ゲームスタート
《さあ、始まりました!VTuber頂上戦線、勝負を決めるのは今絶大な人気を誇るタクティカルシューティングゲームBRAVANTです!》
ーーーついに、VTuber頂上戦線の幕が開けた。
豪華な演出とともに、出場するVTuberたちが開始前に紹介される。
注目の選手にはノワール・シャーロックが挙げられており、彼のゲームセンスと対面で撃ち合う能力を高く評価していた。
彼と同じくらい期待を集められているのは倉嵜朔夜という、BRAVANTの最高ランクにいつも鎮座しているVTuberだ。
彼はチームプレイを苦手としているが、単独の敵チーム殲滅率は脅威の四割超え。倉嵜朔夜だけは生かすなというチームの戦法を生むほど、危険視されている。
あまりの強さにキャラクター制限を設けられているが、練習試合でその枷を感じたことは、正直ない。
うじくんでさえも撃ち勝つ確率は五分五分だ。
注意しなければいけないチームは他にもあるが、大切なのはチームを信じることだと、マオさんはこの期間中、常に口にしていた。
《いつも通りでやれば、きっと勝てる》
《にゃろ!》
《はい》
《あたりめーだろ》
「うん!」
ずっと実感が湧いてなかった。
練習試合をしていた時もからずっと、本当にこんな大きな大会に私が出られるのか、途中で誰かと交代してほしいと言われるんじゃないか、不安で仕方なかった。
だから、バイトの時間以外は全てBRAVANTに自分の持てる最大の努力を注ぎ、配信中も配信以外もチームメイトと練習を重ねた。
上手くいかない日も、視聴者から指示や煽りにも似たコメントが送られてきた日も、思い返せば私を奮い立たせる材料だったと嫌味なく感謝できる。
グループ通話の自分の音声をミュートにして、海月のひめの配信を見てくれているみんなに向けて、私は大きく息を吸い込んだ。
「絶対に勝つよ!私、今までで一番頑張るから!みんな見ててね!」
張り上げた声に呼応して、配信のコメント欄に【頑張れー!】【勝てる】と私を鼓舞してくれる文字が雪崩れる。
再び音声のミュートを解除し、チームの輪の中に戻った。
《ノワールはどんどん攻めてエリアを確保。雹牙は有利なポジションから接敵、その間ににゃろちとのひちゃんが二人の援護ができる範囲でサポートね。俺は索敵したらエリアを守る。本当にいつもやっていることと同じだけど、それが大事だから》
《攻めきれたら前に行きますよ》
《俺だって敵の位置さえ把握できれば、いくらでも殲滅してやるよ》
《にゃろは今日もっとできる気がするにゃろ!》
「にゃろちゃんとの連携はバッチリだもんね」
《にゃろ!》
《みんな、勝ちたいと思って勝負に来てる。その気持ちに負けないことと、悔いなく戦いきること、そして何より楽しむこと!俺たちはチームだ!みんなで勝とう!》
マオさんの言霊は凄まじい活気がある。
ここにいる五人、いや出場する誰もが同じことを胸に秘めているが、マオさんが声にすることで、より一層闘争心が奮い立たせられる。
《おー!!》
「おー!!」
他の皆はどうしているか分からないが、私は今日とても元気だ。
緊張で震える右手で拳を作って、勢いよく天へ突き上げた。




