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独演会

「細胞は入れ替わり立ち替わりするしばらくすると前とは違う細胞たちがあなたを支えてるんです。なのにあなたは何か変わった気がしますか?しないですよね。それはもちろん元の細胞をエラーを起こさないように入れ替えているからです。時々エラーなんかを起こしてがん細胞が生まれます。しかし、そのエラーが直接の害を体には為さないとしたら?それはエラーとして排除されず一つの個として確立される。」


「現代の人間は情報過多なんだ。覚えたくてもいいことまで頭に入れて…どうでもいいことは甘く処理するなんて言ってもその量が増え続ければいずれパンクする。でもあなたは今までパンクしたことがある人を見たことはないでしょう?」


「僕の仮説はこうです。脳のパンクを防ぐために細胞たちは何をしたのか!新たに自動で処理して完結する個を作ったんです。エラーではない!これをエラーとすると頭はパンクする。そして情報が増えればその新たな個はどんどんと大きくなる。個としての確立が起こるわけですよ!」


「結果ですね。一つの体に自分が2人。いや、新たに意識を持ったわけだから別人の意思が体の中にある。たまに聞きませんか?臓器移植をして食の趣味が変わっただとか存在しない記憶が出てくるとか…」


「そしてもう一つの個もまた人間!欲深いんですよ。そうなれば今度は主導権の争いだ。元の自分と新たな自分。そのせめぎ合いに体は意志をなくしいずれ来るどちらかの勝利という結末が来るまでゾンビとなり2つの意志を生かすためにただ食べ栄養を供給するための傀儡と化す。」


「あなたの話を聞いて合点が行きましたよ。大喰らいの女。そして二面性。その方はきっと後から生まれた人格がとんでも無く強かった。それならば意志を押さえ込みすぎず両方を出し油断させ抵抗が弱くなったところでトリガーとしてあなたに名前を呼ばせる。大喰らいは治ったんじゃないでしょうか?いつ反乱するかわからない意識はきっと消されたでしょう。僕らにはわからない深層の世界から生まれ経験した意志だ。不可能ではないだろう。」


「意志を持つことにまだなれない新たな人格はきっと手こずるでしょう。今まで生きてきた人格は人間として生きたんですから人間力というしぶとさで言えば勝てるどうりはない。けど新たな人格は人間の深層心理から戦うことができる。だから、意識を底に沈め自分の有利な条件で戦う。その間も体は本能で動くようにする。なんとも器用なものだ。体のことを度外視すればさほど時間がかからないのではとも思うがそれは違うんだろうな。人間が何もせず生きてられる間では決着がつかないんだろう。」


「でもこの感じだと人間は勝てないな。いずれ全員入れ替わるんじゃないか?そうか、新人類がようやく誕生するのか。何年だ?人間が人間として扱われるようになって前時代の支配者から入れ替わって何年だ?5万年?7万年?自然に干渉し出したので言えば1万年ちょっとか?恐竜たちは7千万年くらいか?それに比べるとえらく短かったな。いや、新人類として継続すればそれくらい続くのか…。もう資源的にも終わりが近い人類に救いの手を奇跡が与えたのか?いや、合理的に考えて適応しようとしただけか。いや、真性生物の時と比べるとだんだん短くなっている。支配者のスパンが短くなっている。なるほどな…地球はもう時期終わるのかもしれないな…。」


「動物たちだって環境に適応し、ゆっくりといつ分岐したのかわからないくらいの速さでしかしそれは確かに亜科などに分類していく。人間もヒト類ヒト科一本で行けるわけがない。新人類は我々旧人類よりさらに自分を理解している。なんせ細胞から自我を芽生えさせている。我々のように乗り物としてでは無く、自分そのものの集合体なんだ。体の動かし方一つでも効率的なはずだ。増してや、処理速度なんて元の比にならないだろう。なぜなら、彼らは正真正銘細胞だったのだから。我々とは違う。我々はもとより細胞でできているがそれ以上に人間としての自覚がありすぎる。それでは人間の枠は越えられない。」


「もしかすると世界新記録が更新される、新しい事象が解明される、世界が効率化されてきていたのは今と比べてアナログながらも情報が過多になり細胞と入れ替わったものたちなのかもしれないな。もちろん、トレーニング技術が上がったことや情報が簡単に得られるようになったなどの効果もあるだろうが…。」


「そうなると人類は交配を必要としなくなるかもな。細胞を老いさせなければいい。そんなこともできるんだろう。病気もそもそも起こさせない。むしろ原始的な生き物へ先祖返りする可能性もある。いや、原始的とはまるで違う。それは高度に最適化されたこれからの地球を生きるための超高等生物だ。」


「新人類が繁栄しないのは未だ個を持った細胞には数という力が足りない。個体数も簡単には増やせない。マジョリティは大きな強みだ。だがそれだけでないとすれば…。気の早い細胞が逸り新人類となっているだけ…。いや、違う。そうか…。我々は作業員か…。今の我々は後々生まれてくる新人類の仲間たちが住みやすい環境を作るための足場に過ぎないんだ。」


「今までは環境に適応し物質的な進化を遂げてきた。しかし今我々は情報に進化させられている。もちろんそれも環境には違いないのだが…。物質的では無く情報的…デジタルは進化を促す。だが、ここまで急激な進化は未だかつてないだろう。それほどまでにこの地球の時間は圧縮され出しているのだ。」


「それが意識の感覚まで操作できるのなら一瞬を一生とも思える時間に、一生を一瞬と思える時間に変換することも可能だろう。もはやこれは延命に過ぎないがなんの問題もない。そもそも生命として全く違う形態を持てば我々の持つ時間は意味などなさないのだから。」


「これは地球の走馬灯とも言える代物だ。素晴らしいよ。その瞬間に立ち会えているなんて…この地球にとっての一瞬を見ることができるのはあと何万年…いや、何年くらいなんだろうね?」

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