↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/66

会合

 

 本日の天気は曇りのち雨。

 時刻は午前四時。


 夜と朝の境目を決めるのが難しい時間に、予め指定されたエニコード内で作られたサーバーに五人のVtuberが集っていた。


 《初めましてー。宵闇(よいやみ)マオです。セヴラル所属です。よろしくお願いしまーす》


 《同じくゼウラル所属、ノワール・シャーロックです。よろしくお願いします》


 《氷柱雹牙(つららひょうが)です。よろしくお願いします》


 《ぶいげーみすと所属、猫永(ねこなが)にゃろでーす!お願いしまーす…にゃろ!》


「…く、海月(くらげ)のひめですっ!よろしくお願いします!」


 唯ならぬ緊張感が漂う回線の中、張り詰めた糸を緩ませるような笑い声がした。


 《いやぁーまさかこんな面子で大会に出られるなんて、本当に誘ってよかったよ。ノワールと雹芽は同じ事務所だから知ってるけど、猫永さんと海月さんはなんて呼べばいいかな?》


 Vtuberの活動歴が最も長い宵闇マオという男は、慣れた口調で問いかけてきた。


 この異例の会合は、今度開催されるVtuber活動者限定のカスタム大会『Vtuber頂上戦線』のチームメンバーが初対面する“顔合わせ”と呼ばれるもので、所謂ミーティングだ。


 うじくんとは日頃から仲良くしているつもりだが、ノワール・シャーロックとして直接こうして関わったことはない。

 お互い表と裏のギャップが大きいと理解はできているが、まるで他人のようだ。


 《にゃろはみんなに()()()()って呼ばれてるけど、にゃろは何でもいいにゃろ》


 猫永にゃろ…さんは『ぶいげーみすと』と呼ばれるゲームが得意なVTuberを中心に構成されている事務所だ。


 初めて言葉を交わしたが、メリハリのある高い声と独特な語尾が特徴的な女の子。

 私の住処が深海だとしたら、彼女は太陽の下だろう。


 《じゃあ、にゃろちね。海月さんは?》


「私は…()()()()()って、よく呼ばれているので、そんな感じで呼んでいただければっ…」


 《えー硬い硬い!敬語は挨拶だけで、今からはタメ口で話そうよ!》


「はい…じゃなくて…うんっ。頑張る」


 《俺とノワールと雹牙は、適当に呼んでくれていいから!大体みんな名前で呼び合ってるから、困ったら誰かと呼び方を合わせてよ》


 《にゃろ》


「わかった!」


 猫永さ…にゃろちの相槌は「にゃろ」なんだ…。


 素を一切見せず完璧なロールプレイに、私はいちいち関心を寄せる。


 《ま、今日はこんなところかな。夜も遅い…てか、もう朝か。次みんなが揃う時は配信に乗せて、視聴者のみんなに知ってもらう感じで。それぞれ実力もまだちゃんと見てないけど、個人的に俺が一緒にゲームしてみたかった人を選んだんだ。楽しく、でも真剣に、大会を楽しもうぜ》


 《うん。わかってるよ、先輩》


 《フン、俺は勝ちに行く》


 《にゃろはいつでもガチアンドピースにゃろ!》


「頑張りま…頑張る!たくさん頑張る!」


 雨が降り出す前に、私たち五人が見据える未来を、ともに胸の内へ秘めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。