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Pomegranate I  作者: Uta Katagi
第五章 約束

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植物の会話

 「え、植物が会話してるって?」

 詩は、水筒の紅茶を飲む手をとめて聞き返した。佐藤さんがまた不思議な話を持ち出してきた。今日の佐藤さんは、長袖ブラウスの襟元の刺繍がお嬢様風で可愛い。その耳元で、星のイヤリングが光沢を放っている。


 「そうなのよ。湖嶋さんがいろんなことを教えてくれるから、私も調べてみたのよ。」

 最近、会社の休憩室の定番は、詩と菜美ちゃんそして佐藤さんの三人揃っての不思議談義だ。菜美ちゃんが不思議ちゃんと名付けた佐藤さんの話しは、いつもファンタジーの物語を聞いているようで面白い。今日も、四つ葉のクローバーの声が小さな女の子に聞こえるといういつもの話しで盛り上がっている。


 この話しはもう何度も話題になっているので、既に三人ともネットに掲載された投稿動画を確認していて、小さな女の子が四つ葉のクローバーを公園で発見するという事実を、疑問の余地なく全員が一致して認めている。ただ、その不思議な出来事をどう解釈するのかの意見が異なっている。


 私と菜美ちゃんは、それは女の子の超能力だという説を唱えている。一方、佐藤さんは、それは超能力ではなく、四つ葉のクローバーが本当に声を出していると主張している。


 つまり、私と菜美ちゃんは、クローバーは植物の葉っぱに過ぎないので声を出せるはずはないという意見だが、佐藤さんは葉っぱも声を出せるという意見だ。ただ、どちらにしても想像の話しになるので、この話になるといつもお互いの意見を主張するだけで決め手はなく、平行線に終わる。


 しかし、今日はいつもと違う様相を呈していた。この話の結論を出すために、佐藤さんが植物のことを詳しく調べてきたのだ。


 「近年、学者の間では、植物に意識があるかどうかが議論になっているのよ。」

 佐藤さんが自慢そうに話してきた。彼女が言うには、植物にも動物と同じようにコミュニケーション能力があることが判明したのだという。例えば、果物やお花が形や色を変えたり香りを出したりするのは、食べ頃になったよとか、蜜が出ているよということを植物が動物や昆虫に伝えるためだという。


 詩は佐藤さんの話を聞いて、確かにそれは見た目にもわかりやすい植物の能力かもしれないと思った。だけど、それは植物ならではの生存のための能力であって、植物に意識があるという話にはならない気がした。


つまり、植物が意識的に色を変えようとか香りを出そうと思った訳ではなく、そういう能力を持つ植物だけがたくさん繁殖して生き残っているだけだと詩は思った。学校で習った進化論はそういう生物の成り立ちや進化のしくみを教えてくれた気がする。


 そんな疑問を感じている詩の顔を見て動じることもなく、佐藤さんは話を続けた。最近は研究が進んでいて、植物には色を変えたり香りを出したりという能力だけでなく、他にもいろんなコミュニケーション能力があることがわかってきたという事実を話してきた。


 そして、そのコミュニケーションを取る相手も、もはや動物や昆虫だけではなく、同じ植物同士の間でも密なコミュニケーションを取っていると佐藤さんは主張してきた。


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