トンネルの入口
「ディーテね、固定化の魔法…使える、かも…」
皆が掘った穴をどう補強するか悩んでいるとアフロディーテがそう発言した。
「“かも”ってのはどういう事だい?ディーテ。」
俺がそうアフロディーテに尋ねると彼女は少し自信なさそうにこう答えた。
「ディーテね、固定化の魔法は…小さい物には、使える。
けど、大きい物には…使ったこと、無い。
だから成功するかは、わからない…」
その発言にリンが驚く。
「小さい物にはって…それでも充分凄い事よ。
具体的にはどのぐらいの大きさの物に使った事あるの?」
「お家で、誰にも邪魔されずに…ご本を読みたい時、部屋のドアに使って…誰も入れない様にする時が、ある…ぐらい。
あと、おにぃに…鬼ごっこの時に、凄く力を薄めて…使った。
あまり、強くかけすぎると…心臓まで、固定されて…危ないから。」
俺は夏休み初めに部活の余った時間でやった鬼ごっこを思い出す。
あのアフロディーテがアルフレッドにかけた重さを変える魔法は本当に重さを変えたわけではなく身体を固定させて動きづらくしていたという事か。
しかし心臓まで固定させてしまいかねない魔法を実の兄に使うのはどうかと思う。
アルフレッドの方を横目で見ると青ざめて言葉が出ない様子だった。
「そ、それを聞く限り人間1人ぐらいの大きさに使う分には問題無いと見て…いいんだな?」
俺はアルフレッドに同情しつつアフロディーテに尋ねる。
「うん、それぐらいの大きさなら…問題無い。」
「それなら問題無い範囲まで穴を掘ったらそこを固定させる。それを繰り返して行くのがいいな。
ディーテ、固定化の魔法陣は書けるかい?」
「うん、書ける。」
「じゃあ一枚書いといてくれ。俺は宿直室から魔力池を持ってくる。もし、途中でディーテの魔力が切れても魔法陣と魔力池があれば問題無いだろう?」
「分かった…」
俺は宿直室へと走る。
オリジナル魔法陣で手押し台車を作り出しその上に魔力池を乗せようと持ち上げる。
「お、重い…」
50Kgぐらいはありそうだ。誰かに一緒に来てもらえば良かった。
しかし俺も男だ。気合でそれを手押し台車に乗せる。
それを押して皆のいる場所へ戻るとアフロディーテも魔法陣を書き終えていた。
俺は魔力池にその場にいる皆から少しずつ魔力を補充してもらう。
「よし、では行くか。」
まだ起きないナットをモリソンが背中におぶり縄で固定し、足を怪我しているフォルトナーに先程と同じ魔物研の2人が肩を貸す。
先ずはリンが土の魔法で地面に人1人通れる程の穴を掘りそれをアフロディーテが固定化の魔法で補強する。
それを繰り返して校舎内の全員が穴の中へと入る。
外からはまだドラゴンの咆哮が聞こえてくる…




