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Pomegranate I  作者: Uta Katagi
第五章 約束

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猫の耳

 ヨーロッパから帰って久しぶりに美容院に来た。シャンプーチェアに座って正面を見ると、ミラーの手前に小さなカボチャの置物が飾ってあった。ミラーの横の壁面にはフェイスマッサージをお薦めする洋風のお化けのイラストが貼られている。お店の人のアイデアだけど、どれも可愛い。もうすぐハロウィンなんだ。この夏に、ヨーロッパに行ったのにもう秋だ。時が流れるのは早い。


 「お待たせしました。いつもと同じで良いですか?」

 いつもの美容師さんがやって来て、ミラー越しに笑顔で微笑みかけながら尋ねて来た。詩もにっこり笑っていつもの髪型にして貰うように頼んだ。そろそろカットして貰わないといけないくらいの髪の長さになってきたので、週末の今日、プチにお留守番を頼んでここに来た。


 いつものように、最初に髪を洗ってセミロングの長さに揃えて貰って、ウエーブをかけて貰うためのパーマ液を馴染ませて貰う。その後、少し時間があくので、店員さんが待ち時間の間に読めるような雑誌を持ってきてくれた。詩はその中から、秋のグルメや料理から流行のファッションのコーディネートが書いてある女性誌を選んだ。いろいろなお薦めのお店や商品がカラフルな写真付きで紹介されていて見ているだけでも楽しい。


 その雑誌の頁の中には、ところどころ本論とは無関係なコラムの欄があった。その中に可愛いネコのイラストが描かれた欄が目に入った。それは『ねこたん』という名前のコラムで、あるコラムニストが自宅で飼っているネコちゃんの日常を紹介したものだった。プチを飼い始めたこともあり、詩はそのコラムに興味が湧いた。


 その内容は、ネコちゃんの耳はぴくぴく動いて可愛いという話だった。そういえば、プチの耳もよく動いている。コラムでは、そのネコちゃんの可愛い耳のしぐさの理由が書いてあった。元々ネコちゃんは山猫だったので、獲物がいないかとか危険が迫ってないかなどの周囲の情報を、その耳を使って収集していたらしい。なので、その習性が飼い猫になった今も残っているらしい。物音がすると器用に左右の耳を動かして、周囲の様子を伺うのはその習性らしい。


 プチも小さいのに、先祖は野生の山猫だったんだと思うと面白かった。そういえば、プチはスフィンクスだから、昔はライオンだったのかも知れない。そう思いながらコラムの続きを読むと、ネコちゃんは聴覚が優れていて人間が聴こえない音も聞くことが出来るとあった。人が認識していない音も察知しているので、何気ないときでもよくぴくぴくと耳が動くのだという。


 これってどこかで聞いた話だなと思った。そうだ、これは小さな女の子と同じだ。気になったので、スカートのポケットからスマホを取り出してネコの聴力に関する情報をネットで検索してみた。すると、驚くべきことがわかった。なんとネコちゃんにも高い周波数の音が聞こえるらしい。その音も、小さな子が2万ヘルツまで聞こえるのに対して、ネコちゃんは更にその上の6万ヘルツまで聞こえるらしい。


 詩はその雑誌を閉じてこれまでのことを振り返った。佐藤さんの超音波の話しが本当だとすると、ネコちゃんにはもっとたくさんの妖精の声が聞こえていると言うことになる。魔女が相棒のようにネコちゃんを連れていたというのも、このことが関係しているのかも知れない。つまり、魔女の知識は、魔法ではなくてネコちゃんから伝わる何かだったのかも知れない。


 やはり、プチは可愛い使者だ。いっちゃんに繋がる妖精のメッセージを伝えにきたんだ。詩はそう思った。



 「そろそろ、流しますね。」

 美容師さんがやってきて、パーマ液を洗いにきた。詩は現実に戻ると同時に、美容院の帰りにプチにおやつを買って帰ろうと思った。 


参考: 第5章約束 超音波、クローバーの秘密

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