アフロディーテの作業
ナットが来た翌日、俺は寝不足であった。彼との会話が頭の中をリピートしてなかなか寝付けなかったのだ。
しかし夜通し研究することも多い俺にとって寝不足など慣れたものである。このぐらいは問題ない。
俺は顔を洗い部活へと赴いた。
「少し日程を組み直した。今日からその日程でやっていくぞ。」
俺がそう言うとダレンが尋ねてくる。
「新しい日程?具体的にはどう変わったんですか?」
「明後日から2つのチームに別れて作業してもらう。そうだな…ダレン、サマンサチームとアルフレッド、タバサチームにしようか。」
「え?それじゃあディーテちゃんは?」
タバサが不思議そうな顔をしながらそう尋ねる。
「アフロディーテには今日から別の作業をしてもらう。」
するとアフロディーテは涙目になり震えながら言う。
「ディーテ…足手、まとい…?」
マズい!!
「違うぞ、ディーテ。寧ろこの作業は君にしか頼めない事なんだ。それにとても重要な作業だよ。」
「先生、もう少し詳しく教えて下さい。ディーテじゃなきゃ駄目な作業って何なんですか?」
アルフレッドが少し語気を強めて言う。妹が仲間外れにされたと思ったのだろう。
「勿論、今から説明するよ。」
俺は今のままでは1日に部品が1つしか作れない事、肆部祭に間に合わせるには1日に部品を2つ作らないといけない事、部品を作る魔法陣を発動させるにはそれなりの科学の知識と魔力が必要な事を順次説明した。
「なる程、それでダレンの次に科学を深く理解しているディーテにしか出来ないって事ですか。」
アルフレッドは理解はしたがまだ納得はしてない様子だ。
「それだけじゃ無いよ。2つのチームに別れて作業するとしたらそれぞれリーダーが必要だ。そうなるとダレン君とアルフにリーダーをしてもらうのが良いだろ?サマンサとタバサも組み立てる作業は楽しそうにしているし、好きな作業をしてもらうほうが効率が良い。」
「うん、ワタシ組み立てるのパズルみたいで好きー!!」
「ワタシもー!!」
サマンサとタバサは元気よくそう言う。
「確かにそうですね…けど…」
アルフレッドが更に食い下ろうとした時アフロディーテが彼を止めて言う。
「そういうことなら…ディーテ、やっても…いい。その魔法陣にも、興味ある。」
「ディーテ…分かりました。ディーテがそう言うならそれで文句ありません。確かに今のままでは肆部祭に間に合わないかもしれないのは重々承知ですし。」
こうして最後まで渋っていたアルフレッドも納得してくれて早速作業に取りかかる。
今日はアフロディーテ以外のメンバーは俺の持ってきた部品の組み立てである。
そしてアフロディーテは明日使う部品の原理や構造の説明を俺から受ける。
6才の子供には難しく普通なら到底理解出来ないであろう内容なのだがこの神童はかろうじてではあるが理解している様子だ。
とてつもない集中力と理解力をもって俺が説明した事を吸収していく。
説明し終えたところで俺は彼女に部品の設計図と紙に書いてきたオリジナル魔法陣を渡す。
アフロディーテは設計図をまじまじと見つめた後こう言った。
「たぶん…出来る。」
彼女は魔法陣に手を当て魔力を込め始めた。
すると魔法陣の上から生えてくるように設計図通りの部品が出現した。
「完璧だな…」
俺は驚いた。比較的簡単な部品を選んだのではあるが正直一度で成功するとは思っていなかったのだ。
「この魔法陣…凄い。魔法を…使えない先生が、作ったなんて…信じられない。」
何やら褒めてくれているが凄いのも信じられないのもアフロディーテのほうだと俺は思ったのだった。
シルバークラス 出席番号 7
オリヴィア シールド(♀)
14才。武器戦術部に所属している彼女だが自分から攻撃するのは苦手。相手の攻撃を避けたり盾で防ぎながらカウンターをしていくスタイル。




