クローバーの秘密
「あのね、小さい子には高い周波数の音が聞こえるらしいのよ。」
佐藤さんが、得意げな表情をしている。彼女は何か大事なことを伝えようとしている。詩はそう感じた。
「さっきのモスキート音と同じように、小さい子には大人には聞こえない高い音が聞こえるということ?」
菜美ちゃんが話の内容を確認してきた。佐藤さんは笑みを浮かべている。そして、こう言った。
「それがクローバーの秘密よ。」
「え、クローバーの秘密?」
何気ない雑談からクローバーの謎の話しに戻ったので、詩と菜美ちゃんは戸惑った。二人の頭の中に、掲載動画の公園の映像が浮かんだ。クローバー、女の子、超音波…
「あ!」
詩は佐藤さんが言おうとしていることがわかった。菜美ちゃんも少し遅れて気付いたようで、二人で顔を見合わせた。
「そう、四つ葉のクローバーは超音波を出しているのよ。」
佐藤さんが、二人が思っていたことを口に出した。そしてその理由を説明してきた。
「大人の人は1万ヘルツくらいの周波数までしか聞こえないけど、小さな子は2万ヘルツくらいまで聞こえるらしいの。植物の超音波って、丁度1万ヘルツ以上の音らしいのよ。だから、大人には聞こえない。」
詩と菜美ちゃんは、佐藤さんの話に聞き入った。
「そして、四つ葉のクローバーは、遺伝による原因の他に踏まれたり化学物質に触れたり、何かのストレスがかかったときに発生するの。ストレスのかかった植物が超音波を出すのなら、四つ葉のクローバーも超音波を出しているかもしれないのよ。」
菜美ちゃんと詩には、佐藤さんが博士に思えた。思いつきではなく、周波数の数字まで出して説明されると説得力がある。
「なるほど、小さな女の子が四つ葉のクローバーを見つけるというのは、その超音波を感じているからなのね。」
菜美ちゃんが、佐藤さんの言いたいことを話してくれた。
「そうなのよ。高い音だから聞こえるというよりも、感じるという方が正しいのかも知れない。しかも、聴力には男女差があって女性の方が高い音が聞こえるみたいなの。」
佐藤さんが、なぜ小さな女の子だけが感じられるのかという理由を説明してきた。
「そういうことなら、小さな女の子には四つ葉のクローバーの声が届いているのかも知れないね。」
詩も同意した。クローバーが超音波を出しているのなら、そして小さな女の子がその超音波を感じることが出来るのなら、その声は届いているに違いない。
もしかしたら、女の子が野原でお花を好んで摘んだりしているのは、花の色や香りだけでなく、お花の声にも魅かれているのかも知れないなと詩は思った。
「これで問題解決でしょ。」
最後に、佐藤さんが自信に満ちた顔をして言い放った。
参考: 第3章探究 不思議ちゃん




