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13話 会議

すみません、今回全然話が進んでいません...

 これからのことについて、改めて話をするということで、魔王さんとアルマに連れられて俺は別室へ移動することになった。

 席を立つ前、バロンが一人で食器の片付けなんかをやっていたのが見えたもんだから


「手伝おうか?」


 と聞いたんだが、


「これは私の仕事だ。私を失業に追いやりたいのか、人間?」


 と少し怒られてしまった。どうにもバロンは俺のことが気に入らないらしい。まぁ、俺人間だしなぁ。その辺、確執とかいざこざみたいなデリケートな問題もあるんだろうな。仕方が無いか。


 広間を出て程なく。


『何やかんや広いよなここって。廊下とかすっげぇ長いし......やっぱり魔王が棲む場所ともなると規模が違うんだなー』


『一般的な基準はよく分からないが、私が居た洞窟と比べてみても確かにここはとても広い。居住人数に対して釣り合っていないところが少し面白い』


 ......面白いのかそれは?悲しいことのように思うんだが......。ジャックのツボはたまに良く分からんな。


「さて、着いたぞい」


 と言って立ち止まる魔王さん。扉を開けると、中は先程までの広間とは打って変わってこじんまりとした部屋で、落ち着けそうな雰囲気の空間がそこにはあった。


「ここは、書斎。資料室や保管庫もあるけど、話とかはこっちの方がしやすいと、思います」


 まぁ、調べ物なんて後からでも出来るしな。落ち着いて話せる場所の方がやっぱりありがたい。


『いい場所だね。飲み食いの出来る体であれば、是非お茶を飲みながら1日をここで過ごしてみたいものだったが......惜しい。本当に惜しい!』


 ジャックもすごい興奮してるみたいだ。興奮するような場所じゃないと思うけど、気に入ってるならいいか。


「というわけでヨシキ君。話し合いといこうかのー」


「はい」


 そして、これからのことについての話し合いが、3人(+1人)で始められた。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――


「まず件の魔物達じゃが、勢力として大きく3つに分かれておる」


「3つも勢力がある......んですか?」


「うむ。あ、敬語とか全然気にせんで構わんよ」


 あ、いいんだ。それは楽でいいや。


「じゃあお言葉に甘えて。その勢力っていうのは、新参者の魔物達が作ったってこと?」


「いや、勢力というか、グループのようなものは元々あったんじゃ。棲み分けというやつじゃな。じゃが新参者が現れてから、そ奴等が勝手に自己主張を始めて、元々あったグループで好き勝手に勢力争いをしていると、まぁそういう感じじゃな。別に戦争みたいなことになってるわけじゃないんじゃが、ワシ魔王じゃん?魔王のこと無視して好き勝手とか、駄目じゃん?視察されると、やばいんじゃなこれが」


 あー、いるなそういうの。急にやってきたかと思ったら偉そうにふんぞり返ってルール守らず好き勝手するめんどくさい奴。

 国が違っても種族が違っても、こういう所は変わらなかったりするもんなんだなぁ。世知辛い。


「なるほど。で、その勢力っていうのは、具体的には......?」


「ひとつは、西の方に陣取っている死皇蟲(デスビートル)率いる魔蟲達の勢力。死皇蟲以外は大した力を持っていないけれど、とにかく数が多いです」


 虫系かぁ。カサカサ蠢かれたりすると少し嫌だけど、そんな苦手って訳でもないんだよなぁ。ていうかあれな。死皇蟲とか、ちょっとかっこよさそうな。


「2つ目、東の方の、呪大蛇(カースサーペント)を始めとする魔獣達の勢力。勢力規模は小さめです、が、生息区域が毒沼周辺であること、呪大蛇の呪や魔力が強力なことがあって勢力としての強さを維持している感じです」


 この森毒沼なんてあんのかよ。おっかねぇな!

 しかも呪いって......絶対俺の手に負えるとは思えないんだが大丈夫なのかこれ。


「最後ですが、北部。幻騎士(ファントムナイト)の勢力。勢力というか、ほとんど個人なのですが、彼はとにかく強力な個体なもので......」


 ......いや、さっきの二大勢力にほとんど単体で渡り合える奴がいんの?やばくねそれ?この森どうなってんの?つか俺ほんとよく生きていられたね?


『落ち着くんだヨシキ。君は今こうしてちゃんと生きているじゃないか』


『そういうことじゃなくてね!? 気持ちの問題でね!?』


 変な茶々を入れるんじゃないよこのとんちんかんが!


 というか、冗談抜きで不安で不安でしょうがない。


「話を聞く限りかなり危ない奴らだと思うんだが……?やっぱり俺なんかじゃ対処できないって」


「何を言ってるんですか。ヨシキさんは召喚魔法が使えるんです。大丈夫です」


 その召喚魔法に対する信頼はどこからくるもんなんだ!というか、


「いやそもそも俺がどれくらい召喚魔法使えるかとか分かってるのか!? 俺ってばまだ木の実一つ召喚するのでやっとってところなんだぞ!」


 本当にそうなのだからたまったものじゃない。こんな体たらくで、さっき言ってたような奴らをどうにかできるとは俺は思えないね。


「しかし使えるんじゃろ? その事実こそが重要なんじゃ。そもそもヨシキ君、お主が召喚魔法を使えるという事実にこそ、ワシらは希望を見出し、協力してほしいと願いすがったんじゃ。それほどまで召喚魔法というものは、強大な力を秘めている……と言い伝えにある」


 言い伝えかよ!何か確信があったんじゃないのか!?


『まぁまぁ、落ち着き給えヨシキ。どちらにせよ君は召喚魔法を磨かなければならない。そうしなければ、君、元の世界には帰れないだろう?』


『そうなんだけどよ。引き受けたからには半端なことはしたくないじゃないか。それにこれは恩返しなわけだし』


『殊勝なことだ。……私も、魔王殿も、かの少女も君の召喚魔法強化のために手を貸すんだ。きっと何とかなる。そう信じるほかあるまい』


 まぁ、そうなる、か。いや、分かっていたことだけど、現状が現状なもんだから本当に大丈夫なのか・ってなってしまうんだよな。


 と、アルマが、不安そうな表情を浮かべながら俺の顔を覗き込んでいることに気付く。

 ……この子にとっては、俺が希望なんだよな。

 俺がこんなことじゃ、そりゃ心配になってしまうよな……


「……消極的なことを言って悪い。魔王さん、アルマ。俺の魔法の強化を、手伝ってほしい。恩返しをちゃんとこなすためにも、さ」


「ヨシキさん……はい、もちろんです」


「うむ。当然じゃな」


 二人が力強い視線でこちらに向き直ってくれる。なんというか、とても心強いな。



「さて、じゃあ俺の召喚魔法についてなんだけど……どこから話せばいいやら」


 俺だけが使えるわけだし、体系化?をこなさないといけにといったって、どういうわけかこの召喚魔法はDF(デュエル・フロンティア)を元に構築されているわけで。

 ……まぁ、そこから説明するのが妥当ということになるのかね。


 というわけで、俺は二人に、ジャックに話したように、DFのことや元の世界のこと、転生について語ることにした。



 ――――――――――――――――――――――――――――――



「ほう。ヨシキは転生者じゃったか。いやはやどうりで召喚魔法という強力な力を宿しておるわけじゃ」


「ヨシキさんの元いた世界の話、面白いです。また聞きたいです」


 両者それぞれ反応を示してくれる。魔王さんは転生者について知ってる風だな。まぁめちゃくちゃ長生きしてるわけだし知ってて当然か。

 アルマは俺の世界の話にすごい興味を示していた。大した話はしてないんだけどな……


「しかしあれじゃな。ヨシキ君の世界での娯楽を元に召喚魔法が構築されておるとは……奇妙なこともあるんじゃな」


「召喚魔法ってそもそもどんな感じなんだ?」


「うむ。言い伝えや、古い書物なんぞに記されておる記録によれば、召喚魔法とは大規模魔法の一つであることが多い。召喚魔法の使い手を主軸に複数の魔力供給役がそれぞれ魔法陣を形成し、1体から数体の魔物などを呼び寄せ、契約を交わし、使役するといった具合じゃな」


 思いのほか詳しい内容分かってるんだな。


「そこまで分かってるんなら召喚魔法使える人が何人かいてもおかしくないんじゃないか?何で失われてしまったんだ」


「先ほども言ったように思うが、召喚魔法はそもそも才能持ちでなければ大した使い手になれない類の魔法なのじゃ。更にその体系も複雑で、最早体系と呼べるものではないほどだったとも聞く。ま、言ってしまえばめっちゃ難しいっちゅうことじゃな」


 一応体系はあったけど、その習得難度のあまりの高さに使い手がどんどん減って遂には失われた魔法になっちゃった感じか。

 んで俺は才能持ちだから使い手になれる、と。ほうほう。


「なるほど。聞いてる限りだと俺の召喚魔法、言い伝えにある魔法とは毛色が全然違う気がするな? 俺のはほら、こういうカードを使ってやる感じだし」


 そういって、さっきりんごを生み出したときに一緒に生成された《りんご》のカードを出して二人に見せる。


「これが件の札、か……不思議な代物じゃなあ。あ、りんごが描かれておるぞ。うまそうじゃ」


「ほんとだ。おいしそう」


 見るとこそこかよ。

 そう思ってジト目を向けていると、魔王さんは取り直すように、


「えー、オホン。ヨシキ君、お主はこうして召喚魔法を形として構築させておる。であれば、体系化はそこまで難しくはないはずじゃぞ?元になっておる娯楽に沿う形で、、ヨシキ君が思ったとおりに肉付けをしていけばよいだけじゃからな」


 と言う。

 これについてはジャックも同じことを言っていたな。


『なぁ、もしかしてそれってつまり、DFと同じような形で俺が好きにしていいって解釈であってるのか?』


『そうだ。まぁ試行錯誤が大事だな。いずれ最適化されよう』


『つまり俺がルールを決めれる、と。ほうほう』


 なるほどようやく話が見えてきたぜ。この世界で俺はDFを実際にできて、しかもそれで戦えたりしちゃえるわけだ。……テンション上がってきた。

 いや、不謹慎とは思うけど、そもそも俺はDF大好き一般大学生な訳で、こんな切羽詰まったような状況でなければ大いに楽しみたいってもんだ。こればかりは仕方が無いと思う。


「ヨシキ君。お主の魔法を強化するべく、今1度元となった娯楽について見直すと良いかと思うのじゃが、どうじゃ?」


「見直す......ルールとかをってことか?」


「そうじゃ。お主自身も言っておるように、現在お主はりんご一つを生み出すのがやっと。新たな力を手にするには、改めてその力の元となったその遊戯を見直すべきだとワシは思う」


「そこから色々と試して、何か法則や、きっかけが掴めれば。ヨシキさんの召喚魔法は次の段階に進めるはずです」


 ふむ。全く正論だ。といってもDF、そんな難しいこともないと思うんだけどな。


『君はそう思っていても、我々からすればそれは未知の領域だ。それに召喚魔法自体今は大した手掛かりもないのだ。手探りでも、やれることはやっておいた方がいいだろう』


 ジャックもそう言ってくる。よし。


「分かった。とりあえず、DFのルールとか基本的なことを頭に思い浮かべながら、何か召喚してみようと思う」


「それがよかろう」


 しかし召喚なぁ......何か魔物を召喚するのが妥当なんだろうけど、この世界の魔物のことなんか勿論知らないんだよなぁ。

 というわけで、少し案を聞いてみるか。


「何か召喚する魔物で、良ければ案とか無いか?」


 「ヨシキ君の方で考えがあるのでは無いのか?」


 「いやぁ、俺この世界の魔物のこと知らないし。だから召喚するって言っても何を召喚すればいいのかってあんまり分からないんだよ」


 「うーむ。そうだのう。この世界で言えばスライムやゴブリン等が、低級の魔物として良く知られておるから、最初はそのあたりで試してみるのがよいのではないか?」


 なるほどな。よし、そのあたりで一つやってみるか。

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