誤解満載
「ところで……熊埜御堂先生、桜城さんの注意はしなくてもいいんですか?みんな、というかおもに女子が迷惑顔でうろついてますけど」
「あ~、胡桃ちゃんですか~、みんなと仲良しに見えましたが~?」
どこが仲良しに見えるんだ、というか胡桃ちゃんって呼んでるんだ、洗脳されつつあるのかな?小町みたいな人が桜城さんに魅了されるのはなんか釈然としないけどいいんじゃないですか、収入が安定してそうで。
熊埜御堂先生はふざけて女の子を追いかけまわしている魅了されていない男子を注意しに行くと言ってどこかにいった
「そういえば~、御堂先生は~、頼めば名前で呼んでくれるらしいよ~」
「えっ、そうなの!?だから胡桃ちゃんって言ってたのか……なんか納得しちゃったよ」
そりゃ桜城さんが頼まないわけないわ
絵も大体できてきたところでお互いに見せ合う、小町も絵がうまいね万年美術が2の人からは想像もつかないうまさだ、半分くらい欲しい、その画力
ぐぬぬ、とか言ってさらにどうにかこうにかしていればあっという間に絵画大会の時間が終了する。
ああ、これを出すのか、提出したくないなぁ……、こんなことなら護君に行って一緒に描かせてもらった方がよかったかな?
公園は徒歩で帰れる距離にあるので全員徒歩で帰る、疲れている人(桜城さんを睨んでた人)もいるのに、ご苦労なことだ
それから早1週間後、見事に立派な作品たちが玄関のすぐのところに張り出されていた。やっぱり2年生の特選は神宮君だった、センスあふれる美術系なのになぜか美術部に入っていないことで有名だ、あと入学早々女の子に「足が好きです、付き合ってください」などとほざきまくったチャラ男でもある。
私はやっぱり賞は問っていなかったが小町と桜城さんの名前が金賞の絵の所にある。女子たちは小町を言い訳にして桜城さんに何か言ってるけど小町、あなた絶対立ったまま寝てるよね?
無駄なところで器用な小町は放っておいても大丈夫だろう、2年のほかの所を見てると銀賞の所に護君の名前があった、なかなか可愛らしい絵だね
1年の所にはなぜか春ちゃんが仁王立ちしてさも自分が特賞をとったのはあたりまえだと言わんばかりの顔で頷いている……すごいね、春ちゃんはこちらに気が付くと振り返って駆け寄ってくる、いや、来なくていいから
「弥生、俺、特賞だった」
「凄いと思うよ」
・・・。そこで春ちゃんがこちらを見てくる、何だよ、そして屈む
撫でろっていうことですか?撫でないから、絶対に撫でないからね?おい、そんな子犬のような目で見てくるな。きみは蛙さんだろうが!
無言で相変わらず見つめてくる春ちゃんを見て、私は深々とため息をついて頭を渋々撫でる。
春ちゃんは満足そうにしている。みんなの視線が痛いけれどね。
「はぁ……これでいい?じゃあ私教室に行くからバイバイ」
「俺も行く」
「……」
無言で歩けば春ちゃんもとことことついてくる。子犬か!普通そう言うのって刷り込みに成功した時だよね……?私は刷り込みに成功したのか?
イライラと歩けば前方から見知った顔の子、寧湖ちゃんがやってきた。何人の子と一緒に。
寧湖ちゃんはこちらに気が付いたようでこちらに駆け寄ってくる、何人の子も一緒に、だけどね
寧湖ちゃん、私が春ちゃんといたのがそんなに驚くことだったのかしばらく唖然と固まっていたが次の瞬間には私の目の前にいた。超能力者?
「ね、ねぇねぇねぇ!あのさ、弥生ちゃん。間違ってたらごめん、隣の人もごめんなさい、だけど聞かずにはいられないっ!その人ってまさかまさか……1年生の蛙春之助様ですか!?」
「……そうだけど、春ちゃんがどうかしたの?って様?」
「は、春ちゃん……?!弥生ちゃんまさか、蛙春之助様と知り合いなのっ!?」
ぐいぐいとこちらに来る寧湖ちゃんに後ずさりしながらも「そうだよ」と答えると悲鳴にならない悲鳴を上げてぴょんぴょん飛び跳ねた。やめてくれ、恥ずかしい思い出がよみがえる。そんなことをしていれば周りにいた子も気づくわけで……
はぁ、また取り囲まれるのか……と思ったのもつかの間、寧湖ちゃんの後頭部に鋭い白い一線が直撃したのを私は見逃さなかった。ぎょっ、として寧湖ちゃんを見れば後頭部を抑えてうずくまっていた。
周りの子の一人が思いっきり上履きで寧湖ちゃんを引っぱたいていた。パワフルだな……
「ちょ……睦月っ!何すんのよ、いいところだったのにぃ!」
「……いいところも何もないでしょう?」
「はぁ!?」
「そちらの方々も迷惑していらっしゃるんじゃなくって?」
睦月、と呼ばれた子は鷹黒睦月という子で、去年同じクラスだった子だ。というかよく見れば周りの子は全員元同じクラスの子たちばかりだ。
春ちゃんは眠そうにあくびを一つする。
「こほんっ!申し訳ございませんっ、馬鹿寧湖がご迷惑おかけしましたわっ!」
ぴょこん、と桜城さんと同じように二つの頭の上の方でくくってあるツインテールを揺らしながら前に躍り出たのは小柄な女の子。大きなピンク色のリボンをつけてご丁寧に口に手なんか当てちゃって胸を張りながら言う。残念ながらあまり……いろいろなところは成長していないようですが?
小さいと言っても私よりは大きい、縮め。
「私っ、白鳥麗娜ですわぁ!春之助様のお目に掛かれて光栄ですのぉっ、そちらの小柄な方は高野さんですわねっ!去年はどうもお世話になりましたわぁ!今後ともこのっ、白鳥玲奈をっ、よろしくお願いいたしますわぁ!お礼を果たすためならっ、どんな情報も与えて差し上げますのよっ?オーホホホ!」
「……麗娜さんは、大げさだと思うのですが?」
「あー……麗娜、睦月がドン引きしてるし弥生ちゃんもついていけてないから」
彼女のあのしゃべり方はいつも通りなようで……どこかお嬢様気質な彼女はどうもとっつきにくそうだがきちんとしている人だと周りは、知っている人は、彼女のことを認めている。後情報網がすごい
春ちゃんはどうやら入学して余りたっていない様なのに有名人みたいだ
「春ちゃん……この学校に入ってからどれくらいの人に告白されたか覚えてる?」
「…………覚えてない、弥生のこと以外考えてない」
「おい」
春ちゃんが言うや否や私のセリフをほぼ食い気味に「キャーーー!」という黄色い声が……。どうやら声の主は寧湖ちゃんたちで、頬をピンク色に染めながらはぁはぁ言いながらこちらに、というか春ちゃんに詰め寄る。
「春之助様っ!弥生ちゃんとはどういう関係でっ?」
「彼氏と彼女」
「嘘です」
またもや寧湖ちゃんたちの黄色い声が響き渡る、人の話聞いてた?ねぇねぇ、聞いてた?
……こりゃ駄目だわ、と頭を抱えながらも、ボーッとしている春ちゃんをキッ、と睨む
「あんな嘘つかないで」
「嘘じゃないよ、これからそうするつもり」
「……つまり、私と、春、アンタが彼氏と彼女になる、と?」
こくん、と頷く春ちゃん。ありえないからっ!絶対ない!
つい、「春」……なんて言ってしまったけれど春ちゃん、私より桜城さんという人がいてだな
桜城さんはさておき、寧湖ちゃんたちが静かになったなあと思い耳を傾けてみればなんか「お兄ちゃんが似合うと思ったのにっ!」だの「仕方ありませんわね……これは春之助様に協力するほか……」だなんて言ってるけどやめてください。切実なんです本当に。
「高野さんっ、いえ、弥生さん!」
「はい……?」
「春之助様をどうか、どうかお幸せにしてくださいなっ!不肖白鳥麗娜、全力でサポートしっ、弥生さんに春之助様以外指一本と触れさせませんわよぉっ!!」
「は、はいぃぃぃぃ?」
この人は一体何を言っているのだろうか
「弥生様、睦月もサポートいたします、何卒よろしくお願いいたします」
「春之助様、安心してね、弥生ちゃんに変な虫が付かないようにするから」
「…………頼む」
盛大な誤解だっ!叫びたくても叫べない、視線が痛いです。春ちゃんも「頼む」じゃ、ないよっ!?
ああ、だれか、桜城さん……たすけて
真谷寧湖
・2年生で弥生とは小学校のときに少し知り合って中学でもいろいろとあった仲
・黒髪を肩につかないところで切っている
・身長154cm
鷹黒睦月
・寧湖の友達、弥生とは1年生の時に同じクラスだった
・紫っぽい色をした濃い色の髪の毛をゆる~くしている
・153cm
白鳥麗娜
・お嬢様気質なチビロリ2年生で、寧湖の友達
・茶髪で大きなピンクのリボンをしている
・147cm




