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曲がり角の出会い

朝の10時になり外もすっかり活気づいてきた。

俺は自分の家から30分程歩いた所にあるローリング家の新居に向かう。

ローリングさんに魔法騎士団 第伍番隊の隊長に顔を繋いでくれるように頼むためだ。

その道中家具を買えそうな店の数軒に目星を付けておく。

その中で俺好みのシンプルなデザインのベッドがショーウインドウに展示されていた。

「なになに?安眠効果、起床補助効果付与?

これも魔道具なのか…

どれどれ値段は…

ッ!?」

俺はその値段に衝撃を受ける。

国から貰える補助金の一月分より高かった。

王都は物価が高いとは聞いていたがまさかこれ程とは…

「まぁ、俺には魔道具は使えないからな…

探せば普通のベッドがもっと安く売っているだろう。」

俺は冷や汗をかきながらその場を後にした。


「この辺だよな。」

俺は前もって貰っていた地図を開く。

「あぁ、さっきの角を右か。」

引き返し角を曲がる。

ドンッ!!

出会い頭に誰かとぶつかってしまった。

「いたたっ…」

俺は大丈夫だったが相手は女性と言う事もあって転んでしまっていた。

「すいません、大丈夫ですか?」

俺が手を差し出すと彼女はその手を取り起き上がる。

「ありがとう。大丈夫、大丈夫。

こちらこそごめんなさいね。

ちょっと仕事の書類見ながら歩いちゃってたわ。

ながら歩きは駄目ね、反省するわ。」

そう言うと地面に落ちた書類を拾い、その女性は去っていった。

俺はその女性と別れた後、もう1度地図を見て目的地の位置を確認する。

「あそこだな。」

ローリング家の新居に辿り着きドアノッカーを叩く。

暫く待ってみたが何の反応も帰ってこない。

どうやら留守のようだ。

留守ならしょうが無い、買い物を先に済ませる事にするか。

俺は目星を付けておいた数軒の店に向かう。

その途中で後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「お?その後ろ姿は科学先生じゃないスか?」

振り向かなくても分かる。

俺を“科学先生”なんて珍妙な名前で呼ぶのは一人だけだ。

「残念ながら俺はもう先生じゃないよ、アン。」

俺は振り向きながらそう答える。

「そういえばそうっスねぇ。

では何とお呼びすればいいっスか?」

「別に好きに呼べばいいさ。」

「うーん、それじゃあ今までどおり科学先生で!!

今更呼び名変えるのもなんか変な感じっス。」

「まぁ、別にそれでもいいが…」

このままだと無職に成りかねない俺が先生と呼ばれるのは何か歯がゆく恥ずかしいものがあった。

「ところでアンは何してるんだ?散歩か?」

「はいっス。

知らない所歩くのは楽しいっス。

でも明日から新しい学校始まるっスからね。

今日の内に出来るだけ色んな場所散策したいところっスよ。

科学先生はどちらへ?」

「いや、ちょっとダレン君のお母さんに用事があったんだけどな、留守だったもんで買い物済ませようかと思ったんだ。」

「ん?ダレンちんのお母さんならさっき会ったっスよ。

ダレンちんと一緒にそこのお店で家具買うって言ってたっス。」

「何?本当か?」

「はいっス。まだそんなに時間経ってないんでまだ中にいると思うっスよ。」

「そうか、ありがとう。

行ってみるよ。」

「あ、そうだ!!実はもう一人、とんでもない有名人を見かけたっス。

いやぁ、流石は都会っすねぇ。」

「有名人?誰を見かけたんだ?」

「あの竜殺しのメンバーが一人、つまりは筋肉先生の元相棒っスね。

若くしてA級ハンターにまで上りつめた魔法使い、 あのマリエ マーリンっス!!」

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