王都 スペルコード
馬車に揺られること約4時間、目的の都市に到着した。
その都市の名は“王都 スペルコード”
このマギエンス王国の首都である。
馬車の中から街の景色を見るだけでカーマ村とは比べ物にならないほどに発展しているのが分かる。
建物は大きく、街の中は清潔で綺麗。
何より人が多い。
子供達も王都には初めて来たようでカーマ村との違いに驚いていた。
王都に着いた後も馬車は暫く進みとある建物の前で止まった。
見るに何かの研究施設のようだ。
馬車を警護してくれていた王国魔法騎士団の団員が連絡用魔道具で何処かに連絡する。
すると数分したところでその施設から1人の女性が走りながら出てきた。
「アルフレッド!!アフロディーテ!!」
アフロディーテをそのまま成長させた様なその女性がサイノン兄妹達の名前を呼ぶと2人は涙目になりながら馬車を降り女性に駆け寄り抱きつく。
「ママ、パパが…」
アフロディーテが泣きながらそう言うとその女性は優しい声で返した。
「えぇ、聞いてるわ。
2人とも辛かったね。
ごめんね、そばにいてあげられなくて…
でもあなた達が無事で良かった!!」
そのままサイノン親子と別れ馬車はまた進み出す。
そして周りの建物に比べて少し小さな建物(とは言ってもカーマ村にあった建物と比べるとそれでも大きいのだが)に到着した。
既に別の馬車が1台止まっている。
ヨーダンブール校長とオクマサ姉妹が住む事になる家だ。
家の中からヨーダンブール校長が出てきた。
「さぁ、サマンサ、タバサ。
校長先生が待ってる。」
俺がそう促すと2人は小さく肯き返事する。
「うん…」
「2人とも校長先生の事は好きだろう?
きっと良くしてくれるよ。
それに俺もこの近くに住むことになってる。
寂しくなったらいつでも遊びに来ればいいさ。」
そう言いながら俺はなかなか馬車から降りようとしない彼女達の背中を優しく押した。
サマンサとタバサはお互いに手を繋ぎながら馬車を降りる。
そしてヨーダンブール校長は2人を優しく迎え入れた。
俺を乗せた馬車は最後にそこから近くの建物に向かう。
着いてみれば先程のヨーダンブール校長の家よりも更に一回り小さいようだ。
まぁ男一人で暮らすのだからこんな程度で充分だ。
学校の宿直室よりは少し大きいし問題無い。
俺は荷物を家の中に入れ魔法騎士団に礼を言い別れた。
家具が全く無いので好きに使っていいと譲り受けた魔力池の中に貯めてある魔力とオリジナル魔法陣を使って作ろうかと思ったがよくよく考えると今はもう魔力を補充してくれる人がいないのだ。
王国から貰った補助金を使って家具を買うしか無いだろう。
しかし今日は長い時間馬車に揺られて疲れてしまった。
俺は何も引いていない固い床の上でそのまま眠りについてしまったのだった。




