集団下校
危険人物がこの村に潜んでいるという事で部活ごとでの集団下校となった。
「まず1番近い所は…」
俺が村の地図を見ながら考えているとサマンサとタバサが言う。
「私達の家が1番近いよ〜。」
「そうね〜。ウチが1番近いよ〜。」
「じゃあオクマサさん宅から行くことにするか。」
俺は科学部の皆を連れて学校を出た。
「なんか遠足みたいで楽しーね!!」
「こら、サマンサ!!家に帰るまでが遠足なんだからね。
あれ?今家に帰ってるところだから遠足であってる?」
色々と突っ込みたいがとりあえず遠足ではないことは確かだ。
村に危険が迫ってるかもしれないこの事態を遠足って…
まぁこいつ等らしくて良いか。
ふと俺と並んで歩いていたダレンを見るとサマンサ達の馬鹿みたいな会話を聞き笑っていた。
しかし笑顔とは裏腹に何処と無く元気が無さそうである。
無理に明るく振る舞っている様に感じた。
しばらく歩きオクマサ家に到着した。
「じゃあ先生、皆!!また明日!!」
「バイバーイ!!」
サマンサとタバサが大きく手を振り家の中へと入っていった。
「えーと、次はサイノンさんの所が良いか。」
地図を見て家の位置を確認しているとオクマサさんの家の扉開き中から双子達の母親が出てきた。
「はじめまして、先生。娘達がいつもお世話になっております。今日はわざわざ家まで送っていただいて…」
「はじめまして、オクマサさん。科学部の顧問の朝倉と申します。状況が状況ですし用心するにこした事は無いですからね。」
危険人物が潜んでいるかもしれないという情報は今日の朝には村中の家に伝わっていたという話しだ。
登校の際には各家の保護者が付き添いをしていた。
「肆部祭までには解決するんでしょうか…あの子達とても楽しみにしているんですよ。」
オクマサさんは心配そうな顔でそう言った。
「もしかしたら延期か、最悪中止もあり得るかもしれません。
しかしブレイブスの方達が今も調査してくれてますから、私達は彼らを信じましょう。」
「そうですよね…私達が心配したところで解決するわけでは無いですからね。
ご迷惑おかけすると思いますがこれからも娘達を宜しくお願いします。」
オクマサさんと別れ次はサイノンさん宅に向かう。
2、3分歩き家が見えてくると玄関の前で1人の男が立っているのが分かった。
「あ、パパ。」
どうやら兄妹の父親らしい。
アフロディーテが小走りで父親に駆け寄る。
「パパ…ただいま。」
「ああ、ディーテ。おかえり。」
父親はアフロディーテの頭を撫でながら言った後こちらを見て会釈をした。
「朝倉先生ですね?いつもアルフレッドとアフロディーテがお世話になってます。」
「はじめまして、サイノンさん。今は玄関先で何をなさっていたのですか?」
「いや、2人が帰ってくるのを待っていただけですよ。何分心配性なもので…」
サイノンさんは恥ずかしそうに笑う。
「そうなんですよ、先生。ウチのお父さんは心配性というか、過保護というか…
先生も僕もいるんだから大丈夫だよ。お父さん。」
アルフレッドが呆れたように溜息をつく。
アルフレッドも充分過保護なんだよなぁ…やっぱり親子似るもんなんだな。
「ウチは妻が王都で研究員をしているんです。年に数回しか帰って来られないので2人には寂しい思いをさせていたのですが部活に入ってからは少し元気になった気がします。なんとお礼を言えば良いのか…」
なる程研究員か。どうやらアフロディーテは母親似らしい。
挨拶もそこそこにサイノン親子と別れ残り一軒、ローリングさん宅に向かう。
この世界に来たあの日以来の訪問である。
つい数ヶ月前の事なのにとても懐かしく感じていた。




