不思議な夢
その夜俺は不思議な夢を見た。
きっと疲れていた上に固い床で寝たのが原因だろう。
俺や科学部の皆、それにモリソンや数人の生徒達で魔物の大群と戦っている夢。
そしてその魔物の奥には1匹の一際巨大で見るからに凶悪な魔物。
その魔物が放った攻撃が俺に届こうかというその時…
汗だくで俺は目覚めたのだった。
…
……
………体中が痛い。
やはり床で寝るのは無理があったらしい。
まだ外は薄暗い。
魔時計を見ると午前4時を回ったところだった。
外に出るにはまだ早過ぎる。
この時間だといくら都会だからといっても店はまだ閉まっているだろう。
かと言ってこんな固い床で二度寝する気になんてなれない。
俺は灯りをつけ、体の痛みを少しでも和らげようと軽くストレッチをして洗面台で顔を洗う。
「魔力池の魔力が尽きたら灯りすらつけられなくなるな…」
そんな事を考えつつ俺はカーマ村から持ってきた荷物を解き始める。
そうは言っても宿直室で使っていた物は殆どが燃えてしまい、残っていたのは数枚の皿やコップといった食器関係ぐらいなのだが。
その食器を部屋に最初から備え付けられていた食器棚に仕舞おうと取り出すとその下から大事に梱包されたある小さな物が出てきた。
虹色の石をあしらった歪な形のヘアピン。
俺がイーナに贈った彼女の形見。
俺は梱包を解くことなくそのヘアピンをクローゼットの上の段に置きクローゼットの扉を閉める。
見ようと思わない限り見ない場所だ。
そんな所に仕舞ったのはまだあのヘアピンを見ると泣いてしまいそうになるからだ。
俺は食器を片付けふと思い返す。
あの変な夢は何だったんだろう。
とてもリアルで目が覚めた今でも夢とは思えない程だ。
暫く考えたが夢は夢、直ぐに馬鹿らしいと思い考えるのを止める。
それよりこれからの仕事の事を考えよう。
村の生徒達が新しく通うことになる私立アベノ学園。
そこで科学の教師をしたかったのだがそれは無理そうだった。
フムトが学園長と古くからの知り合いで俺の事も頼んではくれたのだが許可は得れなかったそうだ。
この世界で科学といきなり言われてもやはり受け入れるのはなかなか難しいのだろう。
それに私立という事もあって授業内容や教育理念を保護者に前もって公表しているそうだ。
なので急に全く新しい授業をする事は難しいらしい。
という事で俺には今、仕事のあてが全くないのだ。
これは死活問題だ。
王国魔法騎士団の第伍番隊隊長に相談してみるか…
ローリングさんが第伍番隊の雑務係として働く事になってた筈だ。
彼女に頼めば隊長に繋いで貰うことが出来る。
「そういえばモリソン先生はどうするんだろうな…」
アベノ学園にはもう体育教師はいるのでモリソンもそこで働く事が出来ないという事だった。
「まぁ、あの人はもともと凄腕ハンターだって話だしな。
食い扶持には困らないだろうな…」
俺は何かモリソンに負けた気分になり1人で勝手に悔しい思いをしたのだった。




