八人の神様
詩が感心している様子を見ながら、芽依ちゃんは話を続けた。
「日本書紀では、最初に創生神に該当する三人の神様が現れるのだけど、この世界を創り出す神様はその後に誕生するの。実は、その神様の人数が男女四組の神様で八人なの。多分、聖数と関係していると思う。」
「え・・・、男女四組の八人の神様って、エジプト神話と同じだね。」
詩も日本神話とエジプト神話の共通性を知ることになり、驚きを隠せなかった。
「そう、エジプト神話と同じ八人なの。ちなみに、国産み伝説のイザナギとイザナミも日本神話の八人の中の一組の神様なの。」
芽依ちゃんは、エジプトの神話と日本の神話に共通性があると指摘している。確かに、エジプトの神話に太陽神ラーが存在するように、日本の神話でもアマテラスの大御神という太陽神が存在する。もしかしたら、八つの稜の謎を解くヒントは日本の神話にあるのかも知れないということを芽依ちゃんは言いたいのだと詩は思った。
そういえば、真理探究機関は無数に散らばった世界中の知識のパズルのピースを集めて一つの真理を追究していたんだ。そう考えると、日本書紀の柱とオベリスクも、世界で神話が創られて伝承した頃の遠い昔にどこかで繋がっていたのかも知れない。
いや、きっとそうだ。これまでに得て来た知識を振り返って、詩はそう思った。神話学研究所のレポートにも世界各地にある宇宙起源神話にも共通する話がたくさんあることが書いてあった。あるレポートでは、その理由は元々一つの神話が各地にバラバラになって伝わったからだと主張していた。だとすると、各地に伝わる宇宙起源神話を集めると、この世界の真理が判明するのかも知れない。
この宇宙の創生の真理を知りたいという探求心は人類に共通した想いのはず。今日まで各地に伝承された神話、「絶対的な真実だと考えられている伝承」を追求すると真理に近づけるかも知れないと、詩はあらためて思った。
「詩ちゃん、この図の矢印って合計八つあるよね。これは、私の仮説だけど、このそれぞれの矢印は神様を表しているのではないのかな。」
芽依ちゃんがまた斬新な説を語り掛けてきた。
「え、どういうこと?」
矢印が神様?詩には意味がよくわからなかった。
「神様ってさ、人間には出来ないことが出来る能力や知識を持った人のことをいうと思うの。稜を超えることは人間には出来ないから、それが出来る人やその知識を意味するこの矢印はみんな神様だと思うの。」
なるほど、いっちゃんも同じようなことを言っていた。神様って普通の人には出来ないことが出来る人だって。ただ、芽依ちゃんのいう神様とは人格のある人というよりも、稜を超える知識、神様の秘密のことを言っているような気がした。
詩がそんなことを考えていると、芽依ちゃんが語りだした。
「つまり、日本書紀やエジプト神話に登場する八人の神様は、それぞれ稜を超えることが出来る神様を表しているのかもしれないと思うの。男女四組というのも一致しているし。」
ここまで知識豊富な芽依ちゃんに畳みかけて説明されると、もはや詩は納得するしかなかった。
参考: 第五章約束 交差する矢印




