交差する矢印
芽依ちゃんも四つの面の世界観を振り返っていたようで、各面の四行詩を注意深く眺めていた。時々、頷きながら成程ねというような仕草を見せている。さすが、神様に使える巫女さんの仕事をしていただけあって、一般の人だと理解しづらい東の面の精神世界の存在についても躊躇なく受け入れているようだ。加えて、彼女の不思議な体験が、精神世界の存在を確信させているのかも知れない。
膝の上でプチがモフモフのお腹を見せてきた。可愛いので、優しく撫でてあげた。そして、詩は芽依ちゃんに困っていることを正直に伝えてみた。
「第2章の八つの稜の意味がわからなくて行き詰っているの。芽依ちゃんがアドバイスしてくれると助かる。」
「うん、私で良ければ。」
芽依ちゃんは、にこりと笑って応じてくれた。
芽依ちゃんは、詩の言葉に後押しされて、ファイルの第2章として記載された八つの稜の頁を開いた。すると、そこには方位の向きを示す項目毎に意味深な図形が記載されていた。
「これなのよ。まずこの図が謎でしょ。大きな矢印の中に、交差する小さな矢印があるのよ。」
詩は、芽依ちゃんにその図のイメージを伝えてみた。
第2章の最初の項目は「北から西へ」、その頁には以下のような図が記載されていた。左上を指す大きな矢印の真ん中に、その矢印に交差する小さな矢印があり、左下を指している。
北から西へ
紙面の上の方向を北とすると、大きな矢印が指す方向は北西で、小さな矢印が指す方向は南西ということになる。どちらにしても、北から西ではない。次の頁にこの図の説明があるのかと思い、頁を捲るとその予想は見事に外れた。そこには難解な四行詩が記載されていて、続いてその参考文献のレポート番号だけが掲載されていた。
詩ちゃんが言うように、四行詩の内容は参考文献に記載されたレポートの内容を個々に調査分析しないとその意味が分からないような難解な内容だった。そのレポートを理解するためには、更に収納ケースの書籍を読む必要がある。とても、今日中に出来ることではなさそうだった。詩ちゃんが、神様の秘密を知りたくても、その調査分析に時間がかかっている理由がよくわかった。
なので、芽依ちゃんは更に頁を捲り、次の項目の「西から南へ」の頁を開いた。次の項目には、以下のような図が記載されていた。先の矢印とは方向は違うものの、先の「北から西へ」の項目と同じように大きな矢印と交差する小さな矢印が描いてあった。その図では、大きな矢印は左下を指し、小さな矢印は右下を指している。先とは違う方向を向いている。この場合も、紙面の上部を北とすると、それぞれ南西、南東を指していて、北から西ではなかった。
参考: 第四章真理 ファイルの目次




