夏休み初日
夏休みの初日、俺は部員達が来るまでの間、魔法陣の研究をしていた。
とある事を思いついたのだがそれを実現するにはどうしても俺自身が魔法を使う必要があるのだ。
色々な魔法陣を覚え、それを応用して新しい俺のオリジナル魔法陣を作る。それを試行錯誤しながら繰り返していた。
部活の時間が近くなり部員達がちらほら集まって来る。
最初に来たのはサイノン兄妹だった。
「おはようございます。先生何してるんですか?」
「おう、おはよう2人共。ちょっと魔法陣の研究をな。」
「ディーテね、そんな魔法陣ね、見たことないの。」
「そりゃそうだ、俺のオリジナルだからな。」
アフロディーテが俺のオリジナル魔法陣をまじまじと見つめて言う。
「これじゃね、発動しないと思う、んだけど…」
流石神童。確かに発動しなくてその理由を考えていたところだ。
アフロディーテはひと目見てそれを言い当てた。
ということは彼女には発動しない理由が分かるのか…
「ディーテ、君は何故そう思うんだい?」
俺が尋ねるとアフロディーテは言う。
「魔力のね、通り道がね、途中で切れちゃってる。これじゃね、全体に魔力が注がれない、んじゃないかな。」
なる程、そういうことか。電気器具の配線が途中で断線してしまってる様なものだ。そりゃ発動しない。
「ありがとう、ディーテ。実は昨日の夜から試行錯誤してたんだけど答えを見つけられなかったんだよ。」
そうお礼をするとアフロディーテは照れてアルフレッドの後ろに隠れてしまった。
そうしてる内に他の三人もやって来た。
「よし、じゃあ早速皆に考えてきて貰った出し物の案を聞かせてもらおうか。先ずはダレン君から。」
「え?は、はい。僕は何か公開実験がいいと思います。
何の実験をするかは皆で決めた方がいいかと思って考えてないですけど…」
無難なところだな。実験の内容次第では盛り上げる事も出来るか?
「じゃあ次はアルフ、よろしく。」
「はい。僕は、というかディーテと2人で考えたんですけど、科学VS魔法みたいな事が出来たらいいんじゃないかなと、先ずは魔法で何かをして、それを科学でも再現していく。再現出来なかったら魔法の勝ち、再現出来たら科学の勝ちみたいな。」
なる程、俺が最初の授業で見せた虫眼鏡で火を起こすのと同じようなことか。これも何の魔法を使うか選べば結構面白そうだ。
「じゃあディーテも同じ案ということで次はサマンサとタバサ、2人はどうだ?別々で考えてきたのか?それともやっぱり2人で一緒に考えたのか?」
「別々だよー。」
「うん、別々。」
サマンサとタバサが交互に答えた。
「おお、そうか。聞かせてくれないか?」
「思いつかなかったー!考えてたらいつの間にか寝ちゃってた。」
タバサが答える。まぁしょうがない、まだ6才の子供だしな。
するとサマンサが自信有りげにフッフッフッと笑う。
「なんだ?サマンサは考えてきたのか。」
俺がそう尋ねるとサマンサはドヤ顔で言う。
「トーゼン!!アタシはやれば出来る子だからね!!凄いの考えてきたよ!!」
「ほー、凄い自信だな。どんな案なんだ?」
「ズバリ!!何か凄いの作ってワーッてやって皆を驚かせる!!」
…大雑把だなぁ〜。シンプルかつフワッとしている。実にサマンサらしい。
けど案自体は悪くは無い。
だけどあんまり複雑なのは無理だな…時間がなさ過ぎる。
せめて俺のオリジナル魔法陣が完成すればそれなりの物も作れるようになると思うが。
まぁ、シンプルな物でも科学を知らない人達を驚かすぐらいのことは出来るか…
「じゃあ3つの案のうちどれがいいか話し合ってくれ。俺がどの案になっても現状出来うる最高のクオリティまで持っててやる。」
今回は多数決という訳にはいかない。2人で考えてきたサイノン兄妹が有利すぎる。なので話し合いで決めてもらおう。
「じゃあ、決まったら教えてくれ。なんか困った事出てきたらそれもちゃんと教えてくれよ。自分達で解決できない時は大人を頼れ。」
そう言い俺はオリジナル魔法陣の開発を再開した。この魔法陣の研究は俺の為だけではないのだ。科学部全体にもっと高レベルな科学を教えてあげることも出来るようになる筈…
そう期待しながら俺は部員達が白熱した意見交換をしてる中魔法陣とにらめっこする。
ゴールドクラス 出席番号 4
リン アウトバン(♀)
16才。魔法の実力は村の中でも1位、2位を競う。
ダレンとは幼馴染で彼のことを弟の様に思っている。
ブレイブスの隊長のナットは父親で、リンも将来はブレイブスに入隊する事を望んでいる。




