ミネルバ スミス
生徒の紹介はこれで全員です。名前考えるのが結構しんどかった…
校長室から出て宿直室へ戻ろうとする俺に声をかけてきた人物がいた。
「朝倉先生。この後少し宜しいですか?」
その人物は魔法部顧問ミネルバ スミス。御年62才。長い白髪を後頭部でお団子状に纏めている。姿勢もよく気品溢れる立ち振る舞いでまさに淑女といった感じだ。
「別に構いませんが…何用でしょう?」
「かの天才、神童アフロディーテについて少しお話したいのです。」
「アフロディーテについて?」
立ち話もなんだったので俺は宿直室へとスミスを招待した。
「どうぞお掛けください、スミス先生。」
俺はお茶を出す。
「ありがとうございます。」
スミスは出されたお茶を上品に口にする。
「それでアフロディーテについての話って…」
「そうですね。さっさと本題に入るとしましょう。実はアフロディーテ サイノンを我が魔法部に引き入れたいのです。」
…は?
唐突過ぎて何を言ってるのか直ぐに理解出来ずにいるとスミスは続けて言う。
「彼女の、特に魔法の才能は本物です。いずれはこの村、いやこの国に多大な影響を与える程の人物となるでしょう。
しかし、彼女は今、授業と独学でしか魔法を学んでいない。それでは限界があります。
彼女の才能を伸ばす為にはより高度な学びの場が必要なのです。
我が校の魔法部のレベルの高さは全国的にも有名なのですよ。
というのも毎年行われる王国全土の学校から魔法部が集まりその技術や研究の成果を競う大会で我が校はここ5年連続優勝しています。
そして実は私は昔、王国魔法研究所の所長をしていた事もありました。」
「はぁ…えっとそれは確かに凄い事だとは思うんですけど、どの部活に入るかはアフロディーテ本人が決めるべきではないでしょうか。」
「ええ、その通りです。ですが彼女の才能を無駄にするのはこの国にとって大きな損害となります。なので朝倉先生には彼女自ら魔法部に移籍するよう説得して頂きたいのです。
勿論今すぐに、と言う訳ではありません。急に彼女の抜けた穴を埋めるのも大変でしょう。肆部祭が終わるまでは科学部に所属して頂いてても構いません。」
なんだこの有無を言わさずにアフロディーテが魔法部に入ることが当然みたいな主張は。
なんだか少し腹が立ってきた。
「お言葉ですがスミス先生、科学部での活動は彼女にとって無駄だと言いたいのですか?僕はそうは思いません。彼女は科学を通して色々な事を学んでいます。」
「程度の話です。科学なんてくだらない、伝説やお伽噺に近い物を学ぶよりもレベルの高い魔法を学んだほうが得るものが大きいと言っているのです。」
“科学なんてくだらない”
このスミスの言葉で俺はついに堪忍袋の緒が切れた。
「科学は伝説上の代物じゃないんだよ!!魔法部がどんだけ凄いか知らんが何を勝手な事を!!
そもそもアフロディーテが元々どの部にも所属してなかったのは彼女がどの部にも興味がなかったからだ!!そんな彼女が科学に興味を持ち、人見知りなのに勇気を振り絞って俺の所に来て自分の口で科学部に入りたいと言ったんだ!!この意味が分かりますか?」
思わず声を荒げてしまった。
スミスは鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をしている。まさかここまで強く反発されるとは思っていなかったのだろう。
しかし直ぐに顔を引き締め言い返してきた。
「私はこの国の未来のために言っているのです。彼女の才能は…」
「そんなの俺の知ったことか!!この国の未来なんて興味無いんだよ!!
大事なのは誰が何を学びたいか、何をしたいかだろ?
そもそも科学がくだらないだと?その考えこそくだらない!!科学は素晴らしいものだ!!
…勿論もし彼女が移籍したいと言ってきたなら反対はしません。しかし僕から彼女に他の部への移籍を勧めるようなことは絶対にしません。それは諦めてください。」
スミスは顔を歪め席を立つ。
「分かりました。今日の所はこれで失礼しましょう。しかしそこまで言うのなら肆部祭はさぞ成功するのでしょうね。これで無様な結果になるようでしたら科学の素晴らしさなど大したことが無いということになってしまいますよ。」
「上等です。楽しみにしていて下さい。誰もが驚くようなものを見せてさし上げますよ。」
スミスが宿直室を出ていった後、俺は肆部祭での優勝を決意したのだった。
シルバークラス 出席番号 9
ゼファー ヴァルハ(♂)
15才。魔物研究部に所属しているが魔物以外にも神話時代の生物も独自に研究している。
この世界では一般的に神話時代の生物は空想上の生物と思われているが彼はそれらが実在したと確信している。




