小さな王
ちなみに、ギリシャ神話の本の中に獅子座の話しもあったので、読んでみるとそこに獅子座を構成する星の話しが書いてあった。獅子座の一等星は「レグルス」ということを詩は初めて知った。レグルスは、ギリシャ語で「小さな王」という意味、古代ローマでは「王の星」と言われていたとのことだった。
「ミー」
収納ケースから取り出した本の内容を全て確認し終えて、詩が物思いに浸っていると、膝の上のプチが小さな声で鳴いた。こちらを見上げて『もう終わった?』とでも、聞いているのだろうか。
「うん、終わったよ。本をしまうからね。降りてくれる?」
詩が優しく話しかけると、プチはその言葉が理解できるのか膝から降りてくれた。賢いネコちゃんだ。
詩が本を収納し終わると、またその収納ケースの前にちょこんと座った。またいつもの真理の書の番人のポーズだ。
このとき、詩は初めて気づいた。
あ!その姿は、さっき本で見た写真と同じだ!
そのポーズはスフィンクス…
え、もしかしてプチ。あなたはスフィンクスなの?
プチが「小さな王」に思えた。
プチの後ろにある収納ケースが三大ピラミッドのようだった。国王の再生復活を願うエジプトの三大ピラミッドは、スフィンクスの背後に建設されている。ピラミッドとスフィンクス。スフィンクスは守り神。おそらく、国王の再生復活とスフィンクスは何らかの関係があったに違いない。
なんだかプチが特別な存在のような気がしてきた。いっちゃんがメッセージで伝えていた可愛い使者。確かに公園で出会ったとき、運命のようなものを感じた。今となってみれば、巡り合うべくして巡り合ったような気がする。
まさか、プチは私に会うために自宅近くの公園までやって来て、あそこで待っていたのだろうか。まるで、前世から今世に転生して来たいっちゃんみたいに、私の前に現れたの?
もしそうだとすると、プチは私に何を伝えに来たのだろう。いっちゃんに辿り着くためのメッセージを伝えに来たとか…、まさかプチがいっちゃんの転生に関わっていたとか…
ネコちゃんは家庭の守り神…
小さな王…
詩はくるくるしたプチの瞳を見つめながら、古代からのロマンに想いを馳せた。
もしかしたら、プチは神様の秘密を知る使者なのかも知れない…




