表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/31

捜索

 こんな時でもお腹が空いたという舞蘭のために、会長宅のお手伝いさんが急拵えでおにぎりを作ってくれた。舞蘭はそれを美味しそうに頬張っている。舞蘭以外はあの死体が目に浮かび、食欲がない。

 警察はすぐに現場に駆け付け、俺たちは会長宅の応接室に閉じ込められていた。

 島田警部は度重なる殺人事件に、発狂するのではないかというような顔をしていた。実際、この短期間でありえないほどの連続殺人なのだ。

 島田警部は俺たちのせいだと言わんばかりに、詰問を繰り返すが、こっちも訳が分からない。返答するたびに眉間にしわが寄る。こちらとしても如何ともしがたいのだ。俺はヒヤヒヤするのだが、舞蘭はどこ吹く風とばかり平然としていた。

 

 今は応接室には島田は不在で、舞蘭と荒木刑事が話をしている。若い荒木刑事は舞蘭と仲がいい。この若い刑事はどこか今風で、島田と比べると緊迫感がない。島田がイライラしている要因の一つは彼なんだろうなとも思う。

「もう、島田警部は寝られないみたいですよ。上からもガンガン言われてるみたいだし、このままだと心労で亡くなるかもしれません」

 舞蘭は3個目?のおにぎりをほおばる。

「私に任せればいいのに」

「任せるって、何をです?」

「事件の解決。大方、見つかった古文書の解読に手間取ってるんだよね。私ならそれも出来ますよ」

「あの雷雲寺にあった古文書ですよ」

「もちろん、簡単です」

「マジですか?」

 舞蘭がうなずく。俺もそれを援護する。

「あの蔵にあった古文書も彼女が解読しました」

「うわ、それはすごいな。今、大学の先生に依頼しようということになってるんですよ。ただ、その先生によるといつになるかわからないって言うんで、島田さん頭を抱えてました」

「スピード命です。私がやりますよ」

 舞蘭はどこかの水道工事屋のような自信に満ちた顔だ。

「島田警部に話してみますよ」

 荒木が島田のところに走っていく。こういう能天気な所が島田のかんさわる気がする。

 するとちょうど庭の方で声がしだした。

 どうやら拳銃が見つかったようだ。

 槇原医師が俺を見る。

「庭に拳銃があったのかな」

「見てきましょうか?」

「そうだね。お願いするよ」

 俺は部屋を抜け出して庭に出てみる。ちなみに島田警部からは部屋を出るなと言及されていたが……。

 俺の後ろを隠れるようにして舞蘭も付いてきた。舞蘭はダメだと言っても聞かない。子持ちシシャモのようにぴったりと俺に貼り付いて来る。

 あらためて庭に出ると、そこはまるで観光庭園だった。芝は南国風の丈が長めのものだが、きちんと手入れがされており、そこにソテツや例のガジュマルの樹々がきちんと植えられている。南国風のテーマパークを思わせる出来栄えだ。

 警察官たちが集まっているのは、寝室があった下側になる。鑑識が盛んに写真を撮っていた。

 見上げると寝室の廊下側の窓は閉まっていた。これは先ほどから変わっていない。

 これをどう考えればいいのだろうか。犯人は殺害後、すばやく窓を開けて外に投げたということだろうか。そうなると部屋の鍵はどうやって閉めたのだろう。それよりも俺たちとすれ違ってもいない。増々謎は深まる。

 島田警部が荒木刑事と話をしていた。俺たちに気付く。

「ああ、部屋にいろと言っただろ」

「申し訳ないです。騒ぎが気になって。それで拳銃が見つかったんですか?」

 お疲れ気味の島田が渋々話す。

「まあ、そんなところだ」

 舞蘭が話す。

「拳銃はトカレフでしたか?」

 島田が驚く。

「何故、知ってるんだ」

「遺体の状況から見て7.62弾あたりだと思っただけです」

 島田がしまったという顔になる。拳銃の種類を自分でばらしてしまった。

 島田は仕方が無いと話しだす。

「まあ、いい。ところで荒木刑事から聞いたが、君は古文書を読めるそうだな」

「はい、大丈夫です。大学の先生ほど完ぺきではありませんが、読むことは可能です」

「じゃあ、非公式だが雷雲寺にあった古文書を解読してほしい。あくまで非公式にだ」

 舞蘭はにやりとする。

「もちろんです。素人ですから非公式に読み込んでみます」

 これで渋々島田が了承したことになる。やはり相当に切羽詰まっているのだろう。

「拳銃はそこに捨ててあったんですか?」

「それは捜査上の秘密だ。おい、荒木、雷雲寺に連れていけ」

「はい」

 拳銃名を言ってしまっているのに、捜査上の秘密も何もあったものじゃない。融通の利かない鬼瓦だ。

 俺たちはここから雷雲寺に戻ることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ