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22.新技術

「うん! 上手くいかないです」

「そう……人に説明するのって難しい……ごめんなさい」

「いえいえルイさんは悪くないです、全部ケビンのせいです」

「えっ! 僕が悪いの?」



 ルイさんに魔力付与を教わっているのだが感覚派なのか天才肌なのか教え方がふわっとしていてわかりづらい、これがエルフと人族の違いだろうか。


「えっとケビンお前はわかる?」

「あっ……ちょっと……わからないかも……」

 エルフだからではないらしい。



「アルは魔力量は多そうだし少し練習すればすぐに上手くなる……と思う、魔力は変に多いみたいだから……ケビンは感覚を掴めばすぐできる様になる……んじゃないかな?」

 やはり後は要練習な訳か、魔力も変に多いと、ケビンも一緒に練習しているが魔力付与は自分よりも上手い。

「薬品課では外付けの付与はあまりしないから難しいな」

 難しいとか言いながら自分よりも上手いとは……。

「外付け? って薬品課では魔力付与の仕方は他にもあるの?」

「薬草を煮込む時に魔力を込めたり薬品に魔力を練り込んだりだけど、アルは道具課なんだからその辺りも知っておいた方が良いと思うな」

 今はまだ冷風機の製造と魔石充填しかしてないからなぁ、魔力付与は奥が深い。


「アルは魔石充填も速いし魔力を流すのが上手いと思うの……二課の嫌がらせの時も魔力流すのが速かったしね」

「ルイ様! 二課がここにも嫌がらせをしにきたのですか?!」

「道具二課ね、薬品二課じゃない……」

「そう……ですか……」


 最近は少なくなってきたが道具二課はちょこちょこ嫌がらせをしてきた、薬品一課と二課も仲が悪いんだっけ、アンナさんが噂してたな。

 その後にルイさんはケビンに道具二課が籠手を持って来た件の説明をしていた。

「すごいよアル! 何で魔道具に魔力を流したら重くなるの? 魔力の流し方? それとも魔力の質なの?」

「私も知りたい……何であんな現象が起こったのか」

 いや、知らんがな、あの時は課長に言われた通りにやっただけなんだけど。

「じゃあちょっとやってみましょうか、ケビンそっちの棚に鉄の棒が入ってるから何本か持ってきて」



 検証してみた結果、鉄の棒に水の魔力を速く流すと重くなり火の魔力を速く流すと柔らかくなり風と土は何らかの変化は起きているようだが何かはわからない、ミスリルの籠手と違い鉄の棒では僅かな変化しか見られなかったからだ。

 魔石にも同じように速く魔力を流してみたのだが魔力に耐えきれず割れてしまった。


「アル! これはすごい発見だよ! このやり方を使えば新しい魔道具や、なんか……こう……いろいろ出来そうだよ!」

 うーむ、確かにこの技術を使えば新しい事も出来るだろうが……。

「じゃあケビンお前はがやりなよ」

「えっ! だってアルしか出来ないじゃん」

 問題はこれなんだよね、素速く魔力を流す作業が自分にしか出来ない事だ、ルイさんもケビンも魔力量は多そうだが速く魔力を流せない。

 仮にきちんと検証しようとすると、全ての属性の魔力や素材を変えたり後は……。

「よし! ケビン、ルイさんこの技術はなかったと言う事で……」

「えーまたー? 冷風機の時もそうだったじゃないか、面倒くさがらずにやりなよ」

「アル……がんばれ」

 今回の件は冷風機とは違い新しい魔術の使い方かもしれないから大変だ、こういう事は国だったり特殊な機関が研究すれば良いんだ。

「可能性のある技術だと思うけど自分達の手に余るよ、いずれ誰かが見つけるから今はそっとしておこう、面倒くさいからじゃないよ」

「でも…………アル、僕にもう一度の君のやり方を教えてくれないかな? 可能性があるなら試してみたいんだ」

 ケビンがいつになく真剣な眼差しを向けてきた。



 我流のやり方をケビンにもう一度説明する、そして実験に使っていた鉄の棒よりも細い物を用意した、この方が込める魔力が少なくて済みそうだからだ。


「で、何の属性の魔力を込める?」

「聖属性の魔力でやってみる事にするよ」

 いわゆる四属性、火、水、風、土の他に稀少属性の聖、魔、光、闇とあるがケビンは聖属性が使える様だ。

「珍しい属性が使えるんだな」

「そうなんだけど、あまり使う機会がないんだよね、高度な聖魔法は使えないし、塔で働いてる時は怪我もしないし、アンデットに出くわす事なんてないし」

「けどポーション作る時に使えないの?」

「何故か上手く馴染まないんだよね、だからこの方法を試してみたいんだ、じゃあやってみる」


 ケビンが魔力を練り始める、自分のやり方は練った魔力を手首から腕にかけて貯め一気に流す方法だ。

 だがこのやり方では貯めるより漏れる方が多くなってしまうらしい、これが自分にしか出来ない理由である。

「まだ……もう少し……」

 ケビンが魔力を貯め続けている、ルイさんは速く魔力を流す事が出来なかったが、ケビンならワンチャンいけるかもしれない。

「ここだ!」

 ケビンが一気に魔力を流した。


 出来上がった棒をルイさんが手に取った。

「これからは……聖属性の魔力を感じない……」

 魔力の使いすぎで尻餅をついていたケビンが棒を見て呟く。

「そんな……しっ……失敗っ……」

 そんな事はない。

「聖属性の魔力を感じないなら成功だろ、何らかに変化したって事じゃないか」

 ケビンはやってのけたのだ。

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