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Pomegranate I  作者: Uta Katagi
第五章 約束

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名前はプチ

 「え、ネコを飼い出したの!」

 翌週の月曜日のお昼、会社の休憩室で菜美ちゃんと佐藤さんが声を上げた。


 「そうなの、自宅近くの公園で見かけたら自宅までついてきたの。」

 詩が子猫の話しをした途端、二人はお弁当を食べる手を止めて子猫の話しに食いついてきた。


 「でも、詩ちゃんは、自宅でペットは飼わない方針だって言ってなかったっけ?」

 菜美ちゃんは記憶力が良い。昔、私が言っていたことを覚えていた。


 「そうなんだけど、どうしようもなくて…」

 そう、世話が大変だから犬や猫は飼わなと私は常々言っていた。それは、小さい頃から実家で母親が葉音に言っていた言葉だ。


 なのに、今の私はネコちゃんと暮らしている。菜美ちゃんが指摘するように言動が矛盾しているなと詩は思った。だから、言い訳になるのはわかっているけれども、詩は経緯を丁寧に説明した。最初は飼い猫の一時保護の気持ちだったけど、迷い猫のサイトにも飼い猫の情報はなくて、結局ネコちゃんを飼うことなったいきさつを詳しく説明した。


 「いいんじゃないの。ネコちゃんは可愛いし。」

 それを聞いていた佐藤さんが詩の肩を持ってくれた。最近、一緒に妖精の話しをするようになって、不思議なことが大好きな佐藤さんとは意見が一致することが多い。


 「なるほどね。そういう訳か。で、どんなネコちゃんなの?」

 菜美ちゃんが納得してくれて、ネコちゃんのことを尋ねて来たので、詩はスマホで撮影したネコちゃんの画像を二人に見せてみた。床の上にちょこんと座った可愛い子猫がまん丸い目を見開いて、こちらを見上げている写真だ。


 その写真を見せた途端、歓声があがった。

 「きゃー!可愛い!」

 「本当だ!これは飼いたくなるよね。」

 「でしょー!」


 自分のことではないのだけど、佐藤さんと菜美ちゃんが一緒に暮らしているネコちゃんを可愛いと絶賛してくれて、詩はなんだか嬉しくなった。自分の子供を可愛いと褒められた時って、こういう気分になるのだろうかと詩は思った。


 可愛い子猫。名前は「プチ」と名付けた。最初は、見た目が白と黒のブチ猫だから名前は「ブチ」にしようかと思った。だけど、この子猫にはお洒落な雰囲気があって何とも言えないくらいに滅茶苦茶に可愛い。なので、もっと可愛い名前がないかとあれこれと考えてみたところ、パリに行ったときに菜美ちゃんが教えてくれたフランス語を想い出した。


 小さくて可愛いもの、それはフランス語で「petit」という言葉で表現されるらしい。日本でもお菓子屋さんでプチシューとかプチアイスというように、小さなシュークリームや可愛いお菓子にプチという名前が付いているのはこのフランス語が由来だ。


 そうだ、この子猫は見た目がお洒落で可愛いからこのフランス語を採用して「プチ」にしよう。詩はそう思った。しかも、日本語で「ブ」と「プ」は濁音と半濁音の違いしかないので、ブチ猫の意味も暗に込められている気がする。こうして、詩は子猫の名前をプチに決定した。




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