スフィンクスの謎かけ
その本によると、その春分の日に関係する星座が、実は黄道12星座という星占いに用いられる星座らしい。つまり、私たちがよく目にする牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座、天秤座、蠍座、射手座、山羊座、水瓶座、魚座は、この黄道12星座だ。これらの星座は、地球が太陽を周回する公転面上に存在しているらしい。星占いで誕生日によって星座が決まるのは、生まれた日に空に昇る星座がその人の運命に関係していると信じられているからだ。星占いは毎日ネットで公開されているからもっと簡便なものなのかと思っていたが、その由来を知ると結構奥が深いことがわかった。
その春分の日の星座についての記述を確認すると、21世紀の現代になってからは水瓶座が春分の日の朝に昇りだしたので、水瓶座がこの世界を支配しているらしい。その前の20世紀までは魚座が支配していたとのことだ。天文学では約2000年毎にその春分の日の星座は変わるので、魚座は紀元後になってからの約2000年間を支配していたことになる。更に過去を遡ると、紀元前の太古の時代、今から4000年前までは牡羊座、6000年前までは双子座、8000年前までは蟹座が支配し、10000年前までは獅子座が世界を支配していたらしい。
獅子はライオン。古代の人々がライオンを守り神だと崇めて、春分の日の東の空に昇る獅子座に願いを託していたとしたら、そのライオンを象徴するスフィンクスを建造した時期は、星座の動きから10000年前なるかも知れないというのが、星座から考察したときの建造時期の説だ。古代の星空に想いを馳せる説で、何ともロマンチックだ。
そう、この10000年前というのは先の風雨の浸食時期の説と一致する。だとすると、スフィンクスは四大文明以前の太古の建造物になるのだが、10000年前まで遡ると石器時代になるので巨大な建造物のスフィンクスを人間が建造できたとは思えないという疑問が生じる。では、誰がスフィンクスを建造したのだろうかということが記載されていた。
ここからは、ミステリーだ。スフィンクスは人間ではなく宇宙人が建設したのではないかという説や、スフィンクスの中は一部が空洞になっていて古代の遺物が遺されているのではないかという話が記載されていた。こうなると、タイトルにある通り、考古学ではなく、もはやミステリー小説だ。何が正しいのか真偽はわからない。詩は古代の物語を主題にしたファンタジー小説を一冊読み終えた気持ちになって、その本を閉じた。
このとき、プチが膝の上でこちらを見上げてきたので、モフモフのお腹を撫でてあげた。プチはそれが気持ち良いのか眠そうにしている。
古代ミステリーに想いを馳せた後、詩はスフィンクスについて有名なギリシャ神話があることを想い出した。詩は、収納ケースから取り出していたギリシャ神話の本を手に取ってみた。
ギリシャ神話ではスフィンクスは生と死を司る女神だ。そのことを表す神話に、スフィンクスが通行人に謎を問いかけるという話がある。答えを間違えると殺されてしまうという話しだ。いきなり、道の途中でそんな質問をされたら、大変だったに違いない。その謎かけの内容はこうだ。
「夜明けには四本の足、正午には二本の足、日没には三本の足で歩いて、足の数が一番多い時に最も弱々しいものは何か?」
この謎かけの正解は人間だ。ハイハイしている赤ちゃんが成人して、高齢になってからは杖を突く様子を伝えている。これがスフィンクスに纏わる神話だ。詩も久しぶりにこの話を読んでみたが、今までその神話が星座の話を伝えるギリシャ神話の一つだとは知らなかった。




