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58.女子会再び

「あー楽しいわー、それにしてもミレーネさん肌綺麗ねー」

「はいはい、わかったからまずはまっすぐ歩いて」


 夜中のサロニアを塔に向かって四人で歩く、正確には三人だが、それにしてもギージャムさんはいい子だったが酒癖はちょっと悪いわね。

 


「今日はいろいろ話せて良かったな」

 スバルは酔い潰れたルイちゃんを背負って歩いていた。

「そうね、お互い誤解したままじゃ気持ち悪かったし、それと……アルは帰してよかったわね」

 アルを帰した後に四人で飲みに行き、腹を割って話し合った、お互いの事や塔での事、そしてどうやらギージャムさんはアルに惚れているみたいだ。

「そうだな、アルがいると出来ない話もあったしな、それでミレーネはアルと結婚する気はあるのか?」

「ないわね、お父様もわかってて送り出したと思うの」

 今は仕事のキャリアを積みたいから結婚なんて考えてない。

「となるとこじらせたギージャムが残るな」

「付き合っちゃえばいいじゃない、私は形だけの婚約者なんだから」

「いや、アイツは恋と言うか自分の気持ちもわかってねえな」

「嘘でしょ?! あんなにあからさまなのに?」

「アイツはダークエルフとして差別されてきたから少し歪んでるんだよ、だが心根はまっすぐで綺麗なんだと思う、それとずっとぼっちだったから人との付き合い方や自分の心がわかってねぇんだな」

「うぅ、私もダークエルフというだけで先入観を持って見てたわ」

「でも、話してみたらいい奴だったろ?」

「そうね、だったら応援してあげようかしら?」

「自分で気付くまでほっときゃいいんじゃね? 側から見てるのが面白いんだよ」

「アンタいい性格してるわね」


「あー何コソコソ話してるのー? 早く帰るよー」

 少し先でギージャムさんが手を振っている。



「おーい、姉ちゃんたち、俺たちと飲みに行かないか? 奢るぜ」

 繁華街から住宅街に差し掛かる時に後ろから声を掛けられた、ナンパみたいね。

「あー私たちはもう帰るとこだから」

「まぁそう言わずに一杯ぐらい付き合えよ」

「見ての通り一人は寝てるから無理ね」

「起きてる子だけでもいいからさぁ」

 うーん、しつこいな、相手は五人いるから変に断るのも危ないかしら? それに私が言うのもなんだが先を歩いているギージャムさんが差別的な目で見られたら嫌だな。


「なぁ、ちょっとだけでいいんだよ」

 男がこちらに手を伸ばす。

「アンタたち! あたしのとっ、友達に何してんのよ!」

 あっ今友達って言い淀んだ、それにふらふらしてる、嬉しいけど面倒臭い事になりそうね。


「なんだよ、アンタも一緒にって、ダークエルフじゃねえか!」

 あぁやっぱり。

「へへ、アンタら、あいつは奴隷か召使いだろ? あのダークエルフを貸してくんねぇか、なぁに明日になったら返すぜ」

 コイツら最低ね。


「あぁん! テメーら今なんて言った?!」

 スバルがキレた、けど彼女はルイちゃんを背負っている。

「だから、そこのっダブヘッ!」

 何故か男が吹っ飛んで倒れた。


「やあやあ、女性陣は嫌がっているようじゃないか、しつこい男は嫌われるよ」

 後ろから金髪の男が現れた、彼は……。

「おいっ! 大丈夫か? 何だ! これはお前がやったのか?」

「そうさ、何が起きたかわからないならソイツを連れて帰った方が良いと思うよ」

 男達は顔を見合わせた後、倒れた男を連れて帰って行った。


「ありがとうございます、クランさん」

 最初はわからなかったがこの人道具一課のクラン課長だ。

「おや? 私の事を知ってるお嬢さん、確か経理部にいたかな、それにスバルさんにギージャム課長じゃないですか、お嬢さん方を食事に誘いたいが、それじゃあさっきの輩と同じになってしまうな、ここは仕方なく塔までお送りする事にしよう」

 担当が違ったから話した事は無いけどこんな感じの人なんだ、なんか軽いわね。


「なぁどうやってアイツを吹き飛ばしたんだ? 魔法か?」

 スバルが質問してる、私も知りたい。

「それはですね、キーコンもういいぞ」

 いきなり近くに大きな男が現れた。

「コイツが見えない姿で殴っただけなんだ」

 いきなり現れてびっくりした、アルの話に出てた姿隠しのマントかしら。

「さぁ皆さん塔までエスコートしますよ」



「あのさぁ、俺たちさっきまでアルといたんだ、それで王国での話しを聞いたからアンタが帝国の皇子だってのも聞いてんだ、やっぱ黙ってた方がが良いのか?」

「別に言っても構いませんよ、ただ塔で身分の事を言うと副塔長に殴られるからやっぱり内緒でお願いします、やはりいい男やいい女は秘密の一つや二つあるものですよね、本当は皇子だったり王女だったり、または聖女だったりなんてね」

 クラン課長はスバルの質問に答えてた、そうそう王族なんているもんじゃないわよ、そう言えばギージャムさんが静かね。

 後ろを振り返るとギージャムさんが涙を流しながらとぼとぼと歩いていた。

「ちょっとちょっと、ギージャムさん大丈夫?」

「やっぱり……私は皆んなといない方が良いのかな?」

「そんな事ないわよ」

「だって……私のせいで変な目で見られるじゃない、だから……一緒にいると迷惑が掛かるでしょ?」

「だから、そんな事ないって、私たちもう友達でしょ、だから一緒にいても迷惑とかないわよ、それにスバルやルイちゃんも同じ気持ちなはずよ」

「そっ……そうなの? ……そうよねとっ友達なんだよね? 一緒にいても……いいかな?」

「当たり前よ」

 スバルの言う通りギージャムさんは不安定ね、酔ってるからだけじゃないわ。

 これは本当にアルと付き合わせたりした方が精神的に安定するんじゃないかしら?

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