。ふふふ、そうですね。


 「はい、ありがとうございますアオイビアンさん」

 

 「あははっ!!」

 「ふふふ」


 なんとなく、最後に笑いあう。有意義な異文化交流。出来て良かったっ!!

 

 「茶番は終わりかしら? ったくやっと終わったのね」


 あら博士。茶番じゃないですよこれは異世界交流です。

 皆も身綺麗なってシラミも居なくなったし、いやぁやっぱり清潔ってのは最高ですねっ!!


 「もう夜も遅いわ」

 「早く寝ましょうか」


 そうですね。

 俺達はそれから床に入った。


 俺はブルーシートを利用して作った即席のテントに博士達を入れて「スリープ」の準備をする。

 そうして、そこでゆっくり体を休ませる。という体を取る。


 そこで俺は現実世界。つまりウィードへと戻ってきた。


 「ふわぁ。眠いわ……」

 「ふぅ、随分長い事居たでゴワスね」

 「あはは、ニート様がお風呂をしましたニャンから」


 そうして現実に戻ってきて、色々と身支度を整える。


 「アレ? ニート殿、なんか衣類が汚れてるでゴワスよ?」

 「うっ!」


 「ああ、これは一度戻った時に転んだんだよ。それで汚れて」

 「ああ、そうなのでゴワスか」


 「………………………………」


 博士のゲロで汚れた服がそのままだ。あとで洗濯機に入れておくか。

 さぁて。アザドからドラム缶持ってこないとな。お風呂入りたい。


 ってな訳で。こちらで歯磨きをしてお風呂に入って寝間着に着替えて。

 就寝する。今日は本当に疲れたなぁ。


 まぁ現実世界では寝ているだけだったけどっ!!


 あら?


 「……………………………………」


 あら、博士が布団の中に入ってきた。ふふふ。今日も一緒に寝ましょうか。

 よし、そう言う訳で。


 おやすみなさい。


 

 

 ◇ ◇ ◇


 

 あら?


 

 アザドの世界に再び戻ってきたら、エイミーちゃんが俺の寝床に入っていた。

 俺のキャラにぴったりくっついて、寝息を立てている。


 あらあら、どうしたのかな?


 「あっ」


 俺の体の振動に刺激されたのか、彼女が目を覚ませた。

 彼女は俺の顔をじっと眺めた後に。


 「お」


 「おはようっ!! ニートさん」


 朝の挨拶をしてくれた。あらあら、これは良い目覚めだね。ふふふ。

 

 「うん、おはよう。昨日はよく眠れたかい?」

 「うんっ!! 今までと比べ物にならないくらいよく眠れたよっ!!」

 

 「それは良かったな」

 「それじゃあ」


 「一緒に行こうか。外」

 「うんっ!!」


 「ふわぁあ。眠い……。あ、昨日の子でゴワス」

 「おはようニャ――ン」


 「あ、おはよう妖精さん達っ!!」

 「うぅん……。あん? なんでこいつが居るのよ」


 「なんでも良いじゃないっ!! 乙女の秘密よっ!!」

 「なにが乙女よ。昨日までシラミだらけのガキだった癖に」


 「う、うるさいわねっ!! なにこの妖精だけ妙に生意気っ!!」

 「私は竜騎士の家族なんだからねっ!! 分かってるっ!?」


 「んなの知らないわよ。ったく」

 「ともかくもう朝?」


 「そりゃあ朝ですよ」


 「こっち」も朝だったしねっ!!


 「ふわぁ、それじゃあ」

 「行きましょうか、お城」


 「ええ、そうですね」


 ブルーシートの天幕を超えて外へ。 今日は快晴っ!! 良い天気だっ!!

 なんだかこことは違う人間の雑踏も聞こえてくる。


 見れば付近のテントでも動きだす人々が。ああ、そうだ。もう朝。

 っとすれば人々が行動しだす時間。皆そろぞれの生活の準備をしている。


 朝になって気付いた。この場所は城壁の一番端。

 遠くを見れば2階建て以上の立派な建物が連なっているのが見える。

 っとすればあそこが街の中心か。


 「流石に中央部分は賑やかそうね」


 うんうん、そうですねぇ。

 

 「あ、ニート殿、お目覚めですかっ!! おはようございますですっ!!」

 「おお、ニート様、おはようございますっ!! どうぞこちらで一緒に食事をっ!!」

 

 「昨日いただいたパンもありますよっ!! いやぁおかげで食事が取れますっ!!」

 「さぁさぁ、こちらへ、一緒に食べましょうっ!!」


 「ニート様っ!! ほら、行こうっ!!」


 エイミーちゃんに連れられて、彼らの所に行く。

 ああ、朝だ。朝の家族の光景。


 恐らくこんな光景がいま至る所で繰り広げられているのだろう。

 人間の、人々の憩いの光景だ。


 いやぁ……。


 良いじゃないかっ!!

 知らない街の、知らない朝。ふふふ。よぉし今日は。


 「異世界」を、目いっぱい楽しむとしようかっ!!

 アイルランド皇国、いざ出陣、だっ!!


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