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『俺のオヤジが最強すぎて勇者を廃業したんだが ~最強の魔王を育て上げ、俺をバカにした世界に復讐しようと思う~』  作者: autofocus


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第百十七話:魔道の告発、月下の処刑台

静寂が、かえって鼓膜を圧迫するような夜だった。

 かつては鳥の声や風に揺れる葉の音が聞こえていたハルミナの森は、いまや死に絶えたかのように沈黙している。その静寂を切り裂くように、地を這うような無機質な足音が近づいてきた。


――ザッ、ザッ、ザッ。


一糸乱れぬ隊列。呼吸の音も、衣擦れの音もない。

 人造魔導兵の軍勢は、まるで見えるはずのない扉を開けるかのように、ハルミナの秘匿結界を容易く踏み越えて侵入してきた。


「やっぱり……。物理的な視覚に頼ってないのね。となると、神官たちの隠蔽魔法も気休め程度かしら」


建物の影に身を潜め、イザベラは低く呟いた。

 だが、その瞳に絶望の色はない。彼女は使い慣れた魔導カメラを起動し、レンズに向かって最高に不敵な笑みを浮かべた。


「みなさ~ん、お久しぶり! 麗しの魔道師、イザベラよ」


配信が開始された瞬間、画面にはかつてない勢いで視聴者が流れ込んでくる。


「今日は、聖教団がひた隠しにする『王国の闇』をライブでお届けしちゃうわ。見て、これ」


イザベラがカメラを反転させ、村の広場に侵入してきた異様な集団を映し出す。

 月光に照らされた彼らの肌は土色に変色し、瞳には光がない。全身を這う魔導回路が不気味な紫色の光を放っている。


「あれが教団の誇る最新兵器、人造魔導兵。……いえ、その正体は、教団に逆らった人々や身寄りのない子供たちを媒体に作られた、感情を奪われた『肉人形』よ。普段は愛や平和を説きながら、裏ではこんな悪魔の所業に手を染めているの」


端末の画面が、瞬く間に流れるコメントで埋め尽くされていく。

『嘘だろ……あれが教団の正体か?』

『ハルミナって、アステリオたちが守ってた場所じゃないか!』

『教団クソすぎるだろ、イザベラ逃げろ!』


「心配ありがとう。でも大丈夫。私のところに……このイザベラ様のもとに来たことを、地獄で後悔させてあげるわ」


彼女はカメラに向かってウィンクを投げると、一転して鋭い魔力を指先に込めた。


「さあ――レッツ、ショータイム!!!」


イザベラが指を鳴らした瞬間、ハルミナ村の全域が爆辞的な光に包まれた。

 それは攻撃魔法ではない。広場に仕掛けられた大量の魔石を一斉に励起させた、超高出力の「閃光」と「聖属性の衝撃波」だ。


感情を失ったはずの人造魔導兵たちが、一瞬だけ、その歩みを止めた。ある者は頭を抱え、ある者は微かに顔を歪める。


「……やっぱり、わずかだけど人間の心が残っているのね。魔力の波長が、かつての『記憶』を揺さぶったかしら」


イザベラは建物の影から悠然と躍り出た。

 その手に握られた杖が、深紅の魔力を帯びて唸りを上げる。


「かわいそうだけど、そんな姿で生き続けるよりはマシよ。安らかに眠らせてあげるから……恨むなら、あなたたちをこう変えた男を恨みなさい!」


ハルミナの月夜に、鮮烈な魔弾が放たれた。

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