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39.ダークエルフと選挙戦

 製造部会議が始まるが興味はなかった、誰が部長になろうと私には関係ない、どうせ辞めるから。

 癪だけどレックスの言う通り他に仕事を探さなきゃいけないなぁ、ダークエルフでも働ける職場はなかなかないんだよね、今はテーブルの白虎ちゃんを見て癒されるとしよう。


 初めに部長が塔を辞める契機やらなんやらを話していたが、全然頭に入ってこなかった、私の目はテーブルの上に釘付けだったから。



「それでは課長の皆さんに選んで頂きましょう」

 ん? なんか選ぶんだっけ?

「先程も言ったが、最終的に決めるのは役員や総務部じゃ、じゃが製造部でも足並みを揃えておこうと思ってのぉ」

 あー次期部長を選ぶのか、課長が誰かを推薦するんだっけ、手紙に書いてあったな。


「ギージャム課長、投票の権利を私にくれませんか?」

 レックスがコソコソと聞いて来た。

「あっ?! やだよ、私は()()課長だからね」

 別にあげてもいいんだけどコイツの言う通りにはしたくなかった。

「いずれ私が課長になるんだからいいじゃないですか、あなたは近いうちに失脚するんですよ、襲撃事件の犯人として」

 さらにアドバンが続ける

「変な魔道具とか作ったんだろ? これだからダークエルフは信用ならねぇな」

「だから、知らないって言ってるでしょ!!」

 思ったより大きな声が出てしまった、皆がこっちを見ている。

「証明出来るのですか? ギージャム課長?」

 もちろん私は関係ないがやっていないとも証明はできない、ダークエルフと言うだけで疑いの目で見られている。

「もーいい! アンタが課長にでも何でもなればいいじゃない! 私は課長も辞めるし塔も辞める! もう会議に出席する意味もないでしょ! 私は出ていくから!」

 あー言ってしまった、せっかくアル君が動いてくれていたのに、ふと彼の方を見ると目が合う、心配そうにこちらを見ていた、ごめんなさい、もう耐えられなかったの。

 私は席を立ち上がり足早に扉に向かった、扉を開けて退室しようとした時に警備員に声を掛けられた

「お嬢さん、落とし物ですよ」

 何か落とした? 渡された物はマッチョが彫られたピンバッジだった。

「あの……これ私の物じゃ」

「お嬢さん、もう少しだけ、会議が終わるまででもいいんで、アルと筋肉を信じて待ってくれないか?」

 警備員は小声で話しかけてきた。

 そうだね……アル君は待ってくれって言ってたんだよね、もう少しだけ頑張ってみようかな、筋肉はよくわからないけど。



「おや? 帰ったのでは? 今更戻ってきてどうするのですか?」

「どうもしないわよ、アンタが課長でいいけど会議は最後まで見届けるわ」

「辞めるヤツがいてもしょうがねぇだろ」

 もう宣言してしまったからには塔は辞める、でもこの会議だけは最後までいる、アル君を信じて、筋肉は信じてない。



「それでは改めて部長候補を選んで下さい」

 あれだけ騒いだのに何も言わないって事は本当に総務は製造部に関与しないのね、まさかずっと待ってるとは思わなかった。

「では、まず武器一課課長でもある部長からお願いします」

「儂は道具一課のクラン課長を選ぶ、長年部長補佐もしてくれたしのぉ」


「次に武器二課課長お願いします」

「儂はハスラーじゃな、儂は部長には向かんしな、防具造りと関係の深い道具二課課長を選ぶわい」

 道具二課課長ハスラー、うちのレックスとよく話してるのを見かける、垂れ目の胡散臭い男だ。


「次に武器三課課長お願いします」

「儂はハスラーを選ぶ、以上じゃ!」

 雛壇の部長が驚いた顔をしている、何かあったのかもしれないが武器三課はハスラー課長を選んだ。


「次に薬品一課課長お願いします」

 エルメスト課長は私の憧れの人だ、ポーション造りの生産性を大幅に上げた技術は素晴らしいし、見た目も美しいハイエルフ、私にはない物を全て持っている。

「私は道具一課のクラン課長を選ぶ、彼は優秀だ」

 エルメスト課長はクラン課長を選んだ。


「次に薬品二課課長お願いします」

 私の代わりにレックスが答える。

「ハスラー課長を選びます」

 レックスとハスラー課長で何かしらの取り引きでもあったのだろうがもう私には関係ない事だ。


「……まぁ、続けますか、次に薬品三課課長お願いします」

「アタシは、誰が部長になってもいいから、誰も選ばないわぁ」

 薬品三課のダイアナ課長だ、男なのに何であんな喋り方なんだろう?


「次に道具一課課長お願いします」

「俺は俺を選ぶ、今一番部長に相応しいのはこの俺だ、エルメストさんに優秀だと言われたしな、エルメストさん今度食事でもいかがでしょうか?」


「はいはい、次に道具二課課長お願いします」

「私は自分を選びます、クラン課長ほどではないですが私も自分が優秀だと自負しています、部長になったあかつきには」


「もう結構です、次に道具三課課長お願いします」

「僕はー、誰でもいいかな?」


「少しは考えて下さい、最後に道具四課課長お願いします」

「私は道具一課クラン課長を推薦する」


 んー? これで誰が何票取った? なんか最後の方は総務の対応が雑になり、わからなくなった。


「部長、クラン課長が四票とハスラー課長が四票、それに無効票が二票ですがどちらを選ぶのですか?」

 レックスが質問した、よく数えてたね。


「その集計は間違ってますよ」

 雛壇の少女が異議を唱える。

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