✕…絶
50話以上経ってようやく事件らしい事件が…
自分ながら話の展開が遅いなぁ
遂に肆部祭が始まった。
最初は魔物生態研究部、通称魔物研。
部員達が呪文を唱え魔物を十数匹召喚する。
翼の生えた虎−スカイガー−や毛皮に覆われた巨大なトカゲ−ブリザード−、俺にとっては少しトラウマな巨大な蟻−ジャイアント−などの見るからに獰猛そうな魔物がステージ上に出現する。
「あんな怖そうな魔物を呼び出しても大丈夫だなんてさすがは魔物研って事か。」
召喚された魔物をステージ袖で見ながら俺がそう言うとダレンがポツリと言う。
「違う…」
「え?」
俺が聞き返そうとした時、客席の方から悲鳴が聞こえた。
その方を見ると逃げ惑う歓客。
更にはステージ上では魔物研の部員達は腰を抜かしたようにへたり込んでいる。
「どういう事だ?」
俺が状況を理解出来ないでいるとダレンが言った。
「あそこにいる魔物達は全部危険度B以上の召喚が禁止されている魔物です…
なんで…魔物研があんなモノ呼び出す筈がない!!」
「お楽しみいただけてますでしょうか、カーマ村の皆様。」
謎の声がステージ上から聞こえてくる。
するとステージ上の誰もいない空間が歪み、一人の男が現れた。
「ウェエエッ!!」
その瞬間ダレンが膝から崩れ落ち嘔吐する。
「どうした!?ダレン君!!大丈夫か!?」
途切れ途切れながらなんとか言葉を発するダレン。
「も…靄…真っ黒な…あんな人…信じられない!!」
「お前は!!王都の…」
特別審査員席のナットがガタッと席を立つ。
「おや、警備隊の方にはもう顔が割れていますか。
まぁ手配書が配られているでしょうし当然ですか。
お察しの通り、私は王都での連続不審死事件の実行者。名をアモンと申します。」
数名のブレイブスがステージ上に駆け上り戦闘態勢に入る。
残りの隊員は観客を出口へと誘導していた。
「うーん。今逃げられると興が醒めてしまいますね。」
アモンと名乗った男は懐から魔法陣の書かれた紙を取り出し、手から離す。
そしてひらひらと落ちるその紙を勢いよく踏んだかと思うとゴゴゴゴと物凄い音と揺れが開場全体を襲う。
そして学校の周りの土が盛り上がっていき、軽く10メートルはありそうな壁を作った。
「皆さんには最後まで楽しんでいただきたい。
その壁は固定化の魔法もかかっているので魔法でも簡単には壊せません。」
アモンが悠々と話しているすきに魔物研の顧問アンナ フォルトナーがいまだにへたり込んで立てないでいる部員達の元へ駆け寄る。
だが数匹のジャイアントがその間に割り込んだ。
「この魔物達は私の忠実な下僕です。私がやれと言うまではあなた達を襲いません。
なので誰も動かずもう少し私の話を聞いていて下さい。」
アモンはへばりついたような笑顔でそう言う。
「お前の目的は何だ!?何処に隠れていやがった!!」
ナットが剣を構えながら尋ねる。
「せっかちな人ですね。
目的については今から言おうとしていたところです。それに質問を許したつもりは無いのですが…
まぁ、良いでしょう。
知らないとは思いますが透明化の魔法というものがありましてね。
私は2日程前からこの学校にいましたよ。
この村に来た日は村で適当に身を潜めようと思っていたのですが…
想定してたよりこの村の警備隊は仕事熱心だったようで。
見つかることはありませんが鬱陶しかったので現調ついでに早めにこの学校に来ました。」
透明化の魔法…
俺は自分に苛立つ。
何故近くにアフロディーテというこの魔法を使える者が既にいたのに身を潜めているかもしれない危険人物がその魔法を使っている可能性を考慮しなかったのか。
ナットも表情を見るに同じ事を考えているようだ。
アフロディーテもまさか自分以外にこの魔法が使える者がいるなど思ってもいなかったようで驚いている様子だ。
そしてアモンは笑顔を崩さずにその目的を話しだした。




