神様の使い
「ネコちゃんは、神様の使いだよ。」
そのスマホの写真を見ながら、突然、佐藤さんが気になることを言ってきた。
「え、どういうこと?」
詩は即座に聞き返した。
「だって、魔女はよくネコちゃんを連れているでしょ。昔から西洋でネコちゃんは神秘的な存在として崇められていたのよ。」
「そういえば、ルーブル美術館のエジプトのコーナーにネコの彫像がたくさんあったよね。」
菜美ちゃんがパリ旅行のときの話しをしてくれた。確かにルーブル美術館のエジプトのコーナーのショーケースの中には、ネコの彫像がたくさんあった。急に魔女の話しからエジプトの話しになったが、菜美ちゃんの指摘は的確だ。魔女が存在する西洋の文化は、ギリシャやエジプト文明の影響を強く受けている。なので、ネコちゃんのルーツがエジプトにあると考えるのは当然だ。
菜美ちゃんの話しを聞いて、詩もルーブル美術館の記憶を振り返った。その美術館のネコの彫像のあるコーナーの展示物の説明には、エジプトでは飼い猫が一般家庭にも定着化していてネコちゃん達が家庭の守り神として崇められていたとあった。やはりそうだ。西洋でネコちゃんが神秘的な存在として扱われていたのは、エジプトでネコちゃんが神様として崇められていたからに違いない。真理の探究をしてきたおかげで、今や詩もまるで神話学者か考古学者の一員のようだ。
「飼い猫の歴史って、確かエジプトが始まりなんだよね。ヤマネコを飼いならしたのが始まりって聞いたことがある。」
菜美ちゃんの指摘からネコちゃんを飼い始めたという話しがエジプトの話題になったので、詩は昔、聞いた飼い猫の由来がエジプトにあったことを思い出して、二人に問いかけてみた。
すると、佐藤さんが飼い猫の歴史について語ってきた。こういうことについては、ときどき佐藤さんが詳しい知識を持っている。
「昔はエジプトが由来って言われていたみたいだけど、飼い猫の歴史はもっと古いみたいだよ。」
彼女は、近年の発見でエジプト文明よりもっと前、今から9500年前には人間とネコが暮らしていたことが判明したことを話してくれた。
「大昔からネコちゃんと人間とは仲良しなのよ。四大文明の前からずっと人間を見守ってきたの。」
「へえ、そうなんだ…」
ずっと仲良しなんだ。大昔から…
そう思うと、詩は何だか嬉しい気持ちになった。プチと巡り合ったのも何かの運命かも知れない。ネコちゃんは神様の使いで、守り神…
もしかしたら、いっちゃんがメッセージで伝えていた可愛い使者ってプチのことなのかもしれない。佐藤さんの話を聞いて、詩はそう思った。
参考: 第4章真理 ルーブル美術館




