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Pomegranate I  作者: Uta Katagi
第五章 約束

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スフィンクスと猫

 一生懸命にご飯をたべているプチを横目に見ながら、詩は収納ケースの方に向かった。膨大な書籍を研究所毎に整理した段の中から、神話学研究所01と考古学研究所02の資料が入っているケースを引き出し、その中からエジプトやギリシャに関係する書籍を何冊か取り出した。


 詩は最初にエジプトの考古学の本を開いてみた。その本の目次をみると神々の伝承の項目があり、そこにネコの神様についての記述もあった。その下りを読んでみたところ、エジプトでネコの神様の名前はバステト神と言い、家庭の守り神として崇められていたと書いてあった。この話が先日、佐藤さんと菜美ちゃんと話していた話だ。エジプトでは、古くからメスのライオンが神格化されていたらしい。


 ここでライオンとあったので、詩はスフィンクスのことを想い出した。エジプト神話に登場するスフィンクスはライオンの身体と人間の顔を持つ存在で、ルーブル美術館にもその彫像が展示されていた。


 読んでいた本にはスフィンクスの記述もあったので、その下りを確認してみた。すると、エジプトで国王であるファラオの顔を持つスフィンクスの彫像がたくさん作られていたのは、スフィンクスが国王や神様を守護する存在として崇められていたからだとあった。スフィンクスも守り神だ。ネコちゃんは家庭を守り、スフィンクスは国や国王を守る。なるほど、そう考えるとエジプトでネコが神様になったのは、古代のスフィンクスに起源があるのかも知れないと、考古学者気取りの詩は推察した。


 そのとき、ごはんを食べ終えたプチが詩の膝の上に乗ってきた。ずっと放置されていて構って欲しいのだと思い、プチの背中を優しく撫でてあげた。すると、今度はこっちと言わんばかりにお腹を見せてきた。催促しているようなのでモフモフのお腹も撫でてあげると、目をつぶって気持ち良さそうにしてくれた。本当にどこまでも可愛いネコちゃんだ。


 右手で膝の上のプチを撫でながら、左手で収納ケースから取り出した別の本を手に取ってみると、その表紙にはスフィンクスのミステリーというサブタイトルがあった。興味を惹く内容なので、プチを右手で撫でながら、左手でその本を器用に開いてみた。


 その本によると、三大ピラミッドの傍にあるスフィンクスがいつ建造されたかについては、未だに謎だということが書いてあった。つまり建設時期についてはいろんな学者の説があり、スフィンクスの身体の風雨の浸食跡からはエジプトで雨が降った時期まで遡るらしく、なんとその時期は今から10000年以上前になるとのことだった。そうだとすると、ピラミッドが建設された時代から更に数千年以上も前になる。これは四大文明よりもはるかに古い。


 更にその本を読み進めると、建造時期については星座の動きに関係するという別の説も記載されていた。詩は知らなかったが、神話では春分の日の朝に東の空に登る星座がとても重要になるとのことだった。つまり、春分の日の夜明けに太陽と入れ替わる星座がその世界を支配しているということらしい。エジプトでは太陽神が信仰されているので、太陽が昇る際に、その太陽の背後にある星座が世界を支配していると理解されていたのだろうと詩は思った。


 天文学によると、その春分の日の星座は恒久的に同じではなくて、約2000年周期で変わっていくとのことだ。これは、地軸が太陽を回る公転面から少し傾いていることから起こる歳差運動により生じているらしい。そういえば、過去に天文学研究所に歳差運動について記載したレポートがあったことを想い出した。数学的な話だったので読み飛ばしていたが、スフィンクスに関係する話だとはそのときは全く思わなかった。この世界には詩が知らないことがまだまだたくさんある。



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