秘密の共有
だけど、今日は秘密を共有できる唯一の友人、芽依ちゃんを自宅に招いた。彼女にファイルを見せるのなら今日しかない。
「うん、いいよ。」
芽依ちゃんなら見せてもよい、詩はそう思って収納ケースの方に向かい、一番上の引き出しから二冊の水色のファイルを取り出した。プチもやってきて、その様子を見守っていた。ファイルの出し入れの管理は、真理の書の番人、スフィンクスの役目とでも思っているのだろうか。
収納ケースからファイルを取り出してみると、これまで何度も開いて読んだせいか、紙の表紙は少しくたびれていて、その様子はまるで古くから存在していた古文書のような景色になっている。
詩はリビングテーブルの方に戻り、その二冊の水色のファイルをテーブルの上に並べた。その表紙には、ファイルのタイトルが記載されている。一冊目は「Bericht für die Wahrheit」、日本語で「真理のためのレポート」、もう一冊は「Wahrheit」、日本語で「真理」というタイトルが記載されており、荘厳な雰囲気を醸し出している。
「これがそのファイルなのね。」
芽依ちゃんが真剣な眼差しになった。
「見てもいい?」
芽依ちゃんはあらためて確認してきた。
「もちろんよ。」
詩が答えると、芽依ちゃんは大切な物を扱うかのようにその内の一冊のファイルを手に取り、丁寧に表紙をめくった。
彼女が先に開いたファイルは「Bericht für die Wahrheit」、日本語で「真理のためのレポート」、中身は真理探究機関を構成する研究所のレポート集だ。
芽依ちゃんは食い入るように各頁の内容を確認した。このファイルには、神話学研究所、考古学研究所、天文学研究所、宇宙物理学研究所、人類学研究所、言語学研究所、哲学研究所、宗教学研究所が、この世界の真理を追究した情報が収められている。
「すごい…よくこれだけのことを調べたよね。」
芽依ちゃんは、その研究レポートの分量とその内容に驚いたようだ。
「そのレポート自体は研究テーマの纏めに過ぎなくて、実際に調査対象になった書籍や資料があれなのよ。」
詩は茶室の図書館から持ってきた書籍を収めた収納ケースを指差した。
「あのケース全部?そんなにあるの!」
芽衣ちゃんはその量を見て、更に驚きの声を上げた。
「確かにそれだけの量となると、この現世だけで集めたものではなくて、前世から集めていた資料の集大成なのかもしれないね。」
芽依ちゃんは、詩の話しを聞いて以来、いっちゃんが転生したと思っている。詩も薔薇島の白昼夢を経験してから、いっちゃんとは前世からのパートナーで、再びこの現世で巡り合ったものだと思っている。そう、転生の能力、芽依ちゃんの言う神様の秘密、いっちゃんがその秘密を知っているのなら、もう一度、私は彼に会うことが出来ると信じている。
参考: 第四章真理 貴重な情報




