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Pomegranate I  作者: Uta Katagi
第五章 約束

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キャットフード

 「何かお探しですか?」

 こういう困ったときには、店員さんに話を聞いて貰えると助かる。詩がここに来た経緯を説明すると、店員さんは子猫用のトイレやケージ、それに食器やキャットフードのことについても相談に応じてくれた。詩はその親切な店員さんのお薦めに従って、当面、必要なものを取り揃えた。


 ペットフードについては、穀物の成分が入っていないグレインフリーのドライタイプのキャットフードが良いとのことだったので、これも店員さんのお薦めに従った。更に毎日同じ食べ物ばかりだとネコちゃんが飽きるかも知れないとのことで、ときどき主食に混ぜてあげられるウェットタイプのフードも買っておいた。多少、お金はかかるけれど、可愛いプチのためなら仕方ない。他にもネコちゃんのおやつや玩具もお薦めとのことだったが、それはまた今度にしようと詩は思った。このときは、飼い主が現れるまでの一時保護になると思っていたからだ。


 詩はキッチンの戸棚を開けてドライフードを取り出し、ペット用のお皿に子猫の一食に必要だと言われている量を盛った。そのお皿を持ってリビングの方に戻ると、早速プチがやってきた。リビングの床にそのお皿を置くと、プチは詩には目もくれずにモリモリと食べ始めた。やっぱりお腹が空いていたんだと思った。その姿がまた可愛い。プチの定位置に置いてあるボウルの飲み水も、新しい水に交換してプチの傍に置いてあげた。


 最初は、購入したキャットフードがプチの口に合うのか、食べてくれるかどうか不安だったが、初めてお皿に盛って与えたときからプチはモリモリ食べてくれた。食事はあまり夜遅くならないようにと先生から言われたので、詩は毎日会社から早く帰るようにしている。


 事前に菜美ちゃんと佐藤さんにこのネコちゃんの夕飯のことを話すと、二人とも理解してくれてプチがもう少し大きくなって、自動餌やり機でも対応できるようになるまでの間は、残業分の仕事を手伝ってくれると言ってくれた。菜美ちゃんからは、まるで子育てをしている母親のようだねと言われた。みんなに気を遣って貰っているので、このお返しは必ずどこかでしたいと詩は思った。


 美味しそうに食べているプチを眺めていると、なんだか無性に癒される。ずっと独り暮らしだったので、プチがいると心が安らいだ。朝会社に行くときは、抱き上げて頬ずりするのが日課になったし、会社で仕事していても私を待っているプチが自宅にいると思うと励みになった。プチのおかげで、詩の生活に潤いが生まれた。


 いっちゃんがメッセージに遺した可愛い使者のコンタクトって、こういうことだったのかも知れない。こんなに可愛い使者と暮らせるのなら多少の時間がかかったとしても、いっちゃんを待っていられるかもしれない。これも彼が練った計画だとしたら本当に凄い。彼は預言者、やっぱりいっちゃんは魔法が使えるんだとあらためて思った。


 詩もネコちゃんは元々好きだったが、こうして初めて飼うことになって、よりいっそう猫に興味が湧いてきた。特に、佐藤さんが話してくれた飼い猫の歴史やネコが西洋で神様の使いと言われている話の詳しい経緯を知りたくなった。これまでの真理の追究のおかげで、詩にも探求心が芽生えてきて、我ながら今の自分は考古学者のようだと思った。


 そう思うと、プチの後ろにある収納ケースの中の神話や考古学の書籍は、まさに古代の遺跡だ。その遺跡の中には、おそらく飼い猫の起源のことやネコの神話のことも書いてあるはずだ。



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