当日
遂に肆部祭当日を迎えた。
本番は17時からだが学校は朝から慌ただしい。
部活の顧問をしていない先生方が客席やステージ等を魔法で作ったり、各部活がそれぞれリハーサルをしたり、ブレイブスの面々が警備の段取りを確認したりと関係者が皆忙しそうに動いている。
我々科学部も例に漏れず他の部活から見えない所でリハーサルをしていた。
「―――以上で科学部のパフォーマンスは終了です。皆様最後までご覧いただきありがとうございました。」
ダレンが締めの挨拶をし、リハーサルは一通り終了した。一旦休憩に入る。
そこで俺は木陰に座り休んでいるダレンに声をかけた。
「ダレン君。昨日、一昨日と村の家巡りお疲れ様。」
「あ、朝倉先生。ありがとうございます。」
「靄の男が村人じゃなくて良かったな。この村の人達に悪人はいないって事だもんな。」
「はい、僕もそれが一番ホッとしました。
狭い村ですからね、大抵の人は顔ぐらいは知ってるので‥」
確かに見知った顔が良からぬ事を企んでいる可能性があるというのは辛いものがあるだろう。
「ちゃんと水分とっときなよ。熱中症になったら大変だ。」
俺はそう言い残し次はアフロディーテの所に行った。
「ディーテ、捜査を手伝ってくれてありがとな。肆部祭をやれる事になったのも君とダレン君のおかげだよ。
大変だったろう。80軒も回って。」
「大丈夫。探偵みたいで…楽しかった。」
アルフレッドに聞いた事があるのだが、この幼女はとあるシリーズ物の推理小説を愛読書にしているらしい。
その後休憩を終え最終練習も終え、昼になった。
夏休みの間は閉まっていた食堂だが今日は準備している関係者や生徒の為に開いていた。
俺が席に座り給食を食べているとモリソンが隣に座って話しかけてきた。
「おう、朝倉先生。今日という日が遂に来たな。
こっちは凄いぞ。もう優勝は貰った様なもんだ。」
「何言ってるんだ。そちらさんは良くて2位だな。
何故なら優勝は科学部がいただくからだ。」
「大層な自信だな。本番が楽しみだぜ。
…それはそうと例の危険人物、結局見つからなかったな。やはりもうこの村にはいないんだろうか。」
「まあ、そうだろ。情報が入って直ぐブレイブスが目を光らせていたからな。
何かを企んでいたのかもしれないがこんな警戒された状態では無理だと諦めたんだろう。」
「そのおかけで肆部祭を出来る事になったんだからブレイブスには感謝しなきゃだな。
おっと噂をすれば…だ。」
食堂にブレイブスの面々が昼食をとりに入ってきた。
イーナがこちらに気づき笑顔で軽く手を振ってきた。
俺もそれに手を振り返す。
その様子を見ていたモリソンが大きな溜息をつきこんな事を言う。
「朝倉先生よ…どうしたら女性と仲良くなれるんだ?
どうも俺は女性から避けられがちなんだよ。こんなに男らしく素晴らしい筋肉をしているというのに。」
「そんなん知らんよ。俺だって別に女性の知り合いが多いわけではないしな。
あえて予想するとすれば暑苦しいんじゃないか?」
「この暑苦しさが俺の良さだろ!?男たるもの情熱の炎を消したら終わりだ。
朝倉先生もそう思うだろ。」
「モリソン先生の場合は度が過ぎるんじゃないか?俺はもう慣れたが初対面でその熱量は酸欠になっちまう。」
モリソンはムムムと考え込む。
「同じ筋肉仲間のブレイブスの隊長さんにでも今度話を聞いてみるか…
しかし話した事無いんだよなぁ。
…朝倉先生よ、今度紹介してくれねぇか?」
筋肉2人に挟まれた自分の姿を想像して俺はげんなりする。
「まぁ、また今度…な。」
肆部祭開始まであと4時間。
少しづつ緊張感が増していく…




