表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/13

10話 りんご召喚

 どうなってるんだこれ...?


 ジャックに言われた通り、とにかくリンゴを召喚するイメージっていうのを頑張ってみたわけだが...


 俺の初めての魔法によって生み出されたものは、2つ。

 1つは、狙い通り、りんごだ。いよいよ餓死するかとも思ってたし、うまいこといって内心ほっとしている。

 そしてもう1つが、これ。


「何でDF(デュエル・フロンティア)のカードなんか生み出されたんだ...?」


 青を基調とし、中央には“DF”のロゴがあるシンプルなデザインの裏面である1枚のカード。

 かれこれ何年も目にしてきたから見間違うはずがないそのデザイン。紛れもなく、俺が愛してやまないDFのカードそのものだった。


『どうやら成功したようだね』


『みたいだ。ほんとに俺、召喚魔法の才能なんてものあったんだな...』


『そうとも。それに見たろう?先程の力の奔流を。君が強大な力を秘めていたという証拠さ』


 確かにあの光は凄まじかった。もしかして、これから召喚魔法使う度にあの光が飛び出してくるのか...?だとするなら、ちょっとやめてほしい。あれは心臓に悪い...。


『ところで、その左手に持っている札?かな?それは...?』


 あぁ、やっぱ気になるよな。俺もだよ。


『えーと、俺が元いた世界で趣味にしてた...うーん』


 どう説明すりゃいいんだ?この世界にカードゲームなんてものが存在するとはあんまり思えないし...あ、トランプみたいなのはあるのか?


『この世界ってトランプ、とかそういう感じのカードでやる娯楽みたいなのってある?』


『いや、知らない』


 だよな。


『しかし、札で行う娯楽、か。これがそうなのかね』


『ああ。ちょっと長くなるかもだけど...いい機会だし話すか』


 そして、俺はジャックに、俺がこの世界に来る前の話...元いた世界についてのことを語ることにした。

 どういう物を食べているだとか、学校という物がどんな場所だったかとか、他愛もない話がほとんどだ。

 途中からはDFの話をずっとしていた。DFが如何に面白いか...如何に奥が深いか...それでいてたまにクソな1面もあって、でも何故かやめられないんだ、とか...


 そういや俺って何でこんなずっと続けてたんだろう。飽き性なはずなんだけど、よくわからんもんだ。


 1通り俺が満足するだけ話しきった後、1拍置いて、ジャックも満足気に語りかけてきた。


『ヨシキが元いた世界はとても興味深い。また今度色々と聞くとしよう...それにしても、君はその、“DF”という娯楽が大層好きなようだね』


『まあな。ジャックもきっと、やればハマると思うぞ』


『ハマるとは?』


『あー、のめり込むとか、夢中になる、熱中するとかそういう感じの意味かな』


『なるほど...いやいや、ヨシキといるとやはり、飽きが来なくて本当に楽しいな』


 それはどうも。


『ところでそのDFというカードゲーム?だが、“召喚”というシステムがあって、それを用いて駆け引きをするということだったね?』


『おっ、早速興味を示してくれたか!そうだ。色々とカードタイプはあるんだが、とにかくこの“召喚”でプレイすることができる“生物(クリーチャー)”がこのゲームの主役ってわけだ』


『ふむ。なるほど...』


 え、もしかして、そんなに説明してないけどもうDFのシステム把握したのか?すごいなジャック...


『そう、そのDFだ。そのゲームのシステムをうまく利用するんだ』


『?急に何言ってるんだ?』


『召喚魔法だ。言ったろう?体系化を成すのだと。それは何も異世界の情報や法則を使ってはいけないということではない。君の、君による、君のための召喚魔法を作ればいい。それこそ、他の人間では到底考えつかないような方法で!』


『ちょ、ジャック!1人で盛り上がってんなよ!』


『これが興奮せずにはいられるものか!私は今、恐らくだが素晴らしい物を目にしていたんだと思う。確認だが、そのカードは君が元いた世界にあったカードと同じデザイン。間違いないね?』


『あ、ああ。表面は...りんごの絵が描いてあるな。こんなのは見たことないけど...でもデザインは間違いない』


『デザインが同じものだということはそれだけ、君がそのゲームのことを強くイメージ出来ていたからだと思う。まあそれはそれで凄いイメージ力だと思うのだが大事なのはそこじゃない。魔法によって、君の世界...つまり異世界の物を君は今生み出したことになる!しかも少ない魔力で...!』


『少ない魔力は余計だろ!しょうがないだろ!?俺転生者だけど何でかそのへんの力は一般人並なんだからよ!』


『失礼。深い意味はないんだ』


『分かってるからいいよ...突っ込みたくなるのは何というか性分なんだろうから...まぁ元々別の世界のモノのはずの、このカードを“召喚”できたのがすごいっていうのは分かったんだけどさ。こっちのりんごは?1回の魔法でカードとりんご生み出したってこと?』


『...いや、恐らく、そういう訳では無いと思う。私が見た限りではどうやら...そのカードを媒介にして、そのりんごが召喚されたというところだろう』


 ん?このりんごは俺が召喚したんじゃないのか?


『え、二度手間なってるってことか?』


『とにかく情報が少なくて分からないんだが、恐らく、だよ?恐らく...まず、そのカードを君が召喚魔法によって生み出した。そして、そのカードを元に、そのりんごが生みだされた。体系化はこれからやっていくことになるだろうが、現状、君は何か召喚するという場合、まずその元になるカードを生み出さなければならないことになる、と思う』


 え、俺、召喚魔法を十全に使おうって思ったら、ひとまずこのDFのカードを作らないといけないってことか?

 め、めんどくせぇ...二度手間ってレベルじゃないと思うんだけどそれ...


 まぁめんどくさいはめんどくさいけど、悪いことでもないな。

 ジャックも言っていたが、俺はこれから、元いた世界に帰るためにこの召喚魔法を磨かなきゃならない。そして、そのためには召喚魔法の肉付け...つまり体系化が不可欠だ。俺が今使えたこのりんごのカードも、本来の召喚魔法の力からすれば初歩も初歩、下級もいいところだろう。

 だから、これを俺とジャックでどうにか“ちゃんとした魔法”に昇華させてやらないといけない。

 そのプランニングがめんどくさいことになるだろうなー、とか思っていて、まあ2人で気長にやるかなっとも思っていたんだけど...


 DFの形で魔法が使えるとは思ってなかったからなぁ。

 DFのことなら俺はよく知っている。魔法がDFの形で再現できるのなら、その魔法自体にDFのシステムを当ててやればいいんだ。


『とりあえず今後の方針は決まったな』


『そのようだ。実に素晴らしい』


 あー良かった良かった。

 ...安心したらめちゃくちゃ腹減ってきたわ。ていうか腹減ってたんだったわ!びっくりし過ぎて忘れてた...


 このりんご、とりあえず食べるか。


『味はどうかね』


『普通に美味しい。俺の知ってるりんごの味だわ』


『見た目だけではなくちゃんとしたりんごそのものが生み出せたということだね。結構』


 ああ、そっか。見た目だけ似せた物ってことがあったかもしれないってことか。次食べるものを生み出すってなったら少し気をつけるべきかね?


 ...そういやこのカード、表面よく見てなかったな。りんご食べてる間手持ち無沙汰だし、よく見てみるか。


 表面は、全体的に緑色をしていた。あぁ、となるとこれ、“大地”の属性カードか。

 属性というのはDF特有のシステムで、全部で5つある。それぞれ相性が良い悪いがあって攻撃する時効果抜群で二倍になって...とかそういうのは特に無く、単純に属性ごとに特徴が決められてる感じだ。

 その特徴如何によっては相性の善し悪しは確かにあるかな。

 まあいいや。とにかく今は続きを見てみよう。


 真ん中にはりんごの絵が描かれている。今俺が食ってるやつそのものって感じだな。

 左上には、そのカードのコストを示す数字が付いているんだが、それが...え?“0”?そんなの見たことないぞ。

 これはどういうことだろう。後でジャックと要相談だな。

 あとは...ああそうだ。テキストがどうなってるのか気になるな。

 どれどれ...


 ===========================


 りんご コスト:0

 呪文/効果

  ・空腹状態を少し回復。

  ・このカードは使用後、墓地へいかず、消えない。

  ・このカードは戦闘時、使用することが出来ず、山札に入れることは出来ない。



  赤の果実が、恵みをもたらす。


 ===========================


 ...消えないとか、山札に入れられないとかは初めて見るテキストだ。これは...異世界仕様ってやつだろうな。

 てか、最後テキスト...これ...

 フレーバーテキストとかあるのかよ!俺が生み出したものだけど無駄にクオリティたけぇな!?


 ...あ、気づいたらりんご無くなった。でもまだお腹空いてるわ。もっかい召喚とか出来ないかな?

 ...あれ?どうすればいいんだ?


「ジャック!召喚どうすればいいんだ!?」


『何故私に聞くんだ...?』


「そうだったわ!」


 落ち着け、俺。成行きとは言っても、せっかく召喚魔法が使えるようになったんだ。こんなことでつまづいてどうする!?

 えーと、あれだ。この魔法は、DFをベースに発動できるってことのはずだ。なら、DFと同じようにすれば、魔法を使えるはずだ。


 えーと、テイクマイターンアンタップドローチャージキャスト...ぶつぶつ...


 すると、左手のカードが光りはじめ、右手には新たなりんごが握られていた。

 あぁ、こうやって召喚する時はそんなに光る訳では無いのね。安心した。


『何やら呪文のようなものを唱えていたが、うまくいったようだね?』


『呪文てか、合言葉みたいなもんだな。とにかく上手くいってほっとしたよ...』


 安心したところで、改めてりんごに齧り付こうとした。

 のだが、


「...あなた、何者ですか?」

「は?」


 目の前に、見知らぬ少女が立っていた。

元にしたカードゲーム、分かる人はすぐ分かると思います。


なるべく説明は入れるようにしてあるのですが、分かりにくい部分などがあれば言っていただけると助かります。

読んでくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ