ローリング宅
他の部員達と別れローリングさん宅に向かってる途中ダレンは口数が少なくなった。
やはり元気が無いよな…
「ダレン君、やっぱり黒い靄の人物が気になるのか?」
そう訪ねるとダレンは俯いて答える。
「はい…あの時ちゃんとあの人の顔を見ていれば皆を不安にさせずに済んだのだと思うとやっぱり気にせずにはいられません。」
「それは違うよ、ダレン君。
君だからそいつの危険性に気付けたんだろ?
他の人にはそいつが危険かどうかさえ分からないんだ。
君のおかげで警戒する事が出来てるんだよ。」
ダレン少年は少し苦笑いしてこう答える。
「リン姉にも同じ事言われました。だけど…」
「まぁ気にするなって言っても無理か。
でもダレン君、科学部の部長である君はブレイブスの人達を信じて今は肆部祭に集中するべきだ。せっかく皆で頑張って来たんだから。」
そんな話をしているとローリグさん宅に到着した。
玄関先でローリングさんが花に水をやっていた。
「ただいま、お母さん。」
「おかえり、ダレン。」
ローリングさんはじょうろを起き、顔を上げる。
「あら、朝倉さ…先生。お久しぶりです。」
「お久しぶりです、ローリングさん。その節はお世話になりました。」
「いえいえ。宜しかったら上がっていきませんか?美味しいお茶が手に入ったんです。それを飲みながらダレンの学校での様子などお聞かせいただけたらと。」
「はい。お言葉に甘えさせていただきます。」
家の中に入ると座るように促される。以前ご飯をご馳走になったのもこの席だった。
ダレンは汗で濡れた服を着替えに今は自分の部屋にいる。
ローリングさんがお茶を持ってきて座った。
「朝倉さんが先生になったと聞いた時はびっくりしました。しかもダレンのために部活を作っていただいたなんて。」
「ダレン君のためだけって訳では無いですよ。僕にもメリットがありましたし。」
「それでもありがたいです。
以前はゴールドクラスに入るという夢を半ば諦めていた様子だったのですが、部活を始めてからはまた頑張る気になったみたい。私はそれが嬉しいんです。」
「僕は彼ならゴールドクラスにも入れると思っていますよ。授業も部活も人一倍頑張ってますからね。」
「先生にそう言われるとつい期待してしまいますね。」
俺は少し気になっていた事を聞いた。
「ローリングさんは魔法、使えるんですか?」
「え?はい…」
「ダレン君以外に魔法を使えない、魔力を持たない人間てどのくらいいるんですかね。」
「さ、さぁ…私が知ってるのはダレンとあなたしか…
ただ、魔血球が正常に働かないという難病があるとは聞いたことがあります。朝倉先生もそうなのでしょう?」
「じゃあダレン君も…」
「いえ、お医者様にも見てもらった事があるのですがダレンの血液には魔血球自体が存在していないと言われました。
この事がどこかの研究機関に知られると研究対象として隔離される危険があるとも…」
「ではその事を知っているのは…」
「えぇ。この村の、しかも限られたごく僅かな人達しか知りません。
殆どの人はその難病だと思っている筈です。ダレン自身も…」
「何故僕にそんな大事な事を教えたんですか…適当に誤魔化しても良かったのに。」
この事を知る人物が増えるのはとてつもないリスクの筈だ。
「何故でしょうね。朝倉先生には知っておいてほしかったんです。それにあなたはダレンを売るような人間では無いとなんとなく思えたのです。」
「それは勿論。というかそもそも僕も魔血球を持っていないのです。」
ローリングさんは驚いた顔でこちらを見て言った。
「え?それは…本当ですか?」
その時丁度着替え終わったダレンが自室から出てきたのだった。




