尾行②
僕、ダレン ローリングはサイノン兄妹と3人で朝倉先生の尾行を続けています。
ディーテの魔法のおかげで見つかる事なく順調に後をつけられています。
「あ、朝倉先生あの店に入っていきましたよ。」
僕達は壁の小窓から覗きましたが中は良く見えません。
「どうする?中に入る?」
「じゃあ次に入るお客さんに付いて入りましょう。勝手にドアが開いたら怪しまれてしまいますから。」
数分後、1人の女性客が店に入るタイミングで僕達は店の中に入りました。
その時先生がこっちを見て声を呼びかけてきました。
「やっぱり来ましたか。一緒にどうです?」
ヤバい、バレた!!と一瞬冷や汗をかきましたがどうやら違うようです。先生が声をかけたのは僕等と一緒に入った女性客でした。
「あれ?朝倉さん。こんにちは。今日は何故喫茶店に?部屋はもう魔力切れの心配無いですよね?」
「いや、ここのコーヒー美味しくて、たまに来るようになったんですよ。それに今朝、今日はイーナさん遅番と仰っていたのでお礼をさせて頂こうかと思いましてね。」
そういう先生は少し照れたような笑みを浮かべています。
その女性客は先生の向かいに座りました。
僕等の姿は見えていない筈ですが声は消せません。なので少し離れた所からその様子を見ています。
「あの女の人、確かブレイブスの人だよね?」
アルフさんがそう言います。
「あぁ、言われてみれば確かに。制服じゃないから気付かなかったけどブレイブスのマギアシャルムさんですね。」
「さっきお礼って聞こえたけど何のだろ?それに今朝にも会ったみたいな言い方してたけど…うーん、上手く聞き取れないな…」
僕達の声が聞こえないように少し離れた所にいるので先生達の会話もこちらには聞こえ難いのです。
その後も断片的な声は聞こえてきましたが中々内容までは分かりません。
だけど先生は終始楽しそうにしていました。
暫くそのまま様子を見ていたのですがふいにディーテが言いました。
「もう、魔法の効果、無くなる時間…。早くお店出ないと、見つかっちゃう。」
「え!?あとどれくらいだい?ディーテ。」
「もう、1分も…ない。」
僕達は慌てて店を出ました。
ドアが勝手に開いたら怪しまれるとか気にしている暇はありません。
店を出て近くの路地裏に入ったところで魔法は消えました。ギリギリセーフです。
アルフさんが息を切らしながら言います。
「ハーッ、結局何話してるかよく分からなかったね…けど毎朝、マギアシャルムさんが先生の部屋を訪ねてるってのは聞き取れた。
少なくてもこれで先生が浮かれていた理由が分かったから良かったけど…」
「え?アルフさんはその情報だけで分かったんですか?」
僕が驚いてそう言うとジトッとした目でこちらを見て更に続けます。
「…ダレンにはまだ分からないか。もう少ししたら分かるようになるよ。僕が今教えても先生に悪いしな…てかあの様子だと先生自身それに気づいているか怪しいし。」
僕とディーテの頭の上に“?”が大きく浮かんでいます。
「けど理由が分かったところで解決方法が見つからないんだよなぁ、こればっかりは…
病気みたいなものだしなぁ。」
「え!?朝倉先生病気なんですか!?大変じゃないですか!!お医者さんに見て貰わないと!!」
「あー、ごめん、違う違う。本当に病気な訳ではないよ。病院に行ったところで意味が無い。
まぁしばらく様子を見て行くしか無いかな。
多分大丈夫だと思うよ。
今朝の失敗で少し落ち着くと思う。もしこれ以上悪くなるとしたら実るか破れるか、どちらにしても何か進展があった時だろうね。」
最後までアルフさんの言う事が理解出来ませんでしたがその日はそれで解散となりました。
アルフさんの言うとおり翌日の先生は少し落ち着きを取り戻していてその日の部活は無事に終えることが出来ました。
さて、夏休みも残り半分を迎えましたが僕達科学部は無事に肆部祭を成功させる事が出来るのでしょうか…
シルバークラス 出席番号 5
ジャッキー リー(♂)
17才。身体能力だけなら校内随一。所属する武器戦術部ではヌンチャクと呼ばれるこの世界では珍しい武器を愛用している。
本気になると上裸になり奇声を上げるので周りから引かれる時がある。




