脱出の方法
外にはまだブレイブスの隊員やスミスが残っている。
しかし校庭に現れたドラゴンが放った炎は無情にもまたたく間にその全てを飲み込んでいった。
俺を含め、校舎の中に避難していた者達は全員ショックで声を発する事も出来ずにその様子を見つめていた。
そして紅蓮の炎は校舎にまで迫ってきた。
火の熱さにあてられ俺はなんとかそこで正気に戻り消火出来ないか考える。
オリジナル魔法陣を使えば消火器を作ることぐらいは出来る。
水の魔法で消すことだって簡単だろう。
しかし外から炎に絶え間なく晒されているので消したところで直ぐにまた燃え移ってきてしまう。
なんとか外から校舎を隔離しなければ…
その時選ばれし者の一族、フィル家現当主のフムト フィルが呪文を唱えた。
すると校舎の周りの土が盛り上がっていき分厚い壁を作った。
「す、凄い…
この範囲、大きさの壁を一人で作るなんて。
なんて魔力量なの…
流石は選ばれし者の一族ね。」
リンが驚いている。
「今のうちに校舎に燃え移った火を消しますよ!!水の魔法を!!」
フムトがそう皆に向けて叫ぶ。
その声に何人かが頷き呪文を唱えた。
校舎に燃え移った火は消えていった。
「校舎の火は消えましたが外はまだ火の海です。土の壁もそう長くは持ちません。
どうにか学校の周りの壁の外へ逃げなければジリ貧です。」
フムトが皆に向けて話し出す。
「そうは言っても火の海を通らずにドラゴンの目をかいくぐって逃げ出すなんて芸当が本当に出来るのですか?」
フレデリックが疑問を呈する。
皆が考え込む。
…
……
………
「なんとか、なるかも…しれない。」
沈黙を破りアフロディーテが言葉を発した。
「土の魔法で、地中に…穴を堀りながら、その中を…進んで村まで、逃げる…」
「しかしそこまでの距離の穴を掘るとなるとかなりの魔力か必要ですね。
掘った穴が崩れないように補強しなければならいですし。」
ヨーダンブール校長がそう言うとリンがそれに答える
「この人数がいれば穴の距離は問題無いと思います。
ですが補強の方は厳しいでしょうね。
鉄の様な硬いものでトンネル内を囲むことになるでしょうが流石にそこまで魔力を回す余裕があるとは思えません。」
「アモンとかいう奴が言ってた“固定化の魔法”ってのは駄目なのか?」
俺がそう尋ねるとリンが答える。
「固定化の魔法はとても難しい魔法なの。
トンネル内を鉄で覆うよりは少ない魔力で済むけど、そもそも使える人がこの村ではスミス先生…しか…」
そこまで言ったところでリンは目に涙を浮かべ黙ってしまった。
自分の言葉でスミスやブレイブスの隊員達があの燃えたぎる校庭に取り残されている事実を再認識してしまったのだろう。
再び沈黙が流れる。
「外の皆なら自分達でなんとか対処していると信じよう。
スミス先生もブレイブスの隊員達も優秀な人なんだろ?
俺達が今すべきことは彼らが必死に助けてくれたこの命を無駄にしないように努力することだろう。」
俺は皆に発破をかける。
自分の頭の中にはっきりと浮かび、消えないでいるイーナの顔を見ないようにしなから。




