八つの稜の意味
「何に見える?」
芽依ちゃんが尋ねてきた。
「これって・・・」
詩はやっと気づいた。これはピラミッドだ。
「そうピラミッドよ。」
詩は納得した。パリでオベリスクを見た時、四つの面がピラミッドの面かも知れないと思い、そのことを言い出したのは詩の方だった。芽依ちゃんはそれを覚えていただけでなく、今ここでその推測が正しかったことを伝えようとしてくれている。
「ピラミッドを上から見ると、正方形になるでしょ。その頂点を結ぶと、ほらこれが稜線。×の印になる。そして、この小さな矢印はその四つの稜をどの方向から乗り越えるかを意味しているのよ。」
芽依ちゃんが、紙に書いた図をなぞりながら丁寧に説明してくれた。
そうか、大きい矢印だと思っていた図形はピラミッドの底辺の一部だったのかと詩は思った。それが他の図と繋がっていて四つを合わせると、ピラミッドの底面の正方形になるんだ。
第1章に書かれていた四つの面は、やはり東西南北の方角に向いているピラミッドの側面だったんだ。ピラミッドでは、各面の境界は鋭角な稜線になっている。そして、この矢印はその稜を乗り越える方向を意味している。ピラミッドでは、稜を乗り越えると違う面に出ることが出来る。稜を乗り越える方法、それは芽衣ちゃんが言う神様の秘密だ。
「この図は左回りだけど、次の四つの項目の図を合わせると、今度は右回りになるのよ。」
芽依ちゃんが言うには、次の項目、「北から東へ」、「東から南へ」、「南から西へ」、「西から北へ」の図を合わせると、次のようになると先の紙の余白に書いてくれた。
矢印の方向が先の図とは、反対方向だ。つまり、先は左回りだったのに対して、今度は右回りになっている。
「つまり、乗り越えるピラミッドの稜の方向は左回りと右回りの2つあるから、乗り越える方法は合計8種類あるの。だから、第二章のタイトルは八つの稜になっているのよ。」
芽依ちゃんに説明して貰って、詩はようやく第2章のタイトルが八つの稜となっている理由がわかった。
「私は、各項目に記載された四行詩はその稜を乗り越える方法を示しているのだと思う。」
「それって、神様の秘密?」
「きっと、そうだと思う。」
芽依ちゃんが詩に真っすぐに向き合い即答した。
詩はドキドキした。その秘密を理解すれば、いっちゃんに会えるんだと思った。
「ミー」
プチが膝の上で優しく鳴いた。何かを感じたのだろうか。詩は可愛い使者を抱き上げて頬ずりした。芽依ちゃんはその様子を微笑ましく見守っていた。
参考: 第四章真理 ファイルの目次




