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地上戦スタート

世界遺産に巣ってヤラシイね。


ヘリコプターに乗り、いつものように屋久島へ移動していたパイロットと助手は唖然とした。



「何だ!あれは!」



目の前にハチがクモを抱えて飛んでいたのである。


「あれを打ちますか?」(上から殺虫液を撒くかミサイルしか攻撃手段はない)


「打とう・・・えっ!」


2人が奥の方を見るとそのセットが無数にいた。


「キリがない。止めよう。巣だ。巣を攻撃だ」


巣を攻撃と言っても上から殺虫液を撒くだけなので効果はあるのか。手応えをもう一つ感じない攻撃だがやる。


予想通り、やればハチが襲って来るのでそいつらにも液をかける。


殺虫液は爆弾を落とす要領で行う。無くなったら退散だ。


「隊長、落としました」


「退散しよう」


東京の本部に戻って、ハチがクモを抱えて本州に向かっていた事を報告した。本部の偉いさんが


「向こうはコミュニケーションが取れるって事だよな」と不安気に言う。


「えっ、それは分かりませんが」


「ハチとクモで連携が取れてるじゃないか。大きくなっただけじゃない。知能も付いてる」



しばらくの沈黙がこちら側のピンチを物語る。パイロット隊長は口を開く



「・・・ヘリを増やそう」



助手が残念そうに言う。


「増やしても・・・凄い数でしたよ。ハチとクモの1セット・・・地上部隊の投入も。」


「いや、けど、やるだけやってみよう。ヘリを増やそう」


「それよりも、縄文杉を燃やしませんか。不謹慎な発言ですが、屋久島にはもう住民はいないと聞きますし」


偉いさんが



「世界遺産だが・・・」



「そんな事言ってる場合じゃないんですよ!」


隊長は語気を強めて言った。さらに続ける。


「奴らの拠点を潰さないといつまで経っても終わりません。向こうには巨大なクモがいる事も分かりました。事態は深刻なんですよ」



会議中にに全国のニュースが流れた。


「上からクモが降ってきています。巨大な2m程のクモです。皆さん外出は控えてください。繰り返します。外出は控えてください」


九州にいる藤本達はこのニュースを観て唖然とする。


「東京以外にもクモ降ってきてますよね」


「おそらく」


「おかんは無事なんか」


藤本は不安になる。電話する。繋がらない。もう1度かける。繋がった。


「私は無事やけど、東京の方は凄い事なってるね。そっちはどうなん」


「こっちはハチよりも蚊の方が多いわ。キリないから水辺に殺虫液撒いて根本から切ろか言う話なってるわ。蚊って水の卵産むやろ。まぁ、モロ環境破壊やけど」


「そうなん。一応こっちはまだ、クモは落ちて来てないわ」


「家は出るなよ」


「出るな言うても買い物とか行かなあかんし・・・」


「危ないからあんま出んといてな」



藤本は不安のまま電話を切った。池田の母ちゃんも無事らしい。若造の母ちゃんは寝起きだった。実松はかけてなかった。何でも勘当されて1人暮らししてるらしい。


「それでも、かけたら?」


池田が言う。


「かけ~や」

藤本も言う。


実松は手を横に振った。


TVで緊急会見が開かれた。総理から


「縄文杉を燃やします。クモが本土に来襲してるとの事でこの決断に至りました。苦渋です。非常に苦渋です。自衛隊の方々に縄文杉まで行ってもらいます。地上戦です。また、国民の皆様には防犯スーツを配布しますので、後日手紙が届きますので、その日の書かれた時間に役所ないし、公民館に行って貰ってください」


実松は池田にグチる。


「貰いに行ってる間に襲われたらどうすんだよ」


「車で行けって事じゃ・・・」


「車ない奴はどうすんだよ」


「それは・・・」


この判断はまずかった。貰いに行ってる間に襲われ死亡する人が出た。貰えた人間もいたけど、死亡した人間が出たのがマズイ。しかし、メディアはこれを隠した。



「こちら大阪です。クモが現れました!」

「こちら、名古屋。クモが・・・」

「こちら、青森。クモが・・・」

「こちら、高知。クモが・・・」



全国にクモが出始めた。九州遠征に来たメンバーは口ぐちに


「実家に帰りたいと漏らすが、帰る交通手段が無かった。みんな閉鎖されていた」


そんな中、最悪のスカウトが彼らに来た。


「屋久島に一緒に来てくれませんか?」


自衛隊からだった。藤本、池田、実松、若造は呼ばれた。


断れない雰囲気だった。断っても連れてかれそうだった。それでも実松は


「嫌です。俺たちはここでやります」と断った。断ってくれた。


「あなたたちの力が必要なんです。お願いします。九州の害虫駆除業者は優秀って聞いたのでどうしても来てほしいんです」


自衛隊も折れない。1時間にも及ぶ説得の末、結局行く事になった。


前よりも格段に良い防護服をもらった。火炎放射器や殺虫液が出る鉄砲をもらった。ヘリで屋久島に向かった。






上から見て、一つ気になった事がある。あの木の上にある帽子のような物は何だ。何となく何か分かるけども。ニュースで巣の事は流れてなかった。


「あれが、ハチの巣ですか?」池田が尋ねた。


「そうだよ。大きいだろ。あそこからおそらく出陣してるんだ。だから、あそこを潰さないと勝てないんだよ」


「下から燃やした方が早いんじゃないですか」


池田正論っぽい。


「いや、船で戦車運んで行くらしいんだけど、縄文杉って山奥にあるじゃん。だから、そこに行くまでが大変なんだよ」


「ロープウェイとかないんですか?」


「前に、作ろうとして大反対喰らったからないよ」


「歩きですか?」


「そうだよ。片道10時間ぐらいかかる」


「もうさ、ロープか何かで上から縄文杉に降りた方が早いんじゃないですか?」


「ハチにやられるだけだよ」


「けど、10時間も歩いたらこっちが持ちませんよ」


「じゃあ、お前ロープから降りるか」


「・・・」


「そうなるだろ。思い付くけど、誰もやらないんだよ。その作戦は」


かくして、空港に付き、車で荒川登山口まで向かった。


「ここから大分歩くから覚悟するように」


「こんな道、戦車通れないでしょ」


「戦車は民家の方まで降りてきたクモやハチ退治に使います」


民家までいるのか。占領されてるなとみんな静かになる。


「じゃあ、着替えようか」


一同小屋の中で着替える。僕らのチームは藤本、池田、実松、若造、自衛隊6人の10人チームだ。少ない。精鋭部隊らしく少ない方がいいらしい。


「火炎放射器は自衛隊員が持つから君たちには殺虫液鉄砲をあげよう」


「ちょっと待ってよ」若造がごねる。


「火炎の方が絶対いいじゃん。そっちくれよ」


「これは許可がいるんだ。だから、君たちはそっち。強さもそんなに変わらないよ」


「ウソだ。火炎放射の方が絶対強いよ」


「あの・・・」池田が質問する。


「山火事になったらどうするんですか?」


「その時は逃げよう」


「逃げようって絶対山火事になりますよね?」


「政府からは縄文杉の本隊以外は極力火炎は使うなって言われてる」


「本隊までたどり着けたとして、そこに火を付けたら僕らは逃げれませんよね」


「消火器班が後で来る」


「一緒に行動ですか?」


「そりゃそうだろ。まぁ、あいつらはヘリの上からかけるだけだが」


「一緒じゃないじゃないですか!」


「上で見張ってくれてんだよ。心強いだろ。トランシーバーで連絡取れるし」


とんでもない所に来てしまったと藤本は後悔した。親に電話しようにも圏外だ。もう逃げられない。


「じゃあ行くか」


自衛隊員達を先頭に僕らの命がけの登山が始まった。早朝からの登山だ。ミスマッチなトロッコ道だ。


早くも、クモの巣があって気持ち悪い。これがあるって事はクモが近くにいるって事だ。恐い。恐すぎる。


上にもハチが飛んでいる。けど、なぜだろう。僕らを襲って来ない。どこか別の所に飛んでってるみたいだ。






「何か色々来ましたが」偵察ハチが女王に報告した。


「ほっときなさい」


「いいんですか?」


「今は東京を中心に攻めるのです。こっちに来た連中は捨て駒みたいなもんでしょ。バテた所をやればいいのよ」


「はい。しかし、こっちまで来させて大丈夫ですか?」


「縄文杉に来たら逆に好都合じゃない。こっちの拠点よ。負ける気がしないわ」


「しかし、不気味な武器を持ってますよ」


「心配しすぎよ。ここに来るまでにクモの巣にかかってエサになる奴が何人かいるでしょ」


「かかりますかね。バレバレですよ。あれ」

「バテたらかかるわよ」


「そうですかね・・・」


虫サイドはお気楽である。拠点まで来たらいいと言ってるのは油断してるのか。それなら人間サイドに目はある。





とうとうTV放送をしなくなった。付けても砂嵐だ。新聞とラジオも休止だ。日本に情報が無くなった。


屋久島にいる自衛隊や害虫駆除隊は圏外なので家族と連絡が取れない。ただ、ひたすらに彼らは歩いた。本当に歩いた。これは元無職にはかなりキツイ。自衛隊は鍛えてるからまだマシだがが駆除隊は相当キツい。人選間違ったんじゃねぇか。


途中、楠川分かれを超えた所のトイレで休憩に入る。


「クモの巣が漫画に出てくるような大きさですよね」


「あんなのたまったもんじゃねぇよ。引っかかるなよ」


「けど、変ですよね。ハチ達が襲って来ないじゃないですか」


「一応、虫除けしてるからじゃねぇの」


自衛隊だけズルい!何すかそれ」藤本は怒った。


「あぁ、言い忘れてたけど、この防護服自体に虫除け塗ってるから君たちにもされてるよ」


「それなら良かった」安堵する一同。


実松は言う。


「けど、もっと攻撃されるんか思ってましたわ。ハチ。俺こういうサバイバルゲームみたいなの好きなんですよね」


変な間が空いた後に自衛隊の班長から怒られてた。


一方東京ではハチの群れが襲い掛かっていた。


クモ爆弾も投下中で大変な事になっている。クモは人間に直接糸を吐くようになっていた。


蚊も来襲している。大阪や名古屋、広島、と言うか日本全国にこの現象が起きていた。


「政府は何をしてるんだ」


「早く拠点駆除しろよ、クソ自衛隊」


「早く薬開発しろよ。クソ科学者共!」


と実際頑張ってる方々がバッシングされる毎日。


休憩も終わり、歩き始めるメンバー。


「トロッコ道、スタンドバイミーみたいだね」と池田はお気楽だ。


「何だそれ?」と実松。


「映画ですよ」


大して盛り上がらず。休んだからか、こういう雑談をする余裕があった。


虫が襲って来ないので雑談する余裕が生まれていたのもある。


しばらく歩くと目の前にが三代杉があり、見上げると火炎放射が届きそうな位置にハチの巣もある。でかい。1つの巣の穴に大人がすっぽり入れそうである。それが無数にあるから不気味だ。ハチの巣の穴々がでかい。けど妙だな。何もいない。


「火事になりますが、燃やしますか?」


「そうしよう。放火班と放水班用意!」


作業開始。燃やすと中からハチが出てきた。


「うわぁ!出たぞ。駆除隊用意!」


俺たちは慌てて殺虫放射器をまき散らす。放水って言うのは殺虫液を撒けって事だったらしい。消火効果もあるらしい。


向こうも中々倒れてくれないが、弱ってはいた。弱った所を火炎放射で燃やした。そして殺虫液で火事を阻止。


何匹も何匹も出てくる。何人か刺されたのか防護服に穴が開いていた。って事は防護服意味ねぇ!帰りたくなった。


さっきの虫除けの話も何だったんだ。本当に帰りたくなった。何とか数十匹を倒し終えたが、何人かの自衛隊が刺されたのか。様態がおかしかった。そして吐血しだし、息絶えた。3人が死亡した。


「帰らせてくれ!」


池田が怒りながら言った。


「ここから1人では無理だ」自衛隊が諭す。


「こんなのおかしいよ。自衛隊が死ぬような場所に素人も呼ぶなんてさ!」


「国の緊急事態なんだ。仕方ないだろ」


「池田さん、しゃ~ないって。来ちゃったんやから、死ぬのも予想出来たやろ」


実松が呆れたように言う。


怒った所で状況は変わらないと悟ったのか池田は静かになった。そして小さな声で「乱してすまない」と力なく言った。


藤本と若造は人の死に直面してしばらく唖然としていた。心ここにあらずである。家族は無事なのか?なぜ実松はひょうひょうとしているのか?歩いていると実松が口を開く。


「俺、一家心中の生き残りやねん」


「えっ?」若造がとっさに聞く。


「小1の時に家族で死ぬ事なってんけど、俺だけ生き残ってん。だから両親が死んだ姿目の前に見てから、人の死がどうでもよくなってん」


みんな静かになった。


「・・・大変な人生だったんだな」池田が返した。


「まぁ、しんみりさせて悪かったな。けど、言わんかったら俺サイコパスって思われたら嫌やったからさ。とりあえず、ハチは倒せる事分かったから頑張ろうや」


俺たちは前に向かった。縄文杉に急がないと。

屋久島に付いて色々調べて書きました。


荒川登山口やトロッコ道は実際にある場所なので、興味あれば調べて見てください。


あと、実際もロープウェイはありません。歩いて縄文杉まで行かなダメです。

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