第十五話:告白、そして新たな共犯者
呆然と立ち尽くしていた俺だが、リナ先生の呼ぶ声にようやく我に返る。
振り返れば、彼女が青ざめた顔でこちらへ駆け寄ってくるところだった。俺の目の前まで来ると、彼女は何も言わずに俺の全身をくまなく確認し、安堵したように「よかった……」と抱きついてきた。
「あ……あの」
あまりのことに俺の気の抜けた声が出る。リナ先生はハッとして「あっ……すみません!」と顔を真っ赤にして身体を離した。
「大丈夫ですか? ジンさん」
「ええ……なんとか」
「ジンさん、すごいです。あんな化け物を追い払うなんて……!」
リナ先生は興奮気味に瞳を輝かせている。だが、俺は足元に目を落とした。そこには、役目を終えたように無残に砕け散った聖剣の破片が転がっている。
「いえ……こいつのおかげです」
***
俺たちは王都にある、俺とノインの仮の住処へと場所を移した。絶界宮へ帰るわけにはいかない以上、ここですべてを話すしかない。
適当にごまかそうかという弱気な考えも浮かんだが、彼女の真っ直ぐな瞳を前にして、俺はすべてを正直に話すことに決めた。
俺が勇者の末裔であること。
魔王の子供を拾い、実の息子として育てていること。
そして、世間的には俺が既に死んだ存在であること。
長い沈黙。険しい表情で聞いていたリナ先生が、ようやく口を開いた。
「なるほど……だからカイト君は、あんなにも不思議な力を持っていて……」
「まあ……そういう事です」
俺は照れ隠しに頭をかいた。これまでの自分の人生、そしてこの身勝手な隠し事。軽蔑される覚悟はできていた。
だが、次の瞬間。
リナ先生は勢いよく立ち上がると、俺の手をぎゅっと力強く握りしめた。
「私、誰にも言いません。秘密は必ず守ります。だから……私も、仲間に入れてください」
その言葉の意味がすぐには呑み込めず、俺は間抜けなほど口を開いたまま、理解できずにその場で固まってしまった。




