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スタートライン

 

 ーーー“VTuber頂上戦線”。


 それはあるVTuberが「みんなが活躍する場所を作る」と名乗りを上げ、海のように広いVTuber業界の注目を一人で掻っ攫った、伝説とも謳える大規模なゲームのカスタム大会の名前だ。


 プレイするゲームは開催時期によって異なり、今回開催されるのは『BRAVANT(ブレイバント)』という五人対五人の戦術型シューティングゲーム。


 総勢四十人の参加者が八つのチームに分かれ、トーナメント制で勝ち上がったチームが優勝となる。

 三位までのチームには総額三百万円相当の賞金と賞品が贈られ、大会内で活躍すればVTuberとしての名声が獲得できるというもの。


 BRAVANTは先に七ラウンド先取したチームが勝利する。

 ラウンドの勝利条件は二種類。

 一つ目は単純だが、敵チームの殲滅。

 もう一つは、二つのチームにそれぞれ陣地があり、敵チームの陣地に一人でも味方が四十五秒間連続して入ること。


 プレイヤーの射撃精度や戦闘能力がかなり勝率を左右されそうだが、ゲーム内のキャラクターには、【攻撃】【防衛】【索敵】【サポート】の四種類のロールに合ったスキルが付与されているため、敵や味方のスキルをいかに戦術として利用できるかが鍵になる。


 熟練度が非常に重要なゲームだが、このVTuber頂上戦線というカスタム大会のスタンスは『全員が活躍できる場所作り』。


 チームバランスは勿論『同じロールのキャラクターを使用できるのは二人まで』という制限が設けられており、運営の判断でチームメイトに使用キャラクターが制限されることもある。


 この大会で重要なのは、一人のプレイヤースキルではなく、チーム全体の連携と味方の状況を把握できる視野の広さ。


 まず、ノワール・シャーロック。

 彼はFPSゲームにおいてVTuber…いや、プロの中でもひと際目を惹くほどの実力を持っている。

 元プロゲーマーという前世の存在も周知の事実で、この男と純粋に対面して、撃ち合いに勝てるプレイヤーはそういない。

 繊細なキャラクターコントロールと、ゲームシステムの理解度、正確なエイム力を考えると、間違いなく【攻撃】ロール担当だ。


 次に宵闇(よいやみ)マオ。

 突出した能力はないが、BRAVANTというゲームにおいて、彼の戦術には、現役プロも唸る綿密さがある。

 常に先手を打ち、敵の背後から忍び寄り、いつの間にか勝利まで導く、まさに司令塔だ。

 味方と敵の状況を早く把握することで、盤面を作り上げることを得意としているため【索敵】ロールを活かせる。


 氷柱雹牙(つららひょうが)

 荒々しく豪快なプレイスタイル。正面からの戦闘は強いが、戦略的な攻撃には弱く、口調や態度にも影響してしまう。

 じゃじゃ馬のような部分はあるが【攻撃】ロールのキャラクターで、自身のフィールドに持ち込んだ時の最高瞬間火力は不利な戦況をひっくり返す武器になる。


 続いて、猫永(ねこなが)にゃろ。

 下手の横好きだが、BRAVANTへの情熱が類を見ない常にBRAVANTを十時間以上も配信し続けている。

 単独行動を嫌い、チームワークをより大切にするプレイヤーで、彼女の報告の質が高さは【サポート】として戦術の組み立てに重要な役割だ。


 そして、海月(くらげ)のひめ。

 FPSゲーム初心者だが、最近のゲーム配信を見るに、操作性操やゲームシステムに慣れてきた様子だ。

 まだまだ目を見張る実績はないものの、負けん気の強さとゲームの中の正解を追求する姿勢は、ゲーマーとしての素質を期待できる。

 初心者向けの【サポート】ロールで、猫永にゃろと共に協力して敵を討ってくれると信じている。


 ーーーその他、さまざまな精鋭たちが揃った七チームが待ち構える。

 実力の拮抗したVTuber同士のプライドが、今まさにぶつかり合おうとしていた。



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