前日
肆部祭前日となった。
村で隠れられるような場所は昨日のうちに全て調べ終え、変わった様子は無かったそうだ。
村の家も半数程回ったが靄の人物は見つからなかったという。
ダレンとアフロディーテがそれに付いていき、今日も残りの家を回るので科学部は今日は休みとした。
2人の疲労度を考えた結果である。
本番の練習を出来なかったのは痛いが疲れが溜まった状態で本番を向かえさせるよりはよっぽどいいだろう。
という事で他の部活が活動している時間、俺はタイムテーブルを眺めていた。
客入りが16時からで本番は17時から始まり21時に終わる予定だ。
魔物生態研究部
武器戦術部
魔法部
科学部
の順番で各30分づつのパフォーマンスをする。
そこまで眺めたところでノックの音が聞こえてきた。
ドアを開けるとそこにはヨーダンブール校長がいた。
「校長先生、お疲れ様です。どうしました?」
「ほっほ。こんにちは、朝倉先生。
明日の肆部祭ですが予定通り行う事に決まりましたのでそのご報告をと。」
「それは…良かったですけど、まだ村の家を全部回れていないのに決めちゃって大丈夫なんですか?」
「もし今日村の人の中から靄の男が見つかればその人物をブレイブスの方が見張りをしてくれる手筈になっております。
もし何か行動に起こす素振りがあれば即刻拘束してくれますので肆部祭をやるのは問題ないでしょう。」
「そういう事なら…
僕としてもせっかく皆で頑張ってきた事を無駄にはしたくなかったのでよかったです。」
「明日は素晴らしい物を見せて頂けると期待していますよ。」
ヨーダンブールはそう言い残し宿直室を後にした。
そしてそのまま夜になった。
遂には村の住人の中からは靄の人物は見つからず、もうすでにこの村から立ち去ったのだろうとの結論となった。
魔力池の補充に来てくれたブレイブスの副隊長、バイスがこう言っていた。
「明日は隊長が特別審査員で動けないからな。俺が指揮を取ることになる。
例の人物がこの村には既にいない可能性が高いとはいっても例年より厳重な警備をするからお前は安心して肆部祭を成功させる事だけを考えていれば良い。」
多くの人が肆部祭を成功させようと動いている。
娯楽が少ないこの村にとってそれだけ肆部祭は大切な祭りなのだろう。
改めて優勝を心の中で誓う。
部費のため
モリソンとの勝負に勝つため
スミスに科学の素晴らしさを分からせるため
部員達の頑張りを無駄にしないため
ブレイブスの方達の努力に応えるため
様々な要因が俺のその思いを強く確固たる物にしているのだった。




