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16.宴席の結末

「なんだ、始めててよかったのに、ユーリの席は何とかなるか?」

 気まずい雰囲気の中、課長代理が席に着こうとするとアンナさんが立ち上がり課長代理に抱きついた。

「私は課長を信じてます! 絶対課長は間違ってないです!」

「なっ……何があった?」

 課長代理は皆を見回しニヤニヤしている係長を見ると一つため息をついて

「何となくわかった気がするが、主任、何があったか説明してくれるかな?」

「ンマーバレル様に説明してもらわなくてもわかるでしょ、この集まりはあなたの送別会とあたしの課長就任のお祝いよ」

 課長代理はさらに大きなため息をついて

「どこから話したらいいか……」

「なーんか四課は大変そうだね、あっこれおいしい!」

 この状況で勝手に食べ始めているユーリ課長は大物だと思う。



 くっついていたアンナさんを引き剥がし席につかせると課長代理が話し始める。

「まず皆お疲れ様、最初の山場は越えることができた四課皆が頑張った結果だ、ありがとう」

 課長代理が頭を下げる。

「そしてこの結果により私が道具四課の課長になった、代理ではなく、だ」

「ンマーそんなはずないわ! だってあなたは……」

「ガッケリーナ君、本来なら皆の前で言うつもりはなかったのだが、あなたには書類偽装の嫌疑がかかっている明日総務部に行きたまえ」

「ンマー書類を偽装したのはミストさんでしょ! 証拠だって総務に提出したわよ!」

 係長が顔を赤くしながら言い張るが課長代理は涼しい顔をして言い返す。

「私が書類にサインをする場合は特殊なインクを使用している、間違いなく私のサインだと証明する為だ、この件は事前に部長や総務に知らせてある。

 今回の偽装の書類だが私のサインに似せてあるがインクが違っていた、そしてその案件にはガッケリーナ君、君しか関わっていないのだ、嫌疑がかかるには十分だな」

 係長の赤い顔が今度は青ざめていく。

「んぐっ、ほのインク作ったのは僕だよ……魔力を流すと色が変わるんだ、これもおいしいね〜」

 食事を続けるユーリ課長、食べながらしゃべるのはやめましょう。


「ンマーそんな……もういいわ! あたしは帰る!」

 係長がズカズカと扉に向かって行く。

「いいんですか? 今なら捕まえられるぞ?」

 主任が取り押さえようと身構えるが

「いいんだ、係長がやったと言う確実な証拠がある訳ではもないしな、調査は総務部に任せよう我々道具課の仕事ではない」

 打ち上げの空気をぶち壊した係長は逃げていった。



「私は課長の事信じてました!」

 再びアンナさんが課長代理にへばり付く。

「二課の時の件もあったから対策はしていた、皆には黙っていて悪かった、あと…………代理ではなく課長になったんだな……」

 そう言って微笑みながらアンナさんの頭を撫でている。

「出世争いをする事は悪い訳ではないが係長はやり方を間違えたのぉ」

「まあまあ、せっかくのお料理もすっかり冷めてしまったわ、ミスト課長さん、改めて乾杯の挨拶をしてくれるかしら?」

 老人コンビが場を和ませてくれた。

「先程も言ったが皆のおかげで最初の山場は乗り切れた、ありがとう。

 まさかガッケリーナ君があんな事をするとは……今後彼女がどうなるかはわからないが四課には戻って来れないだろう……。

 これ以上彼女の話しをしてもしょうがないな、先の事はわからないがこれからの四課発展を願っての乾杯としよう、今日は楽しんでくれ、乾杯!」

「「「乾杯!」」」

 係長のせいで遅れていた打ち上げがやっと始まった。



「アル君ちょっといいか?」

 皆が冷めてしまった料理と会話を楽しんでいる中、課長代理に呼ばれる、あーこれからはミスト課長か。

「今回の功績で私は課長になったが君も昇進する事になった、明日から主任だおめでとう」

「いや、結構です」

 出世したくない訳でもないが、平塔員で十分です。

「これは決定事項だ、冷風機開発の功績を評価されて人事部から昇進させる様言われた、四課にも十分貢献しているからな」

「冷風機開発はユーリ課長が主導だし他の四課の人も十分貢献してますよね? 年から行くとゴンさんやハルさんでもいいんじゃないですか?」

 諸先輩方を差し置いて出世など……。

「はいはつしゃははる、んぐっアルになってるよ開発者、書類上はアルが開発者で三課は助手になってるはずだよ」

 何てこった、逃げ道が塞がれていく! って言うかユーリ課長どんだけ食うの?!

「なんでー、昇進すれば給料も上がるしお給金も上がるし賃金だって上がるんだよ?」

 アンナさん酔ってるんですか? 全部同じですよ。

「決定事項だと言っただろう、丁度いいから皆にも報告しておこう、皆聞いてくれ! 冷風機開発の功績でアル君は主任になる、係長は残念だが私が課長になり

主任二人体制でこれから四課を盛り上げて行こう!」

 皆から拍手が起こる、自分が主任でいいの?

 流れで昇進させられてしまった。

 読んで頂きありがとうございます、これで平塔員編は終了となり次からは主任編となります。

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